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2003/11/05 23:17:00 更新 |
電子ブック端末は薄く、軽く〜東芝
東芝は、新聞業界の専門展示会「新聞製作技術展」に電子ブック端末を出展。画面の拡大や文章読み上げ機能といった“電子ブックならでは”の機能をアピールするとともに、端末の方向性を語った
東芝は、東京ビックサイトで開催中の「新聞製作技術展」に電子ブック端末「SDBook」やPC向けの電子ブックビューアなどを出展した。毎日新聞社の漫画配信サイト「まんがたうん」で実験中のデジタルコンテンツ配信システム「MQbic」なども併せて展示。画面の拡大や文章読み上げ機能といった“電子ブックならでは”の機能をアピールし、新聞業界に売り込みをかける。
折りたたみ式の端末は、640×960ピクセルの解像度を持つ7.7インチのポリシリコンTFTカラー液晶を2面装備している。Flashによる動画のサポートや紙面の拡大機能、同社の音声合成ソフト「LaLaVoice」を使った音声読み上げ機能などが特徴だ。ただし、今のところ中身はノートPCそのまま。きょう体も厚いうえ、重量は約1.4キロもあるという。電車の中で広げるのはちょっと苦しい。
「端末の小型軽量化には取り組んでいる。厚さは現在の3分の1、重さも半分から3分の1にしたい。バッテリー駆動時間は2時間ほどだが、最低でも8時間は必要になるだろう」(同社)。
Windows用のビューアソフト「MQbicプレーヤ」の場合も、Flash動画のサポート、紙面の拡大機能、関連記事同士のリンク機能、同社の読み上げソフト「LaLaVoice」を利用した読み上げ機能といった“電子ブックならでは”の機能を利用できる。展示会場では、とくに新聞のオンライン配信を想定し、表示している紙面(左側)から特定の記事を拡大表示(右側)し、LaLaVoiceが読み上げるといったデモンストレーションが行われていた。読んでいる場所は、赤いラインがなぞるため、高齢者にも読みやすい。
新聞向け電子配信のデモンストレーション。
MQbicは、SDカードの固有IDを活用する独自のDRM技術を採用しており、コンテンツ購入時(初回視聴時)に「SDカードと鍵をひもづける形」(同社)で鍵を生成するのが特徴だ。コンテンツ自体は暗号化されており、コピーや移動が可能だが、鍵のあるSDカードがなければ視聴できない。逆に、鍵を記録したSDカードさえあれば、購入した機器から別の機器に移動したり、別途コンテンツをダウンロードした場合でも視聴できる。
「自宅ではPCで楽しみ、外出時には専用端末に移して視聴する。ユーザービリティと著作権保護を両立したシステムだ。鍵を貸し借りすれば他人が視聴することも可能だが、それは本を貸し借りするのと同じことだろう」(東芝)。
これまで電子ブックが普及しなかったのは「ユーザービリティが足りなかったため」と指摘する東芝。同社は、MQbicを含むデジタルコンテンツの配信ソリューション「Prime Station」を新聞各社に売り込む構えだ。
なお、「まんがたうん」の実証実験は、10月からモニターの募集を開始したが、まだ定員の2000人には達していないという。モニターには、マンガ購買キット(専用フォーマット済みのSDカードとPC用リーダー/ライター、Windows版の閲覧用ソフト「MQbicプレーヤ」)が無償料提供される。
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関連リンク
まんがたうん
モニター募集ページ(まんがたうん)
東芝
[芹澤隆徳,ITmedia]