リビング＋：レビュー

2003/06/24 15:55:00 更新

レビュー：家でも外でも使いたいPDA
sigmarion III、ザウルス、CLIEの動画再生機能を検証 (2/3)

　さて、とりあえず動画再生能力から比較してみよう、……と思ったのだが、詳しく検証するまでもなく、sigmarion IIIは一見して苦しい状況。前述のようにsigmarion IIIのMedia Playerではいくつかの形式に対応しており、その作成方法も多々考えられるが（TVチューナー搭載ビデオキャプチャボードなどの中にもWMV記録・変換に対応した製品はいくつかある）、今回はWindows Mediaエンコーダ9を利用した。「ウィザード→ファイルの変換」を行い、MPEG-2のソースファイルから、「コンテンツの配信＝PocketPC」、「PocketPCワイドスクリーンビデオ（CBR）、CD品質オーディオ（CBR）」（259Kbps、20fps、320×240）で.wmvファイルを作成。出来上がったのは約80Mバイト（45分）のデータだ。

Windows Mediaエンコーダ9を利用してのエンコード。CPUが速ければそれだけエンコード時間も短くなる。ストリーミング配信に関しても、ファイル変換と同様の感覚。「エンコーダからプル」を選べば、別途サーバを用意する必要もない。外部からの観賞も可能にできるが、その場合はメニューから「ブロードキャストのセキュリティ」を選び、接続ユーザーのIPアドレス制限（サブネットマスク可）をきちんと設定しておくべきだ

　これをsigmarion III上で再生してみたが、動きはそれなりに滑らかで劣化も少ないが、デフォルトの100％（拡大なし）表示でも頻繁に音声に途切れが生じる。CFカード/SDカードのいずれを使用しても特に変わりはない。また、高解像度だが画面サイズはそれほど大きくないため、320×240のウィンドウというのは44mm程度の小さな領域となる。動画を見る際には全体画面表示がよかろうと、切り替えてみると、コマ送りとしか呼べない再生状況だ。200％拡大表示にしても同様。ファイルを「PocketPC標準ビデオ（CBR）、音声品質オーディオ（CBR）」（225Kbps、20fps、208×160）に変えてみたが、あまり改善は見られない（ちなみに、この場合の100％表示サイズは28mm程度……）。やはり、こういう用途では拡大の必要のない320×240画面のPocketPCを利用したほうがよさそうだ。

　ただ、sigmarion IIIでは（PocketPCでも）ストリーミングファイルの再生が可能となっている。Windows Mediaエンコーダでは単体でhttp経由のストリーミング配信も可能なので、組み合わせてみると面白そうだ。Windows Mediaエンコーダ9で「ライブイベントのブロードキャスト配信」の設定を変えて、ファイルのストリーミング配信を行い、無線LANカード経由での受信を実際に試してみたが、当然ながら何ら問題はなくストリーミング再生される。いろいろと設定や工程を工夫すれば、違う方面ながらなんとか実用的になるかもしれない。このあたりは別の機会に試してみよう。

　では、ザウルスとCLIEでは、どうだろう。

　今回はザウルス向けのファイルはガリレオ、CLIE向けのファイルはVAIO JX11のGigaPocketで作成した。生成されるデータは前者は320×240・286Kbps固定、後者は320×240・384Kbps／320×240・216Kbps／160×112・96Kbpsから選択できる。ガリレオでは録画直後にMPEG-4変換を実行するよう番組予約の際に設定しておくか、あるいは、あとから手動で録画ファイルのMPEG-4変換を行えるが、いずれにしても、実時間の3倍ほどの時間がかかる。つまり、45分番組であれば150分程度の変換時間が必要なわけだ。GigaPocket搭載VAIOでCLIE用Movie Player形式ファイルの作成を行うには、GigaPocketにCLIE変換機能拡張を追加インストールする。そうすれば、録画ずみ番組の変換を行えるようになる。「録画と同時に変換」というオプションもあり、この場合、番組録画終了とほぼ同時に変換も完了するので便利だ（JX11はAMD Athlon XP1500＋搭載で、さほど高速な機種ではない。したがって、たいていのGigaPocket搭載VAIOなら同様に同時完了するはず）。画質は3種類から選べるが、結果容量がSL-C750用データとほぼ同じとなる「標準」に設定した。

ガリレオではビデオファイルを選択した状態で「機能」メニューを出すと、「MPEG-4作成」を実行できる。録画予約の際に「録画完了時にMPEG-4変換を行う」ように設定しておいてもいい

GigaPocketの拡張機能として「CLIE変換」をインストールすると、このようなダイアログを呼び出せる。画質は「高画質」「標準」「長時間」の3種類を選べるが、通常は1時間番組が128Mバイトに収まる「標準」を選択することになるだろう

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[浅井研二，ITmedia]

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