ニュース 2002年6月12日 00:22 AM 更新

“顔の見えるサービス”でADSLに対抗――CATVインターネット

ADSLの陰に隠れがちだが、CATVインターネットも好調に契約回線を増やしている。「CATV2002」では、業界関係者が同サービスの優位性を強調した

 CATVの専門展示会、「CATV 2002」が、6月12日開催された。会場ではCATV関係者によるパネルディスカッションが行われ、CATVインターネット業界の現状や、サービスとしての優位性などが紹介された。


パネリスト達。左から、総務省情報通信政策局地域放送課の西森正広課長、中海テレビ放送の秦野一憲社長、NECケーブルメディアの大沢勝朗システム本部長、アットネットホームの廣瀬禎彦社長、日本ケーブルテレビ連盟の清水卓理事長代行

 CATVは、着実に普及している。総務省によると、2001年度末のCATV加入世帯数は1303万世帯で、対前年度比24.4%の高い伸びを見せた。これにより、世帯普及率は27.1%に達した。

 好調の理由として、「三重県や岡山県など、自治体が(地方のIT施策として)積極的に導入を進めた」(日本ケーブルテレビ連盟の清水理事長代行)ことが挙げられる。2001年度のCATV施設数・事業者数はともに2年ぶりに増加に転じたが、増加した施設の約3分の1は、自治体による新規施設だった。

 CATVの普及をうけ、CATVインターネットの加入者も順調に伸びている。アットネットホームの廣瀬社長によれば、同社の会員は「2000年末に10万ユーザー、2001年末に20万ユーザーのペースだった。しかし今年は、5月末で既に30万ユーザーに達している」という。

 またNECケーブルメディアの大沢本部長は、ケーブルモデムなどの技術仕様が標準化されたこともCATVインターネット好調の原因として見逃せないと指摘する。日本ケーブルラボの主導で「DOCSIS」(Data Over Cable Service Interface Specification)と呼ばれる標準化技術が定まり、ベンダーの開発する機器の汎用性が高まった。おかげで「機器を通信事業者に適正価格で提供できるようになった」(大沢氏)。

「顔が見える」ユニバーサルサービスとして

 パネリストたちがCATVインターネットの強みとして挙げたのは、1つにはサービス提供側の“顔が見える”ことだ。

 「ADSLのサービスは、(しばしば回線事業者とISPが分離しているなど)サービスの主体者が分かりにくい側面がある。われわれのようなCATV事業者では、電話による一時コール窓口を設けているが、納得いかないユーザーは直接会社に電話をかけてくる。さらにそれでも満足いく回答が得られなかった場合は、会社まで出向くことすらできる」(中海テレビ放送の秦野社長)。

 アットネットホームの廣瀬社長も同様に、CATVインターネットが地域密着型のサービスであると強調。各地でサービスを展開できる、いわゆる“ユニバーサルサービス”たり得ることが、同事業の最大の特性だと話す。

 「ADSLはサービスエリアが、どうしても主要都市の半径2〜3キロ以内ということになる。これに対し、CATVは日本全国、津々浦々にサービスを提供できる」。

 同氏はまた、現状CATVインターネットはに2000〜3000人の加入者がいればペイする状況にあると紹介。今後これを、1000人以下でもペイするビジネスモデルにしたいと話した。

事業者間で地域コンテンツ共有も?

 今後は、各社ともPPV(ペイ・パー・ビュー)やVoD(ビデオ・オン・デマンド)によるコンテンツを多くそろえたい考え。

 廣瀬社長は人気のあるコンテンツについて、「オンラインゲームは、ユーザーのプレイ時間が長く、スティッキーな(熱中しやすい)面がある。また、意外に料理コンテンツも人気が高い」と紹介する。

 秦野社長は「うちは、放送事業で“食べ歩き”の番組が好評。そのため、『ワンコンテンツマルチユース』の考え方で、今後は放送に使用した番組をオンラインコンテンツとしてアーカイブしたい。実際、番組終了後に『あの店をもう一度教えてくれ』といった問い合わせも多く、需要はあるはず」。

 秦野氏はまた、こうしたコンテンツを各CATV事業者間で交換し合うことも有効ではないかと提案した。

 「実は先ほども、清水さん(パネリストの清水理事長代行)と“今年は事業者のアライアンス活動でコンテンツの交換をやりませんか”と話していた。各社の持つコンテンツを活用するために、検討する価値はあると思う」。

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関連リンク
▼ 総務省
▼ 中海テレビ放送
▼ NECケーブルメディア
▼ アットネットホーム
▼ 日本ケーブルテレビ連盟

[杉浦正武, ITmedia]

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