NTT,松下,日立が光コマースシステムを共同開発松下のデジタルTV技術や日立のサーバ技術を統合し,光ネットワーク時代のeコマースプラットフォームを作り上げようとするNTT。コマース展開を希望するビジネスパートナーの獲得につなげるのが狙いだ。
日本電信電話(NTT),松下電器産業,日立製作所の3社は2月19日,光ネットワーク時代のeコマースプラットフォーム確立を目指して共同研究を行うと発表した。NTTが持つ「商空間運用技術」に,松下の端末技術と日立のサーバ技術を統合し,これらのネゴシエーションを行うプロトコルを開発する。実際に動くプラットフォームを構築し,コマース展開を希望するビジネスパートナーの獲得につなげるのが狙いだ。
NTTの商空間運用技術とは,画像や動画を使い,自宅にいながらカタログやウインドーショッピングと同じような体験を可能にするソフトウェア技術のこと。NTTの鈴木滋彦氏によると,同社はコンシューマー向けの「Visual Shopping環境」と,ビジネスユーザー向けの「Visual Showcase環境」という2つのソフトウェアを開発しており,特許も取得済みだという。 しかし,カタログ表示のように一覧性を求められるアプリケーションの場合,多くのストリームを一度に配信できるサーバが必要になる。だが,「既存のシステムでは,ネットワーク上の問題は解決できてもサーバ性能が足りない。配信性能がOSのI/O性能に引きずられてしまうのだ。また,QoSを保証する機能もない」(日立製作所の中村道治常務)。 これに対して,日立が提供する「Tactix」技術は,汎用のストリーミング配信サーバ(WindowsMedia ServiceやReal System,QuickTime Streaming Serverなど)と連携し,「QoSを保証しながら,従来より“1桁上”の配信性能を実現する」(中村氏)という。 Tactixは,配信サーバとは別のCPUで動作するI/Oエンジン専用カーネルの名称。ボトルネックになっていたI/O部分を専用エンジンに担当させることで,システムトータルの配信性能を向上させる仕組みだ。 日立は年内の製品化を目指して開発を進めているが,「実験では,アップルのDarwin x86との連携により,1Gbpsのネットワークに650ものMPEG-1ストリーム(各1.5Mbps)を同時に配信することができた」という。 一方,松下電器産業は,双方向・蓄積型放送サービスを行う「eSTB」の技術をベースに,ブロードバンド対応のデジタルテレビやSTBを開発する計画だ。これらの端末にはBMLやHTMLのブラウザはもちろん,コンテンツ蓄積用のHDDやBS/CSチューナーを搭載させることも検討している。
プロトコルは標準化へこれらを結ぶネゴシエーションプロトコルの役割は,単にコネクションを張るだけではない。端末が家庭向けであれば表示する画像の数を抑えたり,逆にビジネス端末であれば大量のカタログを一気に配信する,といった処理をリアルタイムに行うための手順を提供する。 また,実験用のeコマースサーバ(HIKARIコマースサーバ)には,ネットワーク各所に散らばる情報を集め,画面を構成して配信するなど,意味情報ネットワークに近い機能がある。このため,「クライアントが要求したサービスの内容により,処理(画像変換)に必要なサーバのリソース(台数)を動的に割り当てるプロトコルも開発する」(NTT)。 3社は,8カ月間のスケジュールでプロトコル開発と実証実験を行う予定だ。プロトコルの仕様は,家電メーカーやサーバメーカーに公開するほか,標準化も検討するという。 NTTの鈴木氏は,「(共同研究は)もともと光ネットワークの市場創造が目的だ。コマース展開を希望するビジネスパートナーが出てくれば,すぐにでも実用化できる状況にする」と意欲を見せていた。
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