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2003/11/06 23:59:00 更新 |
IP電話の運営、こんな「改善すべき例」も
050番号の提供や、事業者間の相互接続で利便性が向上し、さらなる普及が期待されるIP電話サービス。しかし、事業者によってはいまひとつ“ユーザー思い”とはいえない運営スタイルも見られるようだ。
050番号の提供や、事業者間の相互接続で利便性が向上し、さらなる普及が期待されるIP電話サービス。しかし、事業者によってはいまひとつ“ユーザー思い”とはいえない運営スタイルも見られるようだ。東京都はこのほど、「インターネット取引における『IP電話』に関する広告表示事項等の調査結果」と題する報告書をまとめた。
調査は7月から8月にかけて、IP電話を提供する事業者を対象に行われたもの。全国の相談センター、および総務省などに、IP電話に関する問い合わせが急増している実態をふまえ、原因究明のため行われた。40事業者のサイトで、表示内容をチェックするとともに、早稲田大学の学生、大学院生が実際に、問い合わせ窓口に質問して対応を見るなどした。
まわりくどい説明、サポート体制の不備
調査の結果、まず問題視されたのは、各事業者ともIP電話のデメリットを隠すような説明を行っていること。
音質の低下を招くおそれがあること、着信番号が表示されない可能性があること、キャッチホンが受けられなくなることなどを、明示していないという。たとえばQ&Aの部分でも、「キャッチホンが使えるのか?」という問いに対し「電話サービスをご利用(PSTN通話)の場合は、今までどおりご利用いただけます」といったように、直接「IP電話中は使えない」と記述していないケースが見られる。
また、申し込みの解約ができるか、できるとしてどんな方法によるか……といった記載も不足している。ある事業者は、解約に対する記載が全くなく、「休会」という言葉とその手続き方法を説明してあるだけ。
「解約とは別に、休会という手続きを設けた理由としては、事業者側が登録会員数の維持を図っているのではないかと思われる」(東京都)。解約手続きの流れは、分かりやすく示すべきだとした。
また、サポート体制に不備のある事業者もあった。もちろん、即座に返信したり、まずは受け取り確認メールを送ったりする事業者もあるが、中には返信がない事業者も見られたという。
「1週間に2回質問しても返事が来ず、3回目に東京都の名前を出したら、すぐに返信が来たという例もある」(東京都)。返信があっても、「サイトに書いてある」とだけ書いてあり、具体的にどこに書いてあるかは説明がないケースもあった。
ちなみに、調査結果では悪い事業者以外に、運営体制の優れた事業者の例なども挙げられている。“よい例”として挙げられたのは、「全体的に青で統一された、とてもすっきりしたサイト」。提携会社がなく、通話できる範囲が限られて「正直狭いといわざるをえない」事業者だが、広告がしつこくなく、好感がもてるとのこと。質問メールも1日で返信があり、問い合わせもすぐにオペレーターにつながるとした。
ユーザーも、事業者の運営体制を見極めた上で、サービスに申し込みたいもの。東京都はこの調査結果が、「関係者の今後の取り組みにいささかでも参考になれば」とした。
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関連リンク
東京都公式ホームページ
東京都の調査結果(PDF)
[杉浦正武,ITmedia]