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2003/01/20 23:55:00 更新 |
特集:CESにみる“ホームネットワーク”の新潮流(1)
Media Center PCの意味
「International CES 2003」は、MicrosoftのeHOME構想によって生まれたコンセプトを製品の形で見ることができた展示会だ。会場にあったHPのMedia Center PCを触ってみると、日本のAVパソコンとは異なる部分も見えてくる
1月8日から11日までの3日間、米ラスベガスで「2003 International CES」が開催された。CESは、米国の業界団体であるCEA(Consumer Electronics Association)が主催するコンシューマー技術のトレードショウ。家電やオーディオはもちろん、コンピュータ、通信、ゲームなど守備範囲は多岐にわたり、世界中のバイヤーが集う一大イベントとなっている。今年はLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)を中心に総面積125万平方フィートにおよぶ広大な展示会場を設け、2283社が出展した。
出品された個々の技術や製品に関してはNewsの特集にゆずるが、今回はCESの展示内容から、PCおよび家電各社が考える近未来のリビングルームの姿を想像してみたい。
- Media Center PCの意味
- 次世代インタフェース:リモコン(1月21日掲載)
- Column:家電への投資回帰、鮮明に(1月22日掲載)
Media Center PCの意味
米Microsoftに関係する「2003 International CES」の話題は、Bill Gates氏が基調講演で明らかにした「SPOT」に偏りがちだ。しかし、今回のCESは、「Media Center PC」や「Smart Display」といった、MSの「eHome構想」を担う一連のコンセプトを、プロダクトの形で見ることができた展示会でもある。
その1つ、Media Center PCは、TVキャプチャボードを標準的に備え、ハードディスク録画したTV放送やDVD、音楽再生機能などを持つ「AVパソコン」だ。TVや音楽など各種メディアに対応した「Windows XP Media Center Edition」(コードネーム:FreeStyle)を搭載し、TV画面と赤外線リモコンで操作できる。また将来的には、小型メディアプレーヤーMedia2Goに録画したビデオデータを転送し、外出先で動画コンテンツを楽しむなど、周辺デバイスとの連携も考慮されている。
CES前日のプレスイベント「Digital Experience」で、Media Center PCに触れる機会があった。昨年10月に米Hewlett-Packardが発表した第1号機「HP Media Center PC」だ。
5インチベイにPCカードやメモリースティックなどを読み込むための6-in-1メディアスロットが用意されている。仕様は、2GHz以上のPentium 4、512Mバイトのメモリ、100Gバイト以上のストレージ、DVD+R/RWドライブ、CD-ROMドライブ、NVIDIAの「GeForce 4」グラフィックスカード(64Mバイト)、Creative Labsのサウンドカード「Audigy」、USB 2.0ポート5基、IEEE 1394ポート2基、スピーカーなど
外観はタワー型PCそのまま。異なるのは、以前「Freestyle」というコードネームで呼ばれていたGUIだ。メニュー画面には「My TV」「My Pictures」「My Music」「My Video」「Play DVD」といった項目が並んでいるだけで、かなりシンプル。
「このGUIは、部屋の反対側からでも見えるように設計されている。ソファに座った状態で、リモコンを使って不自由なく操作できる」(HP)。これが“10フィート(3メートル)ユーザーインタフェース”だ。
プラズマディスプレイに映し出されたGUI
キーボードとリモコン。リモコンにもWindowsボタンがある
リモコンを使って実際に操作してみたが、レスポンスは悪くない。また、TVとリモコンを使った操作に関していえば、既存のAVパソコンよりも使い勝手がいい面があるようだ。例えば、AVパソコンの代表格であるソニー「VAIO」シリーズの場合、直接TVに出力できるのはTV録画ソフト「GigaPocket」のものだけ。音楽を聞きたくなったら、PCのディスプレイを見て操作する必要がある(RoomLinkを使えば、TV画面で楽曲ファイルをチョイスすることもできる)。
これに対し、Media Center PCでは、TVの画面で画像や音楽にもアクセスできる。OSに一体化されたそれぞれのアプリケーションがシームレスに動作する様は、パソコンというよりも家電を使っているようなイメージだ。もちろん、通常のPCとして利用したい時は、ワンタッチでWindowsの画面に切り替えることができる。
Media Center PCは、2003年中に国内でも発売される見込みだ。今のところ、製品化を予定しているのはNECのみだが、OSに標準搭載されたメディアコントロール機能はメーカーの参入障壁を低くする。「Freestyleのメリットは、コストや時間をかけずにデジタルメディア対応のPCを開発できること」(ViewSonic)。これまでAVパソコンを扱っていなかったメーカーや、開発コストの削減を狙うメーカーが参入する可能性も高い。
ただし、Media Center PCが持つ機能のほとんどが既に日本のAVパソコンで実現されていることにくわえ、録画したTV番組をDVDに記録できないというコピーコントロール機能に対するユーザーの反応も気になるところ。メーカー側は、GUI以外にも、ユーザーが積極的にMedia Center PCを選ぶだけの“付加価値”を提供する必要があるだろう。
リビングに似合うきょう体へ
HPのMedia Center PCはPC然としたタワー型のきょう体だったが、少しずつ変化もでてきた。CESの会場ではTagar Systems(ブランド名はDeZinor)やiBuyPower ComputerといったPCベンダーが横置きタイプの製品を展示。また、ViewSonicは縦/横置き両対応のスリムタワー型Media Cneter PCをリリースした。いずれも「リビングルームに設置することを意識したデザイン」(ViewSonic)という。
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台湾ViewSonicのMedia Center PC「NextVision Digital Media Center M2000」。縦置き・横置き両対応
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CESにみる“ホームネットワーク”の新潮流 1/3 |
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関連リンク
2003 International CES公式Webサイト
Hewlett-Packard
ViewSonic
Tagar Systems
iBuyPower Computer
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[芹澤隆徳,ITmedia]