カメラをぐらぐらして「3Dっぽい写真」を手軽に楽しむ
3Dといえば対応テレビの前でメガネをかけてというのが一般的な利用シーンだが、もっと手軽に3D(っぽいモノ)を楽しめる方法がある。さあカメラを傾けるべし。
AV機器の分野で昨年から今年にかけて、一番耳にする言葉は「3D」だろう。各社から3Dテレビが積極的に販売され、家電量販店の店頭に出向けばそのデモが頻繁に行われている。そしてその波は入力機器である、デジタルカメラの世界にも押し寄せている。
ソニーの「NEX-3/5」とサイバーショット「DSC-WX5」「DSC-TX9」はパノラマ撮影機能「スイングパノラマ」を応用した、3Dテレビにつなぐと3D画像を楽しめる「3Dスイングパノラマ」撮影機能を搭載してきた。ただ、3Dテレビは積極的に販売活動が行われてはいるものの、広く普及しているとは言えない状態だ。
その解決策として、DSC-WX5とTX9では背面液晶で疑似的に立体感を得られる仕組み「スイングマルチアングル」を用意した。これがなかなか面白い(→飲み会で人気者の予感!:サイバーショット新製品発表会で立体視撮影を楽しむ)。動画を交えて、その機能を紹介しよう。
このスイングマルチアングルは、サイバーショットの搭載するスイングパノラマを応用した機能で、スイングパノラマが高速連写した画像を横(または縦)につなぎ合わせて横長(縦長)の写真を作り出すのに対して、高速連写で撮影した画像を15の視点からなる多視点画像として合成し、再生時にはカメラの傾き具合に応じて表示する写真を入れ替えることで、疑似的な立体感を利用者へ与える。3Dメガネをかける必要もない手軽さがポイントだ。
ではどのように見えるか、まずは試しに見てもらおう。
カメラ本体を傾けると、まるで液晶の内で画像が立体感を得ているよう、見える様子が伝わるだろうか。飛び出して見えるというより、箱庭の中をのぞき込むといった感じだが、決して「平面」ではなく、ある種の臨場感が伝わってくる。人へ見せると驚かれること請け合いだ。
撮り方としてはスイングパノラマと同じくカメラを左右に振るだけなのだが、上手に撮るのはちょっとしたコツがある。
ひとつは構図。立体視などを利用する訳ではないので、3Dっぽく見せるには構図にも気を配る必要がある。「広く開けた風景」のようなもともと立体感を得にくい構図はもちろん、「手前から奥に伸びる通路」のような構図でも本製品の仕組みでは立体感を得にくい。立体感を与えたい主被写体を定め、かつ、1メートル程度離れた場所から撮ると、3D感がでやすい。
もうひとつは被写体の動き。高速連写した画像を重ね合わせるという手法のため、対象が高速に動いていると合成がうまく行かずに破たんしてしまう。ひとが首を振る、手を動かすといった程度の動きでも、その動きの速さ次第では破たんすることがあるので気をつけたい。
最後が被写体の収め方。カメラを左右に振って撮影するため、慣れないと主被写体を写真の狙った位置に収めにくい。対象が乗用車やバスなど横長の場合、全体を収めようとしても、端が切れてしまったりする。こればかりは慣れるしかないが、撮影スタート時、最終的に中央にもっていきたい被写体を液晶画面右端にとらえる感じで撮ればおおむねうまくいくようだ。
カメラ内で完結する機能であり、おまけ的なニュアンスが強いことにかわりはないが、ごくごく一般的なコンパクトデジカメと思わせておいて、実は3Dっぽい写真を手軽に人へ見せられるというのはなかなかに面白い。筆者は3Dを普及させるためには、いかに3Dを体験してもらう機会を増やすかだと考えているのだが、その観点でも、本機能に触れることで、3Dに興味を持ってくれる人が増えるといいのにと感じた。
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