XMLでつくる多機能動画サイト――W3C

XMLを有効に使うと,ブロードバンドサイトの可能性が高まる。STREAMINGMEDIA JAPAN2001でW3CのPhilipp Hoschka氏はそう強調した。少ない帯域幅で映像を流し,同じ画面でテキストを表示。さらにスピーカーから音楽を流すといったこともできるという。

【国内記事】 2001年11月20日更新

 ブロードバンドコンテンツは,どうしても多くの帯域幅を使ってしまうのが悩み。そこでW3C(World Wide Web Consortium)では,この問題を解決するコンテンツ制作法を提案している。11月20日から幕張で開催されている「STREAMING MEDIA JAPAN2001」で,W3Cのインタラクション・ドメイン・リーダーであるPhilippHoschka氏が,その手法についての講演を行った。

W3Cのインタラクション・ドメイン・リーダーPhilipp Hoschka氏

 Web技術の標準化団体であるW3Cでは,各ワーキンググループ(作業部会)で,Web関連製品の互換性を向上させるためのオープンな規格を策定・勧告し,サンプルコードや技術に関するガイドラインなどを公開している。現在は米Adobe,米Microsft,米RealNetworksなど世界で500社以上が参加しており,日本でもNEC,松下電器,シャープ,東芝など多くの企業が名を連ねている。

 Hoschka氏はブロードバンド時代のコンテンツについて,帯域幅を広く使ってしまうことが問題だと指摘,帯域幅を節約する方法の1つとして,W3Cの勧告するXMLベースのマルチメディアプレゼンテーション記述言語「SMIL(Synchronized MultimediaIntegration Language=スマイル) 」を紹介した。

 同氏によれば,SMILを使えば,「W3Cの調査では,QuickTimeで70Mバイト,MPEG-1で30Mバイトだったコンテンツが(SMILでは)15Mバイトになった」と,動画などを含むコンテンツのサイズを大幅にスリムにできるという。

 それだけではない。SMILを利用することで,1つのページの中で動画像,テキスト,音楽などのコンテンツを同時に表示・動かすことができる。動画にはナビゲーション機能があり,各章の頭にジャンプさせるボタンを付けることも可能。サイトを海外の言語に変換することもできるほか,アクセスしたユーザーの帯域幅に合わせて動画/静止画を表示するといったインテリジェントなサイト作りが可能になる。

SMILを使用して制作されたページ。映像の下には説明文としてテキストが表示される。右には動画の頭出しができるボタンが配置されている

 この言語を用いれば,e-ラーニングやネット上でのプレゼンテーションが可能になると同氏は言う。1999年に「SMIL 1.0」がリリースされており,今年8月には機能を強化した「SMIL 2.0」が登場した。2.0ではさまざまなエフェクトをかけることができるようになったほか,メディアオブジェクト(画面上でオブジェクトを動かすことが可能),メタ情報,構造化,時間軸操作といった機能を追加している。モバイルデバイス用にコンテンツの表示サイズを変えることも可能だ。

 なお,同氏は講演の中で,キーボードにとらわれない操作を可能にする“VoiceXML”の存在にも触れた。VoiceXMLとは,文字通りのボイスマークアップ言語。テキストや音声で指示を聞いてくるアプリケーションに対し,音声やキーボードでリクエストを送るといった「音声対話型インタフェース」を実現する。

 「現在XMLで作られたサイトは,いずれも成功を収めている。今後,かなり速いスピードでXMLが広まると考えている」(Hoschka氏)。ADSLユーザーが急増しブロードバンドコンテンツのニーズが高まる中,ブロードバンドサイト制作者の模索は続いている。SMILやVoiceXMLなどのXMLベースの言語は,その解答の1つになる可能性がある。

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[杉浦正武,ITmedia]

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