リビング+:ニュース 2003/10/07 23:31:00 更新

CEATEC JAPAN 2003
デジタルホームワーキンググループの可能性と課題

6月に設立されたDigital Home Working Group(DHWG)が「CEATEC JAPAN」の会場でセミナーを開催した。DHWGは、家庭内でのコンテンツ共有を推進する業界団体。ソニーや松下などプロモーター17社で構成されている。

 6月に設立されたDigital Home Working Group(DHWG)は、「CEATEC JAPAN 2003」初日の10月7日に、その活動内容を紹介するプレス向けセミナーを開催した。DHWGは、家庭内でのコンテンツ共有を推進する業界団体だ。

 DHWGは、プロモーター17社で構成され、理事としてHewlett-Packard 、Intel、Microsoft、Nokia、松下電器産業、PHILIPS、SAMSUNG、ソニーの8社が参加している。また、コントリビュータとして、グループの立ち上げ後、25社が参加するなどし、これまでに150社以上が問い合わせてきたという。セミナーでは、グループのチェアマンであるSony Americaのスコット・スマイヤーズ氏が壇上で説明にあたった。

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DHWGのチェアマンを務めるSony Americaのスコット・スマイヤーズ氏

 このグループの目標は、複数のベンダーの作ったデバイス間の相互接続性を実現するということだ。今、ネットワークにつなげることができる機器は限られているうえに、たとえそれができたとしても、その設定はきわめて難解だ。しかも、いろんなベンダーが作ったデバイスをうまくコンフィギュレーションしたところで、つながる保証はない。それがオープンスタンダードの規格の上に作られたものであったとしてもだ。もちろん、独自のソリューションを提供しているメーカーもある。

 しかし、それではカテゴリとしての市場を確保できるはずがない。この状況は、今始まったことではないが、昨今は一般の消費者から「家庭で使う機器を接続して使いたい」という要求が強くなってきている。ならば、相互接続を実現するのが、カテゴリ全体の将来につながるのではないかというのが、グループの考えだ。

 つまり、パソコン、家電、モバイル機器などを、共通の目的に向かって協調させるホームネットワークにおいて、消費者がデジタルコンテンツを作り、それらを共有していく環境を提供しようというわけだ。コンシューマーは、そのためのわずらしい作業に関わりたくはない。単に、コンテンツを共有できればそれでいいと思っている。だからこそ、各ベンダーが一緒になってDHWGを設立したわけだ。これがおおまかな経緯。

DHWGの組織

 組織としては、理事会の下に、ソニーがチェアマンとなる「テクニカル・コミッティー」、SAMSUNGがチェアマンの「エコシステム・コミッティー」、Microsoftがチェアマンとなる「インターオペラビリティ・コンプライアンス・コミッティー」、松下がチェアマンの「マーケティングPRコミッティー」、SAMSUNGがチェアマンの「リーガル・コミッティー」がある。さらに、「テクニカル・コミッティー」のように、複数のサブコミッティを持つものもある。

 たとえば、「ユース・ケース・サブコミッティー」は、消費者がどうデジタルホームネットワークを使いたいと考えているかを検討する組織だ。また、「ホームネットワーク・バージョン1・サブコミッティー」は、デザインガイドラインを作成し、いろいろな業界標準をどのようにホームネットワークに盛り込んでいくかのベースラインを検討する。

 計画は、とても壮大なものだ。そして、「方法もいろいろある」とスマイヤーズ氏はいう。また同時に、DHWGはスタンダードを作るためのものではないことを強調していた。これまでに確立された業界標準を参照するのが原則で、さらにベースラインとして、メディアフォーマットについても、業界標準に基づいたガイドラインを作成する。これができれば、マーケットに受け入れられやすくなるという。

 フレームワークとしては、バージョン1のガイドラインで、IPトラフィック、UPnP、AVv1、HTTPなどの、現行標準の参照を規定し、その上のレイヤーで使用されるメディアフォーマットを規定する。さらに、一番上のレイヤーとしてDRMやコンテンツ・プロテクションを規定する。

 ただし、ガイドラインのバージョン1には一番上、つまり、DRMやコンテンツ・プロテクションに関する規定要素は入らない。バージョン1の作業が終わった時点で、これらを想定したプレミアムコンテンツを扱うガイドラインを提供できるようするということだ。

 メディアフォーマットに関しては、その互換性がないと、デジタルホームネットワークの実現は阻まれるとし、JPEGやMPEG2などのオープンスタンダードのいくつかを必須フォーマットとする。MPEG4やWMA、MP3などは、オプショナルフォーマットと位置づけ、メンバーはそれらを任意で実装できる。ただし、コンテンツのソースとして、オプショナルフォーマットを扱う機能を提供する場合、そのコンテンツを必須フォーマットに変換できなければならない。それによって、下位互換性が保たれるというわけだ。だから、消費者が購入した機器は、たとえ必須フォーマットにしか対応していなかったとしても、すべてのコンテンツを再生することができる。

積極的なスケジュール、しかし……?

 今後の予定としては、まず、ガイドラインを完成させることを最優先する。メディアフォーマット、メディアトランスポートの相互接続性、プロトコルなどを規定するが、これらすべての相互接続性はオープンな業界標準に基づいたものであり、2004年の第1四半期のリリースが予定されている。ほかの業界の標準化団体との協調も推進し、ロゴ認定プログラムも2004年に始める考えだ。ガイドラインのドラフトは今年の年末前、製品のプロトタイプは来年の第1四半期、準拠製品の商品化は来年の第2〜第3四半期あたりに市場に登場というスケジュールだ。

 たとえば、理事会社のひとつである松下電器は、先週、家庭内LANとインターネット上のサーバをレジデンシャルゲートウェイ経由で接続する「KEBAB」という技術を発表した。こうした技術も、業界標準になることがあれば候補になるのだろうが、現時点ではガイドラインの中には入らない。

 同様の技術は、ソニーも持っている。バージョン1のガイドラインを作り終わっていない現時点で、グループとして確約はできないが、「ポリシーとしては、各社の独自技術が相互接続性を持つようになることを目指すのであって、各社の独自技術の登場を阻むものではない」という。このあたりは、かなりグレーな印象を受けた。

 バージョン1でDRMに対応しないのは、非常に基本的なデバイスの接続性が実現されていない現在は、焦点を基本的なところにおきたいからだという。だからこそ、グループの結成後、たった1年程度でガイドラインのリリースとスケジュールも野心的だ。細かい点については、その先に議論するという。

 重要なのは、優れたソリューションをコンテンツプロバイダーに提供することだが、第一段階はデバイス間の相互接続性の実現に徹するという。しかし、今のところ業界全体のニーズに対応しきれていない感は否めない。年末には始まる日本の地上デジタル放送のように、至近距離にある環境の変化にも対応できていないデザインガイドがどこまで業界全体に受け入れられるのか。グループにとって、課題は山積みだ。

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▼Digital Home Working Group

[山田祥平,ITmedia]



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