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2003/06/06 23:52:00 更新 |
特集:CATV再発見(番外編)
最大30Mbps「かっとびワイド」を導入してみました (2/2)
数分後、再度スピードテストを実行して少し驚いた。下り方向が14Mbpsまでアップしていたのだ。その後も10〜12Mbpsの数字をコンスタントにたたき出す。開通後に調整が行われたのだろうか。
RBB Todayで計測。一番状態のいいときは14Mbpsを超えたのだが、写真を取り損ねた
上機嫌になってネットワークの設定を進める。ケーブルモデムの場合はユーザーが設定できることはないため、ルータの設定やイーサネットケーブルのつなぎ変え作業が主だ。しかし、PCをルータ経由にしたとたん、接続できなくなってしまった。
このトラブルには心当たりがある。ケーブルモデムの場合、一度接続すると、しばらくの間は最初に接続した端末のMACアドレスを保持しており、ほかの端末が接続できないことがあるのだ。たいていは、何もしなくても10分から数十分後には接続可能になる。
時間が過ぎるのを待ちながら、なんとなくルータの設定画面を眺めていると、気になる項目を発見した。「WAN側疑似MACアドレス」だ。ここに、今まで繋がっていたPCのMACアドレスを設定すれば、すぐにつながるのでは? 早速設定してみると、案の定接続できた。最近のルータは便利だ。
今回使用したのはNECの「AtermWB7000H」。「高度な設定」メニューの一番上に「WAN側疑似MACアドレス」の設定があった
CATVのボトルネックは
ひとまずは満足すべき結果となったが、一方で疑問も残る。下り10〜14Mbps前後という数字は、現状なら十分に競争力のある速度だと思うものの、やはりカタログスペックとの乖離は大きい。CATVインターネットの場合、ADSLと異なり局側設備との距離はスピードに影響しにくいはず。では何故、下り30Mbpsがフルに出ないのだろうか。
CATVのインターネット接続を遅くする原因は主に2つある。CATV事業者と上位キャリアの接続スピード、そしてCMTS(局側設備)や地域ノードあたりに収容されているユーザーの数だ。回線を共有する人数が多ければ多いほど、1人あたりのスピードが落ちるのは道理だろう。
今回のイッツコムの場合、上位回線は5社と接続。計3Gbpsまで増強されており、「今のところ、ピーク時でも2Gbpsまでいくかどうか」(同社)という状況だ。したがって、この部分はボトルネックになっていない。対して、CMTSあたりの収容ユーザー数は、CATVの採算性に大きく関わる部分のため、CATV各社とも非公開だ。イッツコムも同様だった。
ただ、日本ケーブルラボによると、一時期に比べて状況はかなり改善されているという。
「米国では、CMTS1台あたりにぶらさがるIP端末は“500台”というのが指標になっているが、一時期の日本のケーブルインターネットは約2000台を接続していた。設備に対して需要が大きかったのが要因だが、このためCATVは遅いと評判になってしまった」。それが現在では、500〜1000台前後にまで減っているらしい。
「将来的に、CMTS1台に対して100〜250台まで設備が増強できれば、スペック通りの速度が出るだろう」。現在の半分から4分の1という数字は、事業者にとってはなかなかツライもの。それだけ投資効率を落とすことになるからだ。
しかし、FTTHのエリアが広がり、24Mbps以上のADSLが登場するなど、ブロードバンド環境の進歩は著しい。ここはぜひ、将来のため、そして目黒区の1ユーザーのためにがんばってもらいたいものだ。
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[芹澤隆徳,ITmedia]