コストセンターからプロフィットセンターに進化 SMSとAIが実現するコンタクトセンターの新たな姿とはKDDI×アルティウスリンク対談

PR/ITmedia
» 2025年03月18日 10時00分 公開
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 多くの企業で顧客体験(CX)の向上やVOCの活用が求められる中、顧客とのタッチポイントとなる重要な場がコンタクトセンターだ。しかし、人材確保の難しさやオペレーターの応対品質の均一化など、コンタクトセンター業界には課題が山積している。

 そんな課題を解消する一助として注目されているのが、SMSの活用だ。具体的にどのようなシーンで効果を発揮するのか。KDDIグループで、コンタクトセンターやバックオフィス事業を含むBPO(Business Process Outsourcing)サービスを提供するアルティウスリンクの鎌田靖司氏とKDDIの原真吾氏に、コンタクトセンターにおけるSMS活用のメリットを聞いた。

photo (左から)アルティウスリンク 鎌田靖司氏(DX戦略本部 DX企画部 サービス企画ユニット 課長補佐)、KDDI 原真吾氏(経営戦略本部 データマネジメント部 メッセージングG グループリーダー)

――アルティウスリンクの業務内容や強みをお聞かせください。

鎌田氏: アルティウスリンクは、KDDIエボルバとりらいあコミュニケーションズが統合して発足しました。7カ国に約100拠点を展開しており、顧客企業は1300社超。約5万7000人の従業員が年間に取り扱うデータは約5億件を数えます。

 当社の強みは国内有数のコンタクトセンターリソースと、KDDI、三井物産のグループアセットを活用できる点です。電話対応やチャットbot、生成AIを活用したサービスなど、コンタクトセンター領域に特化した幅広いサービスを提供する点も強みです。

「つながらない」をサポートするSMSの使い方

――コンタクトセンターを取り巻く課題の解消に、SMSはどう貢献するのでしょうか。

原氏: コンタクトセンター業務は、問い合わせに対応する業務と、企業からお客さまに連絡する業務に分けられます。それぞれで特に課題となっているのが「電話がつながらない」点です。

 「応対までの待ち時間が長い」「オペレーターから何度も着信がある」という状態が続くと、顧客満足度は低下します。お客さまの時間を奪わずに、電話番号を使ってより効率的にアプローチできる手段がSMSです。電話番号宛てにメッセージを送付できるためオペレーター業務とシームレスに接続でき、コンタクトセンターと相性の良いサービスです。

 オペレーターが電話をかける場合は、お客さまにとって予期せぬタイミングでの連絡となるため電話がつながらず、営業時間内に折り返しの連絡をもらえない状態が多く発生します。そのようなときにSMSでメッセージを送付すれば、折り返し連絡を促したりテキストで用件を伝えたりできます。

 KDDIとグループ企業のSupershipが共同で提供するショートメッセージ送信サービス「KDDI Message Cast」はSMSの双方向機能を備えているため、お客さまの都合の良いタイミングで返信が可能です。オペレーターは出勤時に返信内容を確認できるので、状況に応じた適切なアクションの検討が容易になります。

鎌田氏: おっしゃる通りです。オペレーターの1日は、着信履歴を確認して折り返し連絡が必要な案件を精査するところから始まります。ここが膨大だとオペレーターに重い負担が掛かりますが、SMSを使って業務時間外にお客さまからの返信があれば、余裕ができて心理的負担は軽くなるでしょう。やみくもに電話をかけるよりも「この問い合わせはSMSだけで完結できた」「これは折り返し連絡が必要だ」と業務を選別して担当を割り振れば、オペレーターのリソースの削減、業務の効率化にもつながるはずです。

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原氏: 問い合わせ対応のフォローアップとして資料を共有したい場合にも、SMSは有効です。受信者のスマートフォンにポップアップ通知が表示されるため、メールと違って埋もれにくいというメリットがあります。問い合わせ時はお客さまの電話番号しか取得できない場合が多く、SMSならその番号を活用してメッセージを送付できます。KDDI Message Castならば、全キャリアユーザーに1通当たり660文字の長文配信が可能です。

鎌田氏: アルティウスリンクのようなBPOベンダーは、顧客企業から「つながりにくさの解消」を期待されて業務を請け負う部分があります。新たなCXを生み出すには、お客さまが快適だと思えるコミュニケーション設計が重要です。電話以外にも多様なコミュニケーション動線を用意して、CXの向上、コンタクトセンター業務の改善に取り組んでいます。

 その一つがビジュアルIVRサービス「VisualMenu for touching」の提供です。自動音声に従ってプッシュボタンで質問に答えていくIVR(自動音声応答システム)を発展させたものです。夜間帯や混雑時にビジュアルIVRのURLをSMSで送付して、お客さまに別チャネルによる解決を促せます。

 SMSは別のサービスと組み合わせることでその力をより発揮できます。「メール+α」だと成立しない場合も、「SMS+α」だと次のアクションを促しやすくなります。

photo ビジュアルIVRサービス「VisualMenu for touching」のサービス概要(提供:アルティウスリンク)

原氏: ある保険会社は、手続きの方法などをまとめた動画のURLをSMSで送付しています。保険金などの支払いには条件があるため、オペレーターの習熟度によって応対に差が出ます。ばらつきを解消するために、“正確な情報”としてSMSで動画を展開することを思い付いたそうです。お客さまから「言葉で説明を受けるより、動画の方が分かりやすかった」という声も上がっています。

鎌田氏: オペレーターの回答マニュアルを用意しても、状況に応じた回答を正しく伝えるためにはある程度のスキルが必要なため、お客さまをお待たせする場合もあります。情報をまとめたWebサイトのURLなどをSMSで共有できれば、お客さまの理解促進やオペレーターの負担軽減につながるでしょう。

 アルティウスリンクは、SMSの開封率の高さを生かして入電誘導やアンケート、キャンペーンの通知などを送るツールとしても活用しています。

原氏: オペレーターの応対品質を確認するアンケートをSMSで送る企業は増えています。ある企業は、応対終了後にSMSでアンケートの回答依頼を送付したところ、メールでの送付に比べて回答率が5倍になったそうです。

 理由として、通話に使った携帯電話とSMSは“標準機能”として備わっているためお客さまが気付きやすいこと。電話番号は数字で伝えられてメールアドレスより取得ハードルが低いことなどが挙げられます。電話でメールアドレスを確認し合うのは難しいですが、電話番号なら数字を伝えるだけです。電話番号で送信できるSMSを活用することで、アンケート回答率が高まり、よりコンタクトセンターの品質向上に貢献できると考えています。

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コンタクトセンターはデータの集積地 AI活用で“戦略拠点”に進化

――コンタクトセンターの「目指すべき形」はどのようなものでしょうか。

鎌田氏: 多くの企業でDX推進が急務になっています。DXの実現には、現状の課題を把握するためのデータ活用が欠かせません。コンタクトセンターには顧客データやオペレーターの応対データ、手続きや購買に関するデータなど膨大な数の情報が集まります。しかし、それぞれが異なるシステムで管理されていたり非構造化データのまま保管されていたりして、データを有効利用できないと頭を抱える企業は多いです。

 コンタクトセンターは“コストセンター”として見られがちですが、集まるデータを活用して新たな企業価値を創造する戦略拠点、“プロフィットセンター”へと転換する必要があると考えています。アルティウスリンクは、顧客企業のビジネス変革に貢献するために「Altius ONE」というサービスブランドを展開しています。デジタルコンタクトセンターのプラットフォームに、当社が培ってきた人によるオペレーションを組み合わせて提供します。データを戦略的に活用して顧客接点の高度化、バックオフィス業務の効率化など、さまざまなビジネス課題の解決を支援します。

photo データドリブンを加速するプラットフォームとオペレーションでビジネス課題を解決するサービスブランド「Altius ONE」。第1弾として、カスタマーサポート領域に特化した「Altius ONE for Support」を提供する(提供:アルティウスリンク)

 その一例として、KDDIグループのELYZA(イライザ)と協業してLLM(大規模言語モデル)を活用したコンタクトセンター向けアプリケーションを開発しています。対話内容の要約、メールの回答草案を自動で生成するアプリケーションを通して、“次世代コンタクトセンター”の実現を目指しています。

原氏: KDDIも、AIを活用したコミュニケーションDXを大きなテーマとして掲げています。オペレーターの負担軽減や人手不足の解消には、AIによる自動化・効率化が欠かせません。AIが状況に応じた対応を判断して、オペレーターは付加価値の高い作業に専念できる環境の構築が重要です。

 そのアプローチの一つに、SalesforceのAppExchangeで提供中の「KDDI Message Cast for Salesforce」にインストール可能な「KDDI Message Cast for Salesforce AI拡張オプション」をリリースしたことが挙げられます。

photo 「KDDI Message Cast for Salesforce AI拡張オプション」によるAI×SMSのアプローチ(提供:KDDI、Supership)

 この拡張により、Salesforceの自律型AIエージェント「Agentforce」との連携が可能になり、顧客属性や購買履歴、行動パターンの解析を通じた最適なメッセージの自動生成や、AIが提示する「送信タイミングのヒント」によって、タイミングを逃さずお客さまに連絡できるようになります。また、AIによる返答履歴の学習を通じて、継続的な品質改善のPDCAサイクル構築も期待できます。

 将来的には、応対後のフォローアップに必要な情報をAIが自動で収集し、SMSで送付する機能も実現できるはずです。通話内容をAIが判断して不足情報を自動で送付したり双方向機能を使って申し込み手続きを完結させたりと、高度な活用も見えてきます。SMSは、Salesforceの入力作業や申し込み処理、請求書発行といった作業をAIが代行する“トリガー”としても活用できるでしょう。

 今回はコンタクトセンターの用途を中心に話しましたが、この仕組みは営業現場やマーケティングなどさまざまな用途で活用できるはずです。

鎌田氏: アルティウスリンクが思い描いている世界観もまさに同じです。人がやるべきこと以外はAIが代行するというフローは検討すべきです。現在「Altius ONE for Support」としてコンタクトセンターに集まるデータを中心としたデータドリブン型課題解決サービスを提供しています。今後はマーケティングやカスタマーサクセス、バックオフィスなどの幅広い業務に向けたサービスを展開する予定です。

 ECサイトのアクセスログ、問い合わせ履歴、購買履歴などに基づいて商品をレコメンドするメッセージを送付する仕組みやFAQの参照履歴およびSNSの書き込みを分析してお客さまが本当に必要としている情報を先回りして案内するなど、CXを変えるサービスを検討しています。人とテクノロジーを組み合わせて、顧客企業と共に新たなCX、企業価値を創造するパートナーを目指していきます。

原氏: 繰り返しになりますが、電話番号でやりとりできるSMSは、コンタクトセンターと非常に相性の良いコミュニケーション手段です。これからもKDDIグループの連携を強化して顧客満足度の向上、オペレーターの負担軽減、そして顧客企業の価値向上に貢献します。

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提供:KDDI株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2025年4月9日