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2003/04/09 22:42:00 更新 |
特集:生活に役立つネットワーク
眼科の実習もブロードバンドで 〜日本医科大 (1/2)
医療技術をネットワークで伝達できるメリットは大きい。日本医科大学の眼科では、学生を対象に実際の手術映像をオンデマンド配信している
ブロードバンドの恩恵をうけている業界の1つに、医療業界がある。以前、ADSLを利用した遠隔医療を紹介したが(記事参照)、医療技術をネットワークで伝達できるメリットは大きい。
今回取り上げるのは、日本医科大学の医療実習の事例だ。同大学の眼科は、4月の新学期からNTTコムウェアのシステムを導入して、医学生を対象にVoD(ビデオ・オン・デマンド)形式で映像を配信している。
日本医科大学の学内。入り口は病院だが、一歩中に入ると、大学の春めいた雰囲気が漂っていた
映像視聴にあたって、学生はまずイントラネット上で、IDとパスワードを入力する。ここには1本5分の治療映像が、合計14本アーカイブされている。
動画ファイルは、実際に来院した患者の手術を撮影したもの。短時間に多くの症例を収録した“密度の濃いコンテンツ”で、学生はこれを視聴することで、眼球にどうメスを入れるかなどを具体的に学ぶことができる。
この一連の映像を視聴し終えて、自主学習用の質問項目をクリアすると、最後に口頭試問が行われる。ここで、学習が一定の水準に達していると確認できれば、ちゃんと単位も取得できるという仕組みだ。
動画ファイルは、こんな感じで並んでいる
映像を視聴しているところ。これから実際にメスが入る
コンテンツでは、中央で実際の手術映像が流れ、左側でイラスト画像による説明がなされる。帯域は、動画像が1Mbps、画像が512Kbpsで、計1.5Mbpsを占有する。両者はSMIL(関連記事参照)によって同期がとられており、画面が切り替わると説明画像も替わる。
現在は学内イントラネットのみでの配信だが、近い将来にはセキュリティを高めた上で、インターネット配信することを計画している。また、現場では“手術をしている際の手元の動きも見せたい”など、さらに発展的なコンテンツを配信する要望が出ているようだ。
「国家試験は病態生理重視に」
日本医科大学眼科の、志和利彦助教授はこうした教育が、近年の国家試験の傾向にもあっていると話す。
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[杉浦正武,ITmedia]