アッカ、7月中旬から最大10MbpsのADSLを開始アッカ・ネットワークスは、ADSLサービスの下り通信速度を最大10Mbpsに高速化する。ユーザーは限られるものの、ファームウエアのバージョンアップだけで実現できるという。料金も据え置きだ
アッカ・ネットワークスは、ADSLサービスの下り通信速度を最大10Mbpsに高速化する「S=1/2」(えすいこーるにぶんのいち)技術を使ったサービスを7月中旬に開始する。回線状況のよいユーザーに限られるものの、ユーザーはADSLモデムのファームウェアバージョンアップだけで利用できる。アッカの回線を使うすべてのISPが対応する予定で、料金はいずれも据え置きだ。
ADSLでは、モデムの電源投入時にトレーニングを行い、回線状況に合わせて各種パラメータを決定する。このとき、誤り訂正に使うリードソロモン符号化のシンボル数(S値)も設定されるのだが、従来はこの設定が1、2、4、6の4段階しかなかった(数が多くなるほど手厚いエラー訂正を行う)。しかし、回線状況の良いユーザーの場合は、1以下でも通信が可能だ。 このため、S値を2分の1にして通信時の誤り訂正ビット列を減らし、その分の帯域を実データの伝送に割り当てる。これがS=1/2の技術だ。ITU.T G.992.1(旧称:G.dmt)標準では、拡張オプションとして規定されている。
しかし、速度の向上は回線状態が良いことが前提となる。目安は、「現在、8Mbps前後でリンクアップしていて、かつ回線損失が17db以下であれば最大10Mbpsを期待できる」(アッカの池田佳和副社長)。同社が3800人の加入者を無作為抽出して調査した結果では、およそ17%のユーザーが8Mbpsでリンクアップしているという。 8Mbps以下でリンクしているケースについてはまだ検証中だが、「(NTT局から)2キロ以内、24dbよりも減衰の少ないユーザーであれば、速度が向上する可能性がある」。
アッカは、8Mbpsサービスでレンタルしている富士通製モデムのS=1/2対応ファームウェアを7月中旬に提供する。ユーザーは同社サイトからダウンロードし、モデムのファームウェアを書き換えることでサービスを利用できる。別メーカー製のモデムを使っているユーザーが約1万人いるが、こちらも富士通製モデムへの交換に応じる方針だ。また、同社が認定した市販モデムを利用しているユーザーに対しても、順次ファームウェアを配布する。
最大10Mbpsサービスには収容局側の対応も必要になるが、同社では7月中旬より東京23区内のサービスエリアからNTT収容局ごとに順次作業を行い、9月末までに全ての提供エリア(534収容局)で対応を完了する予定。新ファームウェアの提供および個々のNTT収容局の10Mbps対応日については、随時、同社サイトに掲載していく。
また、同社は今秋にも、伝送速度をさらに約500Kbps引き上げた上でISDN並みの伝送距離を実現する「C.x」(仮称)技術を導入する計画だ(4月の記事を参照)。S値の削減とC.xを併用することにより、最長伝送距離を約7キロ(線路長)にまで延長し、下り速度は最大約12Mbpsを見込んでいるという。
ただし、サービスの提供スケジュールは確定していない。「現在はデータを収集中であり、“最大12Mbps”という表記が当てはまるかどうかも検討中だ」(アッカ・ネットワークス営業・マーケティング本部長の鴨下隆一取締役)。 また鴨下氏は、新サービスが“最大速度の向上”と“長距離化”の両面を持つため、いくつかのメニューを設定する可能性も示唆した。「長距離サービスと最大速度の速いサービスなど、2〜3パターンのメニューを作る可能性もある」(鴨下氏) その性格により、それぞれのメニューでは料金体系も変わってくるだろう。なお、アッカはC.xを導入する際にモデムの変更が必要になることも明らかにしている。 関連記事 アッカの隠し球? 最大10Mbpsの“拡張版Annex C”詳報 アッカ、年内にもADSLの長距離&高速化へ 関連リンク アッカネットワークス [芹澤隆徳, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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