ニュース 2002年9月17日 10:38 PM 更新

電話料金、東西で別料金になる?

情報通信審議会は、NTTの接続料算定のあり方について総務省に答申した。東西価格差の問題が話題になっているが、この先どうなるのか、答申の内容を読み返してみよう

 情報通信審議会は、より客観的な接続料算定を目指す「長期増分費用モデル」の見直しを踏まえた接続料算定の在り方について、13日、総務省に答申した。NTT東西で別料金を設定することが検討されており、注目が集まっている。

 同審議会は、3月27日に総務省から諮問をうけて以来、議論を重ねてきた。8月1日には答申草案が示しており、(記事参照)8月30日まで広く意見を募集した上で、答申に至った。その内容は、現在総務省のページで公開されている。

NTT東西で別料金?

 草案からの変更点として真っ先に目につくのは“NTT東西で別接続料を設定する”ことに言及した部分だろう。

 現行の接続料体系は、全国均一となっている。背景には、NTT西日本の経営安定化のため、NTT東日本が西日本に対して特定費用負担金を拠出してきた――という事情がある。いわば、東西の収支格差を、料金体系でなく、特定費用負担金で埋めてきたわけだ。

 しかし、この特定費用交付金制度は2001年度末に終了している。もはや、東西同一の接続料に設定する理由がない、というのが、別料金支持者の主張だ。

 それでも、草案の段階では諸外国などの事情を参考に「引き続き全国均一の接続料とするのが適当」と記述されていた。だが答申ではこの方針を転換。東西別料金の設定について検討している。

 改定モデルに従い、東西別の接続料算定を試算した結果は、下表のようになる(いずれも3分あたり)。

現行料金東日本改定後西日本改定後
GC(加入者交換機)接続4.5円3.59円4.75円
ZC(中継交換機)接続4.78円4.57円5.95円
*GC接続=市単位で交換機と接続する方式、ZC接続=都道府県単位で交換機と接続する方式

 表を見ると、東日本地域では大幅に接続料が下がり、逆に西日本地域では接続料が上がることが分かる。この接続料をもとに、各事業者が利益を上乗せして通話料を決定するわけだが、市内通話にして「(3分間で)2円程度の格差」(総務省)が生じる可能性もある。西日本地域に住むユーザーが不満を感じてもおかしくない。

 実際、答申でも「ほかの公共料金の地域間格差と同程度以上の格差は、地域住民の理解を得がたいのではないか」とコメント。毎年度ごとの段階的な適用など、何らかの急激な変化を避ける措置が必要とされている。

 総務省総合通信基盤局、料金サービス課はこの件について、「答申が出たから、それで決定ということにはならない」と話す。

 「具体的なスケジュールは決まっていないが、今回示した料金体系に近づけられるように、今後も継続して議論が行われる」とした。

確定した部分と、しない部分

 このほかにも、答申には草案から変更された部分がいくつかある。その1つが、接続料算定に用いられる、トラフィック“入力値”を、明確に定義したこと。

 長期増分費用モデルでは、適正な接続料金を割り出すための要因の1つに、ネットワークインフラのトラフィックがある。しかしこれは常に変動するものであるため、どの時点のトラフィックを、どう算定に反映させるべきかが争点となっていた。草案ではこれに関して、4種類の方法を候補に挙げていたが、答申ではそのうち「予測トラフィック」を、「適用期間内は固定する」かたちで入力することが適当、と明示している。

 一方、結論が出なかったものもある。加入者回線コスト(NTSコスト)をどう回収するか、という議論がそれ。

 答申では、NTSコストを基本料に転嫁する(=通話料が下がる代わり、基本料が上がる)ことは、社会的合意が困難なことから、なお慎重な検討が必要と指摘。一方、これを“定額制接続料”として接続事業者から回収する方法は「この方法を検討する余地は残されている」と含みをもたせた。結局、この問題については「抜本的に再検討する場を早急に設けることを要望する」とコメントしている。

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[杉浦正武, ITmedia]

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