リビング+:レビュー 2003/06/24 15:55:00 更新

レビュー:家でも外でも使いたいPDA
sigmarion III、ザウルス、CLIEの動画再生機能を検証 (3/3)


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 SL-C750でも、CFカード/SDカードのいずれに動画ファイルを入れてもかまわない。CFカードへコピーしたところ、45分(97Mバイト)のファイル転送で1分と少しかかった(CFカード製品・品質によって差は出るはずなので、あくまで参考)。画面は640×480なので、全体画面再生にすると200%拡大表示となるが、特にコマ落ちがひどくなるとか、音が途切れるといった不具合は生じない。色はやや派手めで、ブロックノイズも目立つ。仕様では10フレーム/秒の再生能力ということで、観た印象もそんなところ。

 映像はともかく、気になるのは音声だ。音がこもり気味でやや聞き取りづらい。操作に関しては、カーソルあるいはシャトルを利用して、CMスキップに便利な15秒スキップが可能だ。また、デフォルトの状態で、前回終了した位置からの続き再生を行うようになっている。バッテリでの連続再生では、2時間たっても残量表示が半分以上残っており、完全に停止したのは3時間弱ほど経過してからだった。

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 CLIEのMovie Playerではメモリースティックからの再生のみ対応している。前述のとおり、PEG-NX73VではCFメモリにも対応したが、それは一部アプリケーションに限られる。Movie Playerも未対応のほうに入るわけだが、最も容量が必要となる動画再生アプリケーションで使えないとは、何のためのCFメモリ対応なのか、はなはだ疑問。PEG-NX73VではメモリースティックPROも使えるので、従来の128Mバイトにとどまることなく、512M・1Gバイト容量も利用可能だが、まだ価格には差があり、安価なCFメモリカードを使いたいというユーザーも多いはずだ。

 再生される映像は、こちらも全画面表示(480×320)でも、特に問題は生じない。色はやや薄めで、ブロックノイズはあるにはあるが、ザウルスほどは目立たない。動きもこちらのほうがやや滑らかな印象。音質が非常に明瞭なのも快適な視聴に貢献している。また、操作面ではカーソルのPgUp/PgDnで15秒、ジョグで30秒のスキップができる。デフォルトでは必ず先頭から再生するようになっているが、設定を変えれば、前回終了した位置からの再生も可能だ(一瞬だけ、最初のフレームが表示されるが)。バッテリでの連続再生に関しては、ザウルスと同様に、2時間視聴後も50%強残量という結果だった。

 動画再生に関しては、CLIEのほうに軍配が上げられると思うが、あえて難点を挙げるなら、前述のCFメモリ未対応のほか、少なくともうちの環境ではメモリースティックへの転送時間がやや気になった。45分(90.7Mバイト)のファイル転送に6分ほどかかってしまう。ただし以上の視聴印象は、あくまでも特定の環境でエンコードした場合であり、これ以外にもザウルスなら「PixLab」(別売)、CLIEであれば「Image Converter」(PEG-NX73Vに標準付属)というソフトウェアを利用する手もあるし、そのほかにもいろいろと手段は考えられる(実際、SL-C750に収められているサンプル動画はなかなかの品質)。ただ、ここで述べた方法であれば、番組予約と連動してのエンコードが可能なので扱いは楽ということだ。


 3機種の中で、外出先だけではなくリビングでも使いたいPDAを1つ選ぶとすれば、それはやはりCLIEということになる。使い勝手や信号到達範囲では専用リモコンにひけはとるものの、リモコン機能が標準で用意されているのは便利だし、GigaPocket搭載VAIOを所有しているユーザーなら、PC連携による番組表の閲覧・予約や録画ファイルの持ち運びも十分に実用的だ。

 しかし、動画再生以外の用途にも目を向けると、sigmarion IIIの高解像度画面+Internet Explorer 5.5(あるいはPicsel Browser)でのWebブラウズというのも、なかなか魅力的である。テレビを観ながらなど、ちょっとした調べ物や暇つぶしに、PCと同程度の表示が可能な小型機器を、外でも家でも常時手元に置いておけるのは非常に快適。Internet Explorer for Handheld PCの表示で見られた細かい部分での不都合も、差し当たっては解消されている。さらに、リモートデスクトップ接続を利用したり、共有フォルダへアクセスしたりといった用途において、Windows搭載デスクトップPCとの親和性の高さが際立つ。

 もちろん、PEG-NX73V、SL-C750でもNetFront v3.0でのWebブラウズが可能だ。NetFrontのHTML解釈/ページ表現も立派なもので、一般的なサイトであれば、表示が崩れるとか見づらいといった印象はほとんど受けない。SL-C750は640×480の画面で手軽に本格的なWebブラウズが行えるうえ、無線LANカードやPHSデータ通信カードなどにおいて、幅広い製品に正式対応している。というのも、sigmarion IIIではPHSカードはNTTドコモのものに限定され、一部を除き各社無線LANカードの正式対応もまだまだ整備されてはいない。また、PEG-NX73Vの正式対応リストには@FreeD対応カードが見当たらないほか、無線LANカードにいたってはソニー製品しか挙げられていない。無線LANへの対応は宅内での使用はもちろんのこと、モバイル用途でも重要になってきている。正式対応していなくても、ユーザーの工夫(同じチップのドライバなら流用できる可能性があるとか)により利用できる製品はあると思うが、素早く対応・検証を行っているメーカー/製品のほうがより安心だ。また、ビュースタイルはもちろん、インプットスタイルでも非常にコンパクトなのはSL-C750の最大の売りといえる。

 いずれにせよ、現在自分の使用している環境や、用途をしっかりと見極めたうえで選択するかぎり、どれを購入しても後悔することはほぼないだろう。当然ながら、これからもさまざまな方向へ発展し続けるだろうが、PDAはAV用途においても現在でもそれなりに熟している。

関連リンク
▼シャープ製品情報:ザウルスSL-C750
▼NTTドコモ製品情報:sigmarion III
▼ソニー製品情報:CLIE PEG-NX80V/NX73CV

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[浅井研二,ITmedia]



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