IEEE 802.11aがもたらすワイヤレスLANのイノベーション(3/3)

気になる価格は?

 ユーザーの立場としては,気になるのはまず価格だ。量販店をのぞいてみたところでは,アクセスポイントのPCWA-A500が4万9800円,カードのPCWA-C500が1万9800円といった値付けがされていた。現行の2.4GHz帯802.11b製品のだいたい1.5〜2倍程度の価格であり,高速化という性能面の効果を考えれば,まずは適当な価格といったところか。802.11b製品も当初はこの価格帯で出てきており,各社の参入とユーザーへの普及に伴い,802.11a製品の価格も低廉化していくことは大いに考えられる。今回ソニーが先陣を切ったわけだが,ほかにも複数のベンダーが2002年初めの製品投入に向けて準備を進めている。

 ただ,当面の間は技術的に成熟し,価格もこなれ,普及も進んだ802.11b製品との共存していくと思われる。規格自体に相互接続性はないわけだが,802.11aと802.11bの双方の通信部を搭載したハイブリッド製品の開発を進めているメーカーもある。

複数の無線LAN規格が混在

 気になるのは,2.4GHz帯を使って無線LANの高速化をはかる動きもあることだ。IEEE 802.11のタスクグループでは,802.11gの名称で22Mbpsの速度を実現する規格を策定中。実際に規格の策定が完了するのはこの秋以降だが,国内でもメルコが既に802.11gをにらんだ22Mbps無線LAN製品を10月31日に発表している。発売は2002年2月上旬の予定だ。(製品情報関連記事)

 こうなると,ユーザーとしては今後何を購入するべきか迷うところだ。メーカーサイドもこれら複数の規格のいずれが主流になるか様子を見ている段階のようであり,802.11b,802.11g,802.11aと2002年はいくつかの無線LAN規格が混在することになるかもしれない。

メルコが来年2月に発売する22Mbps無線LAN製品

 ただ,今後は同じ2.4GHz帯を利用するBluetooth技術の普及に伴って無線LANとBluetoothの干渉問題がより顕在化してくると思われる。そうなると,5.2GHz帯という全く新しい周波数帯を利用しているため,Bluetoothとの干渉の心配もなく,また大幅に速度が向上した802.11a製品は有利だといえるだろう。こうした事情と,動画伝送も可能なまとまった帯域を必要とするアプリケーションをどれだけ使うかといったことが,今後の802.11a製品の帰趨を決めることになりそうだ。

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関連リンク
▼ ソニーの製品情報(アクセスポイント)
▼ ソニーの製品情報(無線LANカード)
▼ メルコの製品情報

[大水祐一,ITmedia]

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