「セリエA配信」で映像サイトに転ずるライバルズこれまでは主にテキストベースのコンテンツを提供していたライバルズだが,ブロードバンド化をにらんでイタリアサッカーの動画配信に乗り出す。
10月23日,スポーツ情報サイト「ライバルズ」がセリエAのネット上での映像配信権を獲得したことを発表した。 ライバルズといえば,従来はスポーツライターのコラムなど,テキストベースのコンテンツを提供していたサイト。今回の映像配信権とはどのような内容で,また今後,同社に何をもたらすのだろうか? ライバルズの事業開発部ネットワークデベロップメントマネージャー,芥川達哉氏に話を聞いた。
ライバルズジャパンの事業開発部ネットワークデベロップメントマネージャー,芥川達哉氏 同社が取得した映像配信権は,イタリアプロサッカーリーグ「セリエA」の試合を日本国内向けにインターネット上で配信する権利。2003〜2004年シーズンまでの3年契約で,同リーグに所属するパルマ,インテル,ACミラン,ペルージャなど9チームのホームゲームでの映像をネット配信することが可能となる。一部テレビ局でもセリエAの試合を放送しているところがあるが,そうした企業が所有する権利とバッティングすることはない。 元の映像はイタリア地上波放送の制作会社であるMedia Partnersグループが制作したデジタルデータ。90分間の試合中継や4〜5分のハイライト,セリエAで活躍する日本人選手のハイライトシーンや好プレー&ゴール集などが用意されている。日本時間で深夜1時ごろに試合があった場合,8時間後の朝9時ごろにはハイライトシーンを配信できるという。なお,フル試合の映像は試合終了後24時間後から配信可能になる。 芥川氏は,映像配信権獲得の理由について,「会社としてビジネスモデルを転換するため」と話す。 「急速なADSLの普及に伴い,有料のブロードバンドコンテンツの売り上げも拡大するものと考えた。ライバルズはこれまで,テキストベースのコンテンツによる広告収入で収益を上げていたが,今後は有料動画コンテンツなどによる収益モデルに方針を転換する」 具体的には,各ISP(インターネットサービスプロバイダ)にコンテンツを提供して,そのISPの会員専用のオンデマンド配信を行う。動画はフル画面ではない大きさで提供を予定しており(下写真参照),画面の余白にテキストやバナー・動画広告をいれることも検討しているという。
実際に映像を見せてもらった(再生プレイヤーはWindows Media,RealPlayer,QuickTimeに対応)。サービスでの通信速度は未定だが,256Kbpsから1Mbps程度を予定しているという。1Mbpsの映像となると,激しい動きにも十分対応していた
映像にはアナウンスなどは入っていない。「こちらで追加編集することは可能だが,それでは配信開始が遅れる可能性がある。スポーツ映像は早く出した方がいいと判断している」(ライバルズ)
自社サイト内で映像にリンクさせる仕組みも同社は報道発表時には“ISPに対し提供”というスタンスをとっていたが,今回の取材では自社サイト内でも映像コンテンツを配信する構想もあると語った。テキストベースのコンテンツに,うまく動画をリンクさせるのが狙いだ。 「たとえばスポーツライターが書いた特定の試合のコラムに,動画のリンクを張っておく。“このプレーがどうだった”という記述を読んだあと,すぐその映像を見ることができればサイトの魅力は増すだろう」 また,同社は簡単にホームページを作成・運営できる独自の開発システム「アドミンツール」を提供しており,スポーツ好きなユーザーのホームページをサイト内に集めるというコミュニティ作りにも力を入れている。このコミュニティ機能にも,映像を連動させたいという。 「ユーザーが掲示板などで語り合う際に,“このプレーを見てくれ”などと書き込んだ後にリンクで映像にジャンプできるシステムを作りたい。ライバルズの持つファンサイトとしての仕組みを活かす」 こうしたサービスの開始時期や詳細は未定だが,「技術面では実現の可能性はある」と芥川氏は自信を見せる。既にISPとの交渉も進んでおり,年内の映像配信開始を目指すという。 先日,WOWOWがコンテンツのネット配信実験開始を発表し,配信予定番組の1つにサッカー「UEFAチャンピオンズリーグ」を挙げたように(11月27日の記事を参照),ブロードバンド・キラーコンテンツとしてスポーツ動画は有望と見られている。ビジネスモデルを変えて「相当な額」(ライバルズ)という権利金を支払い,ライバルズはブロードバンドコンテンツの有料配信で勝負を挑む。
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