メディア,マイライン参入――企業向け光アクセス回線も提供ダークファイバーを活用してマイラインに新規参入するベンチャー企業が現われた。効率的なネットワーク構成により,安価な通話料を実現するという。
メディアは12月17日,加入者電話を利用した中継電話サービス「えむ電」(マイライン登録可能)と,企業向けアクセス回線を提供するサービス「Mライン」(メディアライン)の2種類の通信サービスを来年1月30日から開始すると発表した。
メディアの笠牟田健二社長。「新規参入の強みを生かす」
市内3分8.2円の「えむ電」えむ電は,相手の電話番号の前にアクセス番号「0060」をつけることで利用できる中継電話サービス。マイラインに登録すれば,アクセス番号を省略することも可能だ。 市内,県内市外,県間,国際いずれの区分でもサービスを提供し,市内3分8.2円など低価格が特徴。開始当初は東京,神奈川,千葉,埼玉でサービスを提供し,近畿,中京,中国,九州などにも順次展開してく予定だ。法人ユーザー向けの料金プランも準備しているという。 インフラには通信事業者からダークファイバー(未使用光ファイバー)をレンタルして利用しており,既存の電話網(PSTN)の一部として電話回線の中継を行う。加入料や基本料は不要で,通常の電話機から利用できる。
料金体系の比較も示された(画像はクリックすると拡大)
最大100Mbpsのアクセス回線を提供する「Mライン」Mラインは,同社のインフラを利用してユーザーの端末接続装置手前まで光ファイバーを引き込み,イーサネットベースのアクセス回線を提供するサービス。1Mbpsから100Mbpsまでの各帯域を保証するタイプと,最大100Mbpsのベストエフォートタイプの2種類が用意される。 加入料が10万円で,回線使用料は1回線ごとに月額4万円。IP接続料が帯域保証型/100Mbpsのサービスの場合は月額320万円で,ベストエフォート型/100Mbpsの場合は2万9800円となる。 付加サービスを自由に組み合わせることが可能で,開始当初はMライン上でVoIPを行うサービスが提供される。料金は前述の“えむ電”よりさらに低価格に設定されており,市内通話は3分6円,Mライン加入者同士なら通話料無料となる。 当初,千代田区,中央区,新宿区,港区,渋谷区の一部で提供される。来年秋頃には東京23区の主要オフィス街に展開する予定だ。
イメージキャラクターには“社長自身がファンだった”というテリ―伊藤さんと“フレッシュなイメージ”の吉岡美穂さんを起用した
安さの秘密は?同社の提供するサービスはえむ電にせよMラインにせよ,既存サービスより低い料金設定が特徴だ。この理由について,メディアは以下の3つを挙げる。 まず1つは,規制緩和(1月5日の記事参照)により利用可能になったダークファイバーを活用することで,最新の高機能ネットワークを構築できる点。従来の通信事業者がATMやSONETといった「古い技術を利用したネットワークという“負の遺産”」(メディア)があるのに対し,メディアでは光ファイバー/イーサネットベースのネットワークという,現在主流の技術を利用できる。 次に,「GC接続」ではなく「ZC接続」を行うことにより,コストを低減できる点。ZCとはzone centerの略で,都道府県単位で配置される中継交換局のこと。一方GCとはgroup centerの略で,全国に数千局配置される市内交換局のことだ。 ZC接続は“上のレイヤー”で少数の交換局に接続すればよい代わり,NTTに多くアクセスチャージを払わねばならないというデメリットがある。いっぽうGC接続ではアクセスチャージが少なくてすむ代わりに,“下のレイヤー”で多くの交換局に設備投資しなければならない。従来の通信事業者はGC接続によってインフラを組む傾向にあったが,最近になってZC接続の回線料金が値下げされ始めた。現在はZC接続のほうがコストがかからず,有利だという。 3点目は,低コストで運営を行える点。笠牟田社長は「わが社は通信事業のプロ集団。少数精鋭でサービスを提供する」と語る。 アウトソースを積極的に活用するほか,営業面で業務提携などを行い運営コストを最小化する。ベンチャーならではの“身軽さ”を利用して,効率的に事業を推進できるという。
50万回線でペイする笠牟田社長は事業の収支について,損益分岐点は「50万回線」とコメント。当初サービスを提供する一都3県だけでも1800万回線あり,全国には6000万の回線があることを引き合いに出して,この数字が十分達成可能であることを強調した。 「通信事業者同士の勝ち負けというより,私達の目標設定に対してプラスかマイナスかでやっていきたい。来年冬ごろの単月黒字化を目指す」(笠牟田社長)。 ユーザーがマイラインの乗り換えを行うには800円の手数料が必要になる。この点が気がかりだが,笠牟田社長は「マイライン獲得競争で,各社とも数百億円から1兆円の金額をかけて広告展開した。ユーザーもこれでマイラインについて,理解したはず。ここで低料金のサービスを示せば,すんなり受け入れられるのではないか」と述べ,「そうたいした障壁ではない」と強気だった。
関連記事 [杉浦正武,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
最新スペック搭載ゲームパソコン
FEED BACK |