リビング+:特集 2003/03/11 23:59:00 更新

特集:そろそろ気になる? “ワイヤレス液晶TV”
お風呂に特化すると、テレビはこう進化する〜カシオ

ゆっくりと湯船につかりながら、お気に入りのTV番組を見る。そんな“癒し系”液晶TVが、カシオ計算機の「XFER」シリーズだ。風呂場での利用を前提として開発された防水仕様のTVは、キッチンや庭でも使えるフレキシブルさをあわせ持つことになった
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ディスプレイ部とチューナー部をワイヤレスで接続できる防水型液晶TV「XFER」(エクスファー)。「JIS防水保護等級6耐水形」(いかなる方向からの水の直接噴流を受けても内部に浸水しない)相当の生活防水性能を持つ

 これまで車載用・アウトドア用など、さまざまなタイプのポータブルTVを販売してきたカシオ計算機。そうしたポータブルTVの中に、「お風呂テレビ」誕生のきっかけとなった製品がある。2000年3月に発売した防滴仕様のTFT2.5型液晶TV「SY-200」だ。

 「SY-200はアウトドア用として発売した製品だが、ユーザーアンケートを見ると、お風呂場で使っているケースが多いことがわかった。そこで、防水タイプの“お風呂テレビ”を企画した」(愛知カシオ、映像部マーケティンググループリーダーの高橋祐吾氏)

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愛知カシオ、映像部マーケティンググループリーダーの高橋祐吾氏

 これが2001年2月に販売を開始した「お風呂テレビ」1号機、「SY-4000」だ。4型TFT液晶を搭載し、本体の防水加工に加えて、インタフェースカバーが密閉できるようになっている。これにより、浴槽の中に落としても、すぐに拾い上げれば全く問題のない製品になった。

 新しい用途提案に成功したお風呂テレビはコンスタントに売れる。2.5型、3.5型とバリエーションも拡大され、ロングヒット商品となった。とはいえ、ここまでの製品はすべてアンテナ/チューナー一体型のポータブルタイプだ。小型の室内用アンテナでは、放送波を良好な状態で受信できるのが都市部に限られてしまう。もちろん、CATVやCS/BSといった放送にも対応できない。

 「電波の受信状態は、唯一の不満点だった。一般の人の感覚では、TVは“キレイに映って当たり前”でしょう? そこで、解決策はないかと企画開発部門に話をもちかけた」と高橋氏。

チューナーはアンテナ端子の近くに

 相談を受けたのは、カシオ計算機愛知事業所の開発本部で映像部企画開発担当次長兼商品企画室長を務める布施孝弘氏だ。布施氏は、電波受信状況を良くするには、チューナーを室内のアンテナ端子の近くに持ってくるのが早道と考える。モニターとの間はワイヤレス伝送すればいい。

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カシオ計算機、愛知事業所開発本部映像部企画開発担当次長兼商品企画室長の布施孝弘氏

 「企画が動いたのは2001年の春頃からだが、設計開発のほうは2000年秋頃から無線伝送方式の検討を始めていた」(布施氏)。当初はコスト的に有利なFM変調によるアナログ伝送を考えたが、電波法の規制によって出力の上限が決められているため、伝送距離が足りない。そこで、IEEE 802.11b準拠の無線方式に切り替えた。東芝の「液晶“FACE”ワイヤレス」と同様、IEEE 802.11bを使うのは物理層まで。TCP/IP通信を行わないぶんオーバーヘッドも少なく、動画伝送に適しているという。

 こうして「XFER」シリーズは、チューナーとディスプレイを切り離され、その間を無線でつなぐセパレート型となった。MPEG-2エンコーダー内蔵のチューナー部には外部入力端子も備え、CSチューナーやDVDプレーヤーも接続できる。ワイヤレス伝送するMPEG-2動画は、約6Mbpsの固定ビットレートだ。

 

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 液晶ディスプレイは6型と8型の2モデル。従来のポータブルTVとは一線を画す、大きめのサイズだ。「さらに大型のディスプレイを求める声もあったが、バッテリー駆動時間を考慮すると8型が限界だった」と布施氏は言う。

 前提として、風呂場に持ち込むテレビに電源コンセントを付けることはできない。そして、「平均的な4人家族を想定したとき、1人あたりの入浴時間が30分とすると、合計2時間は使えなければならない」という配慮もあった。もちろん、バッテリーを大きくする手段もあるが、それではディスプレイが重くなり、可搬性が損なわれてしまう。

 結果としてカシオは、6型で約3時間、8型で約2時間のバッテリー駆動時間を確保することでバランスをとる。ディスプレイの重量は、6型が1.45kg、8型でも1.75kg。女性や子どもでも、無理なく持ち運べる重さだ。

 次の課題はリモコンだった。こちらも防水にするのは当然だが、同時に「お湯に浮かなくてはならない」という。たとえば、入浴剤が入った湯船に落としたら……浮かないリモコンは、どこにあるのか、わかななくなってしまう。ただ、それまで水に浮くリモコンなど存在しなかったため、ほぼ完全なカスタムメイドになった。

 なお、XFERも東芝と同様、ディスプレイ側からチューナーに接続された機器を操作することができる。こちらはパススルーではなく、ビデオ/DVDなどの基本操作をプリセットしたタイプだ。風呂場に別のリモコンを持ち込むことはできないため、これは当然の選択といえる。

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背面の入力端子群。外部入力1系統のほか、専用のカメラ入力もある。入浴中にペットの様子を監視するといった用途にも使える(カメラはオプション)

癒し系ITテレビ?

 2002年9月に発売された「XFER」シリーズは、ワイヤレス化によって放送波の受信状態を改善し、また外部入力にも対応することができた。カシオの場合、TVのワイヤレス化は「お風呂で視聴する」という用途から生まれた“必然”であったが、同時に、ワイヤレスTVと防水加工の組み合わせは、「お風呂はもちろん、キッチンや庭などでも使える」フレキシブルな視聴スタイルを実現した。これはある意味、嬉しい誤算だったようだ。

 「ユーザーアンケートを読むと、購入して改めて、“お風呂に限らず、どこにでも持っていける便利さがわかった”という声が多い。また、外部入力機器に対応したことも評価が高い」(高橋氏)。

 XFERの販売実績は、2月末時点で約9000台。数字に派手さはないものの、“癒し”を求めるご時世を反映してか、若い女性層を中心に着実に受け入れられているという。「お風呂にTVがあると、ライフスタイルが変わる」という言葉も、単なる謳い文句ではない。そうしたユーザーの正直な感想のようだ。

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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