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2003/07/24 20:15:00 更新 |
ケーブルテレビ2003
米国のCATV事情 〜VoDが好調
ケーブルテレビの未来を探る上で、参考になるのが米国の動向。既に7000万世帯以上がケーブル回線に加入しており、新規サービスの導入も進んでいるという。
ケーブルテレビの未来を探る上で、参考になるのが“CATV先進国”こと、米国の動向だ。既に7000万世帯以上がケーブル回線に加入しており、新規サービスの導入も進んでいる。ケーブルテレビ2003の分科会では、エヌ・シィ・ティの取締役技術部長、早川知氏が同国視察の結果を報告した。
エヌ・シィ・ティの早川氏。。インターネットの高速化や、マルチメディアサービスへの対応を控え、米国視察を行ったという
早川氏はまず、米国ではFCC(連邦通信委員会)の規制緩和が進み、CATVと地上波放送局の兼業が認められたことを指摘。日本同様に、事業者がそれなりの規模を持って変化に対応しようとしていると話した。
また、地上波デジタル放送にも本腰を入れ始めており、デジタル化の投資が進んでいるとした。「ケーブル業界全体で、約400億ドルの投資を行っている。これは、2000年度の総売上額にほぼ等しい」(同)。
こうした流れの中で、新しいマルチメディアサービスの取り組みも始まっている。多チャンネルサービスには、ケーブル加入者の27%にあたる1920万人が加入。インターネットサービスには、1130万人が加入している。電話サービスは、「いまだ本格化していない」(同)とはいえ、250万人が加入しているという。
急増するVoD
早川氏が注目するのは、VoD(ビデオ・オン・デマンド)サービスだ。米国では2000年に本格的に開始され、2002年1月には700万世帯の加入を集めている。STB(セットトップボックス)を介して、テレビで視聴する形態となっているようだ。
日本でVoDというと、1番組を数百円で視聴するようなものを想像するが、米国では「SVoD」(Subscription VoD)と呼ばれる、定額制のVoDが好評だという。これは、用意されたパッケージに契約することで、当該番組を1カ月間、いくらでも視聴できるというもの。ケーブルテレビ局のヘッドエンドにあるサーバに、番組を蓄積しておく仕組みだという。
また、FoD(フリー・オン・デマンド)と呼ばれるサービスもある。こちらの場合は、料金が基本料に含まれているため、無料。2002年にComcastが始めたサービスでは、事業者が1500時間の蓄積を持ち、うち750時間分をFoDに、残りを番組単位課金のVoDにするという、組み合わせ型のサービスだった。
早川氏は、こうしたサービスが登場すると、ユーザーの視聴形態が大きく変化すると話す。
同氏は、米国のケーブル加入世帯数は、やや伸びが鈍っており“飽和状態”だと見る。しかし、加入者1人あたりの年間売上は、642.5ドル(2001年)から687.1ドル(2002年)と、確実に伸びている。同氏は、新サービスの追加で加入者単価を引き上げ、売上増に成功しているとの見方を示した。
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ケーブルテレビ2003
[杉浦正武,ITmedia]