連載 2002年9月6日 09:44 PM 更新

Streaming Now!〜流れをつかめ!
ケータイで情報発信――「ドコでもVネット」の可能性

携帯電話の話をすると、みんな「静止画の次は動画だよな」と言う。動画フェチとして、その意見には賛成/反対両面ある。面白いと思うのは、「ドコでもVネット」。可能性はここにあるのだ!

 世の中、写メールやら何やらと、携帯電話での写真のやりとりが結構、流行っている。その辺の街角で撮った写真にコメントをつけて送れるのだから、これは楽しいハズだ。十分に理解できる。

 そうなってくると、「次は動画だ!」と誰もが思うようになる。まあ、もっともな話かもしれない。技術的に見れば、動画は静止画の延長線上にあるものなのだから。が、それはあくまでも技術面での話。メディアの特性を考えれば全然違うものなのである。

 両者の一番大きな違いは、動画が「時間を持ったメディアである」という点。その意味では、動画は音声に近いといってもいい。「すべての視聴者から同じ時間を奪う」ものなのである。しかも、音声だけの場合より「ながら」視聴しにくいからやっかいだ。

 そもそもケータイなりPCなりの便利なところは、「そこでサクっと調べられる」というところなのだ。たとえ会議中であってもコソコソ調べられる。「とにかく早く情報をゲットしたい」時、

「こんばんは。お昼のニュースです。」

とか、タラタラやられると、キャスターを殴り倒したくなる。

 もちろん、エンターテインメントとしての動画は違う。楽しめれば、時間をかけていいという見方もあるだろう。とはいえ、「野球中継を長々と見る」とか、「コンサートをじっくりと見る」とか、そういう使い方に携帯電話が向いていないのは明らかだろう。

多くの可能性を秘めた「ケータイ動画発信」

 だからといって、私は「動画がケータイに向いていない」とは思っていない。ここまで書いてきたのは「見る側の立場」の話だ。撮る側から考えるとどうか?

 「デジカメで撮ったから、次はビデオで撮影しよう」? うむ、自然な話ではないか。「普段テレビカメラが潜入できないところから中継したい」? それは小回りが効くケータイならではだ。面白いじゃないか。

 これらの発想にはまったく無理がない。私はずいぶんと前から主張しているつもりだが、発信ツールとしての動画ケータイは、十分にアリなのだ。

 となると、何が問題なのか? ケータイで撮影したものをケータイで受けるだけじゃなくて、もっとパブリックなものとしてみんなに見せる仕組みさえ考えればよろしい。だが、それがなかなか存在しないのだ。

これはイケるか? 「ドコでもVネット」

 ……と思っていたら、先日、某社社長に面白いサイトを教えていただいた。それが「ドコでもVネット」である。実はMobileでも以前取り上げられているものだ。

 ここではケータイからの映像を録画するサービスなどが提供されているが、いちばん面白いのは「Vちゃんねる」という映像連動型掲示版サービスである。サイトの掲示板に「何時から放送するゾー」と予告しておいて、特定の番号にテレビ電話をかけると、自分がテレビ電話で撮っている映像をサイト上でリアルタイムにストリーミング配信できるというものだ。

 この仕組み、基本的にはVちゃんねるにテレビ電話をかけて、そこからアナログ出力したものをエンコーディング、配信しているものであるようだ。ウーム、賢い! というか、ムダが多い! というか……。いや、ムダが多いのはケータイのほうだ。もともと発信できるものなんだから、受信の仕組みをきっちりと考えておけば、そんな変換しなくてもいいのに。

今後の「発信系」への期待

 このVちゃんねる、「素晴らしいではないか!」と思い、ちょくちょくチェックしているのだが、未だかつて、サービスのCM以外のものが放送されているのを見たことがない(笑)。私に運がないだけなのだろうか?

 いや、たぶんリアルタイム配信だけ、というのがネックなのだろう。オンデマンド的なサービスがあれば話は別だ。それでジャンルも細分化されれば、きっと面白いサイトができあがると思う。「私の事件簿」でもいいし、「今日のお店の込み具合」でも何でもいい。そういったコーナーがたくさんできれば、ヒットすると思う。で、その映像を見るツールは、ケータイかもしれないし、PCかもしれない。ケータイだけをターゲットにしたらもったいないのだ。

 ただ、こういったサービスは、あとあと、肖像権の問題なども出てきそうだ。そこをクリアするのは難しいが、とにかくやってみてほしいのだ。

 ということで、ドコでもVネット、並びにそれを追い掛けようとしている会社には、私はかなり期待している。みなさんもFOMAを持っていたら、ガンガン投稿してほしい。……といいつつ、ホントはそんな仕組み、初めからケータイ系の会社に用意してほしいとも思うけど。



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[姉歯康, ITmedia]

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