Yahoo! BBにプレステ2がつながる日12月20日,ソニー・コンピュータエンタテインメントとヤフー,ソフトバンクグループがブロードバンドネットワークサービスにおける提携を発表した。Yahoo! BBでPS2を端末としたサービスを提供するほか,ソフトバンクの雑誌を利用した新しいコンテンツ流通システムの構築を図る。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)とヤフー,ソフトバンクグループは12月20日,「Playstation 2」(以下PS2)を使ったブロードバンドサービスに関する提携を発表した。先週発表されたSo-netやNTT-BBと同様,来春からYahoo! BBユーザーに対してPS2を端末としたネットワークサービスが提供される(12月11日の記事を参照)。
発表の内容は,概ねSo-netやNTT-BBと同じだが,Yahoo! JAPANが提供しているオークションなどのコンテンツを,SCEIの認証システム「DNAS」を通じて提供するほか,ソフトバンク・パブリッシングが発行している雑誌にPS2用のDVDディスクを添付し,コンテンツの新しい流通形態を作る,といった点が新しい。 ユーザーが雑誌の付録として入手したソフトは,DNASを通じて認証すれば,通常のパッケージソフトと同じように動く。その際,課金や料金回収はYahoo! BBが代行するという。 発表会で壇上にあがったSCEI社長兼CEOの久夛良木健氏は,「DVD-ROMのような大容量データをダウンロードするには,ブロードバンドといえども時間がかかる。(雑誌添付は)既存流通の一部には競合と見えるだろうが,ソフト会社の多くは積極的だ」という。ゲームソフトの流通もインターネットと同様に“中抜き”にして,販売価格を抑えながらソフト開発者の利益は維持する考えだ。 「出版というメディアがブロードバンドサービスに加わる。さまざまなメディアが(ブロードバンドで)統合されるのは近い」(久夛良木氏) このほか,先日発表された電話サービス「BB Phone」を使ってオンラインゲーム中の音声チャットを可能にする計画もある。ソフトバンクの孫正義社長は,グループ傘下のエヌ・シー・ジャパンがサービス中のオンラインRPG「Lineage」を例に挙げ,「これをPS2に移植すればどうなるか? 大画面TVの迫力とリアリティでゲームができる。ネックになるのはキーボードがないために(文字)チャットが無理という点だが,BB Phoneがあれば音声チャットが可能になる」とBB Phoneの有用性を強調した。このほか,BB Phoneを応用した動画対応のコミュニティサービスも検討中だという。
料金体系やサービスの詳細は来春までに詰める。Yahoo! BB経由で提供されるPS2の「Broadband Unit」では,専用のディスクスペースを区切り,オンラインゲームなどをプリインストールした形で出荷する見込みだ。なお,孫氏によると,Broadband Unitは「売り切り」と「レンタル」の両方を検討中だという。 今後のスケジュールは以下の通り。
目指すはリビングルームBB Phone,PS2向けサービスと,立て続けに非PCのメニューを打ち出してきたソフトバンク。同社がSCEIと交渉を開始したのは半年ほど前というが,それ以前から「リビングルームでブロードバンドコンテンツを楽しむ」ため,セットトップボックスの開発を進めていた。 しかし,満足のいく機能を盛り込もうとするとコストがかさみ,普及するまでの時間も必要になる。その点,PS2ならすべてクリアできるうえ,配信用のインフラを求めていたSECIとは補完的な関係となる。 孫社長によると,将来的に映画や音楽のコンテンツをネットワーク経由でオンデマンド配信するため,既にビー・ビー・テクノロジーが大容量のメディアサーバを導入しているという。そのディスク容量は,総計100T(テラ)バイト。しかし,「これはまだ序の口」と孫氏は続ける。「メディアサーバは(ネットワーク上の)多くの場所に分散させつつ,増やしていく」。 Yahoo! BBでは,NTT局舎のコロケーションスペース問題(11月20日の記事を参照)が話題になっているが,孫氏は自らこの点にも触れ,「将来のサービス拡張に耐えうるキャパシティがある」と苦笑気味に話していた。 局舎内の問題はともかく,映画や音楽のオンデマンド配信という方向性は,SCEIが志向する「Networked AV」のコンセプトに合致する。久夛良木氏は,DNASによってPS2は「ベストなセキュリティ」を実現し,映画などの映像コンテンツをTVと同等のクオリティでHDD内に蓄積することも可能になるとしている。映画のオンデマンド配信はハリウッドの意向に左右されるだろうが,今後のブロードバンドサービスで大きな位置を占めることは疑いようがない。 「2001年はブロードバンド元年として記憶されるだろう。そして2002年は(ブロードバンドを使った)具体的なサービスが登場する年だ」(久夛良木氏)。
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