ヤフー,Yahoo! BBのビジネスモデルを転換

ヤフーが26日,2001年度の決算を発表した。同社はさらに,今年4月からYahoo! BB事業の事業・収益モデルを転換したことも明らかにした。

【国内記事】 2002年4月26日更新

 ヤフーは4月26日,2001年度決算を発表した。また,ブロードバンド関連事業の事業・収益モデルを転換することも併せて明らかにした。

 発表によると,第4四半期のYahoo! BB事業の売上高は49億200万円で,第3四半期の46億900万円から,2億9300万円の増収になった。「Yahoo! BBスターターキット」の売上は減少したが,ISPサービスによる売上,およびBBフォン利用者獲得に伴う売上が増加したことが増収の要因。

 ヤフー単体の第4四半期の売上高は96億600万円で,Yahoo! BB事業の売上比率は51.0%。前四半期(同52.5%)に引き続き,その半分以上を占めたことになる。広告事業は28億3900万円で,29.6%だった。比率でみると,オークション事業の売上が前四半期の9.2%から11.3%と上昇している。

 前年同四半期との比較でみた場合,顕著な変化は売上原価の大幅な増加だ。広告事業主体だった前年度の売上原価は1700万円で,売上高原価比率がわずか0.4%だった。これに対し,2001年度は30億1000万円で,売上高原価率は31.3%。倍率にして実に約170.3倍の大幅な増加となった。これは無論,原価率の高いYahoo! BB事業の拡大にともなうものだ。

 なお,併せて発表された3月末時点でのYahoo! BB接続回線数は,約49万回線。2月末の45万5000回線から3万5000回線の増加になった。「直近のデータでは,52万回線まで増えている」(ヤフーの井上雅博社長)。


同社の接続回線数の推移(NTT東日本と比較,数字は月末での概数)

Yahoo! BBNTT東日本
11月29万29万9000
12月36万34万6500
1月データなし38万9000
2月45万500045万
3月49万51万3000
4月52万(26日直近)未発表

 また,本申込者数は約53万人で,1月に行われた第3四半期の事業説明会(1月18日の記事参照)時点の50万人から,3万人増となった。昨年12月18日時点で,既に51万人の申し込みを受けていたが,一時的に数字を落とした後,現在の数字に戻した格好だ。

事業モデルを転換

 今回の決算発表で注目されるのは,同社がYahoo! BB事業の事業・収益モデルの転換を打ち出したことだ。ヤフーは従来,Yahoo! BB事業に関して,ISPとしての売上のほかに,“唯一のマーケティングパートナー”としてオンラインで会員を募集。ソフトバンクから仕入れたモデムをビー・ビー・テクノロジー(以下,BBT)に卸すことで収益を上げてきた。

 しかし,ソフトバンクグループはヤマダ電機やノジマなど家電量販店をマーケティングパートナーとする提携戦略を進めている(3月18日の記事参照)。また,BBフォン事業開始に伴い,法人会員獲得の積極的な展開も必要になっている。こうした変化を受け,会員獲得やモデム販売などでは今後,ヤフーも家電量販店と同列の「マーケティングパートナー」という位置付けになるという。


ビジネスモデル転換の説明図(クリックで拡大)

 マーケティングパートナーは,まずBBTに関連機材などを予約する。その後,各社でユーザー獲得活動を行い,ユーザーを1人契約させるごとに,一定の「紹介料」を受け取る。「紹介料は契約内容にもよるが,7000〜1万3000円程度の見通し」(ヤフー)。

 初めに多くの機材を予約するほど,BBTから得られる紹介料も上がる。一方,BBT側がこの予約分の機材・スペース等を確保するため,予約から3カ月後には機材予約料,6カ月後にはスペース確保料をBBT側に支払う必要が生じる。このあたりの細かい価格設定は未定だという。

 マーケティングパートナーとしては他に,獲得ユーザー1人あたり定額の継続料をBBTから受け取る。一方,開通後にユーザーが解約した場合,解約の時期に応じて紹介料をBBT側に返還する義務も生じるという。

 今回のモデル変更により,ヤフーはYahoo! BB事業による収益のうち,従来の「Yahoo! BBスターターキット」販売によるものが,新年度からなくなる。代わりに自らの販売促進活動に基づいて獲得した会員数等に応じて手数料をBBTから受け取る形になる。「ヤフーは,ほかのマーケティングパートナーと競争していく部分もある」(井上社長)。

 一見すると,今回のモデル変更は,ヤフーにとって減収要因にしかならない。だが,スターターキット販売業務がなくなるため,在庫が発生することもなくなる。このメリットは,同社にとって小さくない。

4月以降の展開に期待

 また,販売チャネルが広がることによって会員数が増えれば,サービス提供者としての売上増が期待できる。このサービス提供者としては,ヤフーはまずISP料金・ロイヤリティとして,申込者1人につき月額200円を受け取る(ただし,ヤフー以外からBBフォンのみを申しこんだ場合,ヤフーへの収入は発生しない)。

 また課金業務代行で,一般ユーザーおよび大企業を除く法人向けの課金業務をヤフーが行い,実費と管理費を受け取る。さらにコンテンツ収入を同社とBBT,およびコンテンツ提供者で配分する。

 後はその思惑通りに会員数を伸ばせるかどうかにかかってくるが,「先日商用サービスを開始した『BBフォン』や,『PlayStation BB』などのユーザーに魅力ある事業にも取り組んでいる。今後は,これらがユーザー加入を促進するはず」(ヤフー広報)。

 現状の毎月3万回線台の増加ペースでは,ブレイクイーブンポイントとされた200万ユーザー獲得まで,あと4年もかかる計算になってしまう。ビジネスモデル変更後の増加ペースがどうなるかが注目されるところだろう。井上社長は「早期の100万回線達成を目指す」と話していた。

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