ニュース 2002年5月27日 02:05 AM 更新

お手軽ホームサーバ「LinvingGate i」で遊んでみました

5万円以下で手に入るルータ型のホームサーバ「LinvingGate i」。とくに高いパフォーマンスを持つわけではなく、画期的な新機能を搭載しているわけでもないのに、便利なサービスを提供してくれる。その仕組みとは?

 最近になって話題に上ることが増えてきた「ホームサーバ」や「ホームゲートウェイ」。インターネット(外界)と家庭を結び、ユーザーにさまざまなサービスを提供する役割を担うものだ。しかし、実際は各メーカーともまだ市場性を把握しきれておらず、マーケティングの段階にある。そんな折、家庭用ブロードバンドルータにいくつかの機能を付加して「ホームサーバ」を謳う製品がNTT-MEから登場した。

 「LivingGate i」は、実売4万7800円前後で入手できるホームサーバだ(オープン価格)。PCショップや量販店などで6月1日から発売するほか、オンラインストア「NTT-X Store」では既に先行予約を受け付けている。


リビングがないのでパソコンの横に設置してみた。NTT-MEとピクセラの共同開発ということもあり、外観はピクセラのブロードバンドルータ「WAW」とほぼ同じ。サイズは、160(幅)×190(高さ)×58(奥行き)ミリ、重さ約800グラム。前面のアクリル板の下に写真や絵を入れることができるのがユニークだ


背面は少しチープな印象。電源ボタンは支柱が細いためか、ちょっとした衝撃で倒れてしまうのが難点だ。壁掛けのほうがいいかも

 LivingGate iは、基本的にIEEE802.11b準拠の無線ブロードバンドルータだ。CPUもSH-3/133MHzと一般的なもので、特別高いパフォーマンスを持っているわけではない。スループットは最大4.7Mbps程度だ。しかし、OSに組み込み用のLinuxを採用し、ホームサーバとして利用できるユニークな機能を備えた。

 ホームサーバの基本機能は、「ファイル共有」のほか、家族で使える「伝言板」、「個人メモ」、ISP経由で届いたメールをWebブラウザで閲覧する「メール」、そして、標準添付のCMOSカメラを使ったカメラサーバ機能。LAN内の各PCでファイルや情報を共有するのはもちろん、インターネット経由で外出先のPCや携帯電話からでも利用できるのがメリットだ(ファイル共有は携帯電話非対応)。



上が伝言板、入力時には別ウインドウが開く。下は個人メモをタスクリストとして利用したところ

 本体上部にPCカードスロットが2つ並んでおり、ここに同梱の無線LANカードとコンパクトフラッシュ(CF)を挿入して使う。CFは64Mバイトだが、システムが同居するため、ユーザー領域は約30Mバイトとなる。ファイル共有に使うには少し物足りないが、大容量のコンパクトフラッシュを購入してくれば、入れ替えて使用することもできる。Linuxを使っているため、WindowsとMacintoshでファイルを共用することも可能だ。


家族それぞれの専用フォルダを設定することもできる。日本語フォルダ名にも対応してほしかったところだ(利用できるのは半角英数と記号)

カメラで何を撮る?

 LivingGate iには、DDIポケットの「feel H”」端末で使われるカメラと同じ、約1万画素の露出自動制御機能付きCMOSカメラが標準装備されている。このカメラで、現在の家の中のリアルタイムの映像や蓄積した画像を、外部(Web上)から見ることができる。

 カメラの解像度は120×90ピクセル。閲覧時には、WebブラウザでID/パスワードを入力し、「カメラ」を選択するだけでいい。時間や間隔を指定して撮影画像を貯めておける「スケジュール録画」や、画面内に動きがあったときだけに録画する「センサー録画」といった機能を備えた。防犯以外にも、外出先からペットの様子を確認するといった用途に利用できそうだ。



時間指定(写真上)で撮影した画像をWebブラウザで見るとこんな感じ(写真下)

隠れた主役“Linkサーバ”

 LivingGate i内のファイルを、インターネット経由で利用できるのには訳がある。その仕組みは、NTT-MEが設置した「Linkサーバ」だ。Linkサーバは、「ダイナミックDNSをカスタマイズしたもの」(同社)で、LivingGateのIPアドレスを登録しておけば、固定的なドメインに変換して外部からアクセスできるようにしてくれる。

 ADSLなど、一般的なブロードバンドサービスの場合、ユーザーに付与されるIPアドレスは「動的割り当てのグローバルIPアドレス」であることが多い。グローバルIPアドレスが足りなくなる恐れがあるための措置だが、これによって接続のたびにIPアドレスが変更されてしまうため、Webサーバを立ち上げたりはできない。IPアドレスが変わったら、住所不定のサーバになってしまうからだ。

 しかし、IPアドレスが変わったとき、DNS側がそれを理解していれば固定的なドメイン名でアクセスできる。これがダイナミックDNSの機能だ。通常のダイナミックDNSでは、PC側に専用のクライアントソフトを導入しておき、IPアドレスが変更されるたびにダイナミックDNSサーバへ通知する仕組みになっている。

 Linkサービスでは、IPアドレス変更時の通知をルータが行う。つまり、NTT-MEのネットワークサービスとハードウェアをセット化してホームサーバの機能を提供するのがLivingGate iといえる。

 古いPCにLinuxを導入し、ダイナミックDNSと組み合わせてホームサーバを構築している人も多いだろうが、一般ユーザーにはちょっと敷居が高い。LivingGateのようなお手軽なホームサーバがブロードバンドルータ+αの値段で手に入るのであれば、こちらを選択するのも1つの手だ。

 PCと異なり、ファンレス・ディスクレスの静音設計も、常時電源を入れているホームサーバとしては大きな優位点だろう。当然ながら、LivingGate iには動作音がない。また、サーバの機能を絞り込み、ユーザーインタフェースが簡略化されているのもメリット。セッティングの手間は、利用ユーザーの登録などが追加されているだけで、その他は一般的な無線ルータと大差ない。



アクセス制御(上)とパケットフィルタリングの設定(下)。「:」で区切ればポート番号を範囲指定できる。なお、無線LANのセキュリティは、40/128bitのWEPとESSID、MACアドレスフィルタリングをサポート。MACアドレス登録は最大30台まで

 ネットワークサービスと機器をワンセットにして、ホームサーバとしてのアプリケーションを提案するLivingGate i。とくに目新しい技術や新機能が採用されているわけではないが、今のインターネット接続環境で提供できる機能のうち、有用性の高いものをシンプルなインタフェースにまとめた点は評価できる。ホームサーバの1つの方向性を示したといえるだろう。

 ただし、Linkサービスは、一部のCATVインターネットなど、プライベートIPアドレスを割り当てる環境では使えない(ルータとしては利用可能)。購入の際は、事前にこの点を確認しておいたほうが良い。

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関連リンク
▼ 製品紹介ページ(NTT-ME)

[芹澤隆徳, ITmedia]

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