ニュース 2002年8月28日 09:58 PM 更新

CATV事業者、大同団結でIP電話に本腰

首都圏・中部・東海・関西地区でサービスを提供する84のCATV局がIP電話の相互乗り入れを検討するコンソーシアムを設立した。しかし、各社とも既にそれぞれのサービスを検討しており、仕様を統一することは難しい

 首都圏・中部・東海・関西地区のCATV事業者が広域IP電話サービスの提供に向けてコンソーシアム「広域ケーブルフォン検討会」を設立した。手軽に導入できるADSLにおされ、加入者の増加ペースが鈍りはじめたCATVだが、IP電話を放送、インターネット接続に次ぐ第3のサービスとしたい考えだ。

 折りしも、総務省が「050」で始まる着信番号を今秋から付与することを決め、IP電話は加速度を増して動き始めた。しかし、CATVは1社のサービスエリアが限定されてしまい、単独でIP電話を提供してもユーザーメリットは小さい。このため、コンソーシアムが掲げる第1の目的は、「事業者間の提携によるスケールメリット」だ。

 コンソーシアムに参加するのは、関西IP電話研究会、ZTV、TOKAIグループ、イッツ・コミュニケーションズなど9社1団体。最大手MSOのJ-COMは、電話サービス「J-COMフォン」を独自に展開していることもあって参加を見送ったが、コンソーシアムに名前を連ねるCATV局は、関東、東海、関西をカバーする計84局に上る(一覧はこちら)。

仕様の統一は不可能

 相互接続の近道は、すべてのCATV局が同じ仕様でサービスを提供することだ。しかし、CATV事業者の先陣を切って5月から「Z-PHONE」を開始したZ-COM(三重県)のように、各社とも既に個別の計画を進めている。今の段階で仕様を統一することは現実的ではない。

 1都5県、20のCATV局にインターネットサービスを提供する日本デジタル配信(JDS)では、コンソーシアムに参加する各社が同じ仕様にするのは不可能だと指摘する。

 「企業によっては、SIPの採用を決めていたり、H.323で計画を進めていたりと、対応はさまざま。JDS提携局は仕様を統一する方針だが、他社との相互接続は複数のプロトコルに対応したソフトスイッチを利用することになるだろう」(JDS)。

 マルチプロトコル対応のソフトウェアスイッチは複数存在しており、例えば米Syndeoの「Syion 426」は、MGCP、SIP、H.323の3つをサポートできる。ネットワークの相互接続が実現すれば、こうしたスイッチを使ってIP電話の相互乗り入れが可能になるという。

 さらに、広域ケーブルフォン検討会は、公衆網接続の方法やTV電話などマルチメディア展開といった検討項目を挙げている。参加するCATV局すべてが接続される時期はまだみえないが、来春をメドに一部地域から相互乗り入れを開始する計画だ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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