逆風下でも「Tモード革命」は続く――松下アナ―アナ変換に手間取り,サービスの遅れが懸念される地上波デジタル。しかし松下電器は,同サービスの可能性を訴えつづける。
2003年末に放送開始を控えながら,準備が遅れている地上波デジタル放送。デジタル放送時の通信チャネルを確保するため,アナログチャネルを別のアナログチャネルに移し変える「アナ―アナ変換」に手間どったことなどから,開始当初は都内での放送事業者がNHK総合のみになるなど,混乱が見られる。 もっとも,テレビを中心に放送と通信が融合し,「Tモード革命」が起きるとする松下電器産業は,デジタル放送の可能性を引き続き訴える。16日に開催された電子ディスプレイ・フォーラム会場では同社の櫛木好明常務が講演を行い,地上波デジタルへの期待を改めて話した。
松下電器産業の櫛木好明常務。同社はBS/CSデジタル対応の蓄積型双方向サービス「epサービス」でも専用受信機を開発している 櫛木氏はまず「地上波デジタル放送は,トータルで遅れるような話も出ているが……2003年末からサービスを開始することに変わりはない」とコメント。“開始時期を延期”ととらえてほしくないと強調した。
地方への細かい対応は「これまでもしてきたこと」櫛木氏は,ヨーロッパでの放送のデジタル化の動きは“確実”と言う。 「イギリスでは,B sky Bによって,世界で始めて地上波デジタル放送が開始された。ドイツでも放送が始まっており,ヨーロッパ全体として,まだら模様ながら普及してきている」(同)。ドイツではデジタル放送を手がけるキルヒグループが経営破たんしたが,「あれは(経営面など)別の問題」。 現在,国内で準備が遅れている点は,日本の地形からして仕方ないと話す。 「イギリスなど土地が平坦な場所では,(電波をさえぎるものがないため)基地局が少なくてすむ。同国でデジタル・オーディオ放送を開始した時は,27局で済んだ。しかし日本で同様のサービスを行うには,130の基地局が必要と聞く」(同)。 そして,こうした手間はデジタル放送以外のサービスでもあったことだと指摘。「アナログ放送や携帯電話の時も,離島などにきめ細かく対応してきた」(同)。地上波デジタルでも,問題は1つ1つ解決されていくとの見通しを示した。
携帯との連動も地上波デジタルといえば,1放送局あたり6MHzの帯域を使い,OFDMの搬送波を13セグメントに分割して伝送できるのがウリ。このため事業者側は,搬送波12セグメントを固定端末向けに,1セグメントを移動端末向けといった具合に分割し,それぞれ異なる変調方式で放送できる(2001年3月の記事参照)。 「移動体用なら,移動に強い変調をかければいい。テレビや車載テレビ,携帯電話など,ディスプレイサイズに合わせて放送できる」(同)。 携帯電話の場合,MPEG-4形式で地上波1セグメント放送を行えばいいという。同社が2月5日に発表した,MPEG-4ビデオ規格に対応したビデオレコーダLSIを写真で示しながら,「世界最小の11.1ミリワットという消費電力を実現した」と,この分野にも力をいれているところを見せた。
松下電器のMPEG-4対応ビデオデコーダLSI 櫛木氏は「(メディアなどから)いろんなことが言われているが……放送と通信が融合して,今までにないサービスになることは間違いない」と話す。 「地上波デジタル放送が進展することで通信とも補完し合い,新しいブロードバンド・インターネットが生まれる」(同)。
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