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焼酎ぐびなび

第三回 究極の食中酒 焼酎はどんどん食べながら飲もう

第一回でも登場した『きばいやんせ』(神宮前、店名は「がんばれ」の鹿児島弁)に再びやって来た。焼酎の最大の魅力、「食中酒として非常にすぐれている」という点を再確認するためである。鹿児島の料理は、なかなか味が濃い料理が多いが、これがどれも芋焼酎にはぴったりとハマる!
「地元の本当の味を食べてもらいたい」という親方・谷ヤンこと谷口さんが言う『きばいやんせ』の料理はすべて鹿児島や宮崎の食材からつくられる。なかでも霧島地鶏を用いた地鶏のもも焼きと刺身盛り合わせは超人気メニューである。

さっそく今日も「地鶏の刺身」を頼んだ。口に放り込んだ瞬間に新鮮さがすぐにわかる。これは芋焼酎のロックをぐいっと飲みながら楽しみたい。甘辛いたれをたっぷりとつけたコリコリ感たっぷりの砂肝と焼酎の組み合わせがたまらない。この刺身の盛り合わせは他にもももとムネのたたき、レバー、皮と4種類の部位が楽しめる。

つづいては真打ち「地鶏のもも焼き」。筋肉質な霧島地鶏を豪快に炭で焼いたもので、歯ごたえもじゅうぶん、迫力満点の味。ジューシーな鳥の皮の脂にキレのある焼酎がまたまたマッチする。現代の日本の食事は洋食化や肉食化がすすみ、脂っぽい食べ物が昔より増えてきているが、そんな脂っぽい食べ物こそ焼酎の本領発揮といえるだろう。ほかにもこの店では東京ではちょっと珍しい「豚足焼き」も食べさせてくれる。中華料理などでも、ゆでた豚足はあるが、ここの豚足は甘辛いたれをつけてしっかり焼いたもので、脂っこさはスゴイが飽きない味だ。これはやはり日本酒よりも焼酎を選びたくなる。

当たり前のことだが、鹿児島の代表的な料理にはもちろん芋焼酎が合う。大隈半島の東側に位置する内之浦産の「さつまあげ」はほんのりとやさしい魚の甘さが忘れられない。山川町で揚がったかつおの腹の部分を焼いた「かつおの腹皮」のしょっぱさと滋味深さは酒がどんどん進んでいく。これはほっこりとお湯割りで一緒にいただきたい。

どんなものにでも合う焼酎だが、カレーにも相性バツグンである。なかなか、ここまでカレーの強い味に合う酒はない。ラムもいいが、焼酎はかなりイケる。という訳で、最後は「カレー雑炊」だ。この店のカレーは地鶏の旨みをしっかりと含んだ味で、これまた芋焼酎のお湯割との組み合わせがたまらない…。

ひとつの店で様々なメニューにあわせてみたが、いわゆる「しょっぱい」ものと最高の相性である日本酒と比べると、焼酎は実に「甘い」「辛い」「脂っこい」ものでも合わせることができるたいへん包容力のある酒である。やはり、現代人の食生活を考えると焼酎ブームは起こるべくして起きているのである。

地鶏の刺身

もも焼き

さつまあげ

かつおの腹皮

カレー雑炊


きばいやんせ 【住所】東京都渋谷区神宮前2-21-12【電話】03-3796-8788 【営業時間】 17:00〜26:00(月〜金)  17:00〜24:00(土日祝)【定休日】 無休 きばいやんせ写真

筆者紹介
橋本 裕之(ハシモト ヒロユキ)

有限会社デジほん社長 SSI認定焼酎アドバイザー。
株式会社ダイヤモンド社で編集者として『旨い!本格焼酎』(著・山同敦子)の企画、編集などに携わる。また、モバイルサイト情報誌『iして! ケータイサイトの歩き方』の編集統括を務めた以降はモバイル業界に関わるようになり、株式会社ドワンゴを経て、2005年6月に独立し有限会社デジほんを設立。デジタル、アナログを問わず、コンテンツを広くプロデュース、運用している。最近ではスケート界の裏を深くえぐった『愛するスケートに何が起こったのか?』(著・渡部絵美)を手がけている。

http://www.digifon.jp/





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