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2003/07/24 23:59:00 更新 |
ケーブルテレビ2003
WinMXの違法ユーザーに、ACCSが送りつけるモノ
デジタルコンテンツの著作権保護で、“門番”ともいえる役割をはたすACCS。著作権侵害が発生した際に、同協会がとる措置とは、どのようなものか?
デジタル化の波の中で、ケーブルテレビ事業者にとっても番組の違法コピーはひとごとではない。ケーブルテレビ2003の分科会では、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の専務理事、久保田裕氏が登場。ネットを通じた著作権侵害と、その対策について講演を行った。
ACCSの久保田専務理事
ACCSは、デジタルコンテンツの著作権保護で教育、広報啓発、権利執行活動の支援などを行う団体。2001年11月には、京都府警と協力し、ファイル交換ソフト「WinMX」を用いてソフトを公開した学生を逮捕している(記事参照)。「捜査には半年かかったが、逮捕できた」(久保田氏)。
著作権侵害が発生した際に、ACCSがとる措置は以下のようなものだ。まず、権利侵害が起きているとの情報を入手し、権利者と協力しながら実態調査を行う。この際、並行して警察でも人定捜査を行っており、警察が「鑑定嘱託書」をACCSに対して発行する。
これを受けて、ACCSが鑑定を行い、簡易版の鑑定報告書を作成。告訴状とともに提出する。警察はこれを受理し、家宅捜索へとつなげるわけだ。2003年6月現在で、ACCSは240件の刑事事件を支援している。
違法行為に対する「通知書」
もっとも、上記のような手順を経て、実際に逮捕までつながる例は少ない。たいていの著作権侵害者(あるいは、その疑いがある者)は、ACCSが送付する「通知書」を受け取った時点で当該行為を中断するという。「分かっている連中は、(通知書を見ると)ほとんどやめてくれる」。
通知書とは、たとえば下のようなもの(写真参照)。WinMXでソフトを公開しているようなユーザーには、WinMXのIM機能を利用して、メッセージを送り付けるという。同協会は、1991年1月から2003年6月1日までに、こうした通知書を1万2632通、送付している。
とはいえ、こうした努力にも関わらず、世間での著作権に対する認識は低いと久保田氏は嘆く。「先日、東工大(東京工業大学)で院生に講演をしたが、著作権の意識が高い学生は少なかった。優秀な技術者集団なのだから、多少は知っているかと思ったが……」。やはり、小中学生のレベルで権利教育を行うべきではないかとした。
ケーブルテレビ業界も、インターネットを利用する機会が増え、今後はACCSとの関わりが深まると予想される。同協会の会員数は、現在255社。久保田氏は、「まだ、テレビ局からの参加者はいない。ぜひみなさんにも参加してもらいたい」と、会場に向かってよびかけた。
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コンピュータソフトウェア著作権協会
[杉浦正武,ITmedia]