リビング+:特集 2003/04/09 22:42:00 更新

特集:生活に役立つネットワーク
眼科の実習もブロードバンドで 〜日本医科大 (2/2)


 そもそも医療業界では、生の症例を見学、体験することが重要となる。実際、最近の国家試験では、詰め込み暗記型の問題ではなく、病態生理に基づいた“思考力”を問う問題が増えているという。

 これにあわせて大学としても、座学というより臨床教育へシフトしたいところ。しかし、眼科の場合は手術時に顕微鏡を用いるが、これをのぞきこむことができるのは基本的に1人だけだ。

 そこで、手術映像をVoDコンテンツとして、サーバにアップロードしようという発想が出てくる。「教育の機会均等につながる。素材のファイルも高度なものを集めており、開業医ではなかなか見られないようなものもある」(志和氏)。

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 日本医科大学の志和助教授

 同大学では以前、こうした映像をCD-ROM形式で学生に配布するなどの試みを行っていた。しかしこうしたファイルは、必ず返却を忘れる学生が出てくる。オンライン上でアーカイブしておけば、そうした管理の心配も少ない。

 ほかにも、貴重な画像をためこんで、デジタル書庫として活用することができる。これら資料は、後で学会発表などで公開することも可能だ。

 今回のシステム構築にあたっては、NTTコムウェアの動画配信プラットフォームを採用した。大学側は撮影した映像ファイルを、Web画面上でエンコード、アップロードする。「映像を編集する部分はさすがに苦労しているが、システムそのものは使い勝手がいい。おかげで、エンコードなどは手間がかからない。」(同)。

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 コンテンツ管理画面

プライバシーに配慮

 こうした映像撮影にあたり、気になるのがプライバシーの問題だ。

 日本医科大学では、患者に対して撮影することを事前に断っている。また、画面に両眼が映りこむと個人が特定できるため、こうした場面では適宜モザイク処理などを行っている。

 ただ、医療業界ではもともと、レントゲンや頭のCTスキャン画像などを断りなく2次利用することがある。日本医科大でも、特に著作権などの厳密な許諾を得ているわけではない。

 なお、今回紹介したシステムとは異なるが、ブロードバンドインフラを利用し、手術現場を学内でライブ配信することがある。この場合は、患者から承諾書を得た上で実施しているとのことだった。

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[杉浦正武,ITmedia]



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