![]() 特集:CESにみる“ホームネットワーク”の新潮流(2)
PCのユーザーインタフェースがキーボードなら、家電の場合はリモコン。誰でも操作できる簡便さを実現するリモコンだが、ホームネットワークの波はリモコンの姿を変えようとしている
HDDレコーダーやホームサーバのように、PCアーキテクチャから生まれた製品であっても、リビングルームに入るときには家電の皮を被る必要がある。その皮の1枚がリモコンだ。今回は、身近なインタフェース「リモコン」をテーマに「International CES 2003」を振り返ってみたい。
松下電器産業のコンセプトモデル「AVCサーバ」がクライアントを伴って再登場したことは既に書いたが、液晶ディスプレイを搭載した双方向リモコンが付いたのも新しいトピックだ。これは、「VAIOやMedia Center PCの操作は“PCベース”だが、われわれは“リモコンベース”にしたい」(Panasonic Consumer Electronics CompanyのJeff Nakashima氏)という同社のこだわり。液晶パネルにメニューやEPGを表示できるため、視聴時にTV画面を邪魔することがない。 一方、松下にPCベースといわれたソニーだが、こちらもサーバとなるPC(VAIO)を中心に家電をネットワーク化することで、操作性の向上を目指している。「ホームネットワークを作るには、PCとAVの相互運用性が重要になる。目指すのはAV的ユーザーインタフェース」(ソニー社長兼COOの安藤国威氏)。VAIOに蓄積したコンテンツは、RoomLinkを通じてWEGAへ出力される。この時、バックエンドで動くVAIOは、いわば裏方。ユーザーが触れるのは、RoomLinkのリモコンだ。 リモコンの限界、あるいは進化しかし、リモコンだけでは不十分なケースもある。東芝のHDD&DVDレコーダー「RD-SX40」や「RD-X3」がパソコンを使ってファイル名を編集する機能を搭載したように、やはりキーボードを使ったほうが早いというシチュエーションは多い。 Philipsの多機能ユニバーサルリモコン「iPRONT」は、リモコンでありながらキーボードが使えるユニークな製品だ。VGAサイズの広い画面を活かし、タッチパネルにフルサイズのソフトウェアキーボードを表示してくれる。 「URLの入力やWebメールを利用するときは、やはりキーボードのほうが早いし便利だ」(Philipsの説明員)。画面に指紋が付くことを厭わなければ、指で直接タイプすることもできるだろう。 松下電器も「映像の編集など、複雑な作業をリモコンですることはない」として、キーボードを併用することに着目している。動画編集や画像の加工などはPCの役目。「著作権保護のためにファイルを自由に動かせなくなる可能性もあるが、少なくともAVCサーバと連携する“ツール”としてPCを使うことは否定しない」(Jeff氏)。 用途によってリモコン本来の簡便さとキーボードの汎用性を使いわける。それが可能になるのも、両者が混在するホームネットワークのメリットだ。 パソコンをリモコンにまた、CESの会場では「PCをリモコンとして使う」動きもみることができた。例えばSmart Display。これ自体がPCのリモコンともいえるが、ViewSonicのSmart Display「airpanel V110/V150」には、家電をコントロールするためのアプリケーション「Nevo」が初期導入されている。
Premise Systemsの「Premise Home Control」は、Windows PC用のホームオートメーションソフトだ。X10対応機器からUPnP対応機器、あるいはハイエンドのホームシアターシステムといった幅広い機器をサポートしている。家電製品やAV機器との接続はコントロールボックスを介す必要があるが、ボックス-PC間はイーサネットをそのまま利用できる。つまり、無線LAN機能付きのノートPCにインストールすれば、ホームオートメーションを統括するワイヤレスリモコンに早変わりする。 ![]()
ホームネットワークの波は、リモコンの用途を広げ、多様化を促しつつある。かつてはビデオやTVといった機器だけのものだったリモコンが、家庭のセンターコンソールに進化する日が近付いているようだ。
![]() ![]() ![]() [芹澤隆徳,ITmedia] ![]() モバイルショップ
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