紅葉撮影を楽しむための7つのコツ・後編――構図とボケにこだわって撮る:デジイチ初心者応援(1/2 ページ)
美しく見えた紅葉が、写真に撮ると意外と見栄えしない。そんな経験はないでしょうか。ただ何となくカメラを向けるのではなく、紅葉をいっそう引き立てる撮り方について考えてみましょう。
雰囲気のある紅葉が撮れる時間
前回(紅葉撮影を楽しむための7つのコツ・前編――色と光にこだわって撮る)は、紅葉撮影でのホワイトバランスと仕上がりモードの設定、PLフィルター、光線状態の確認などについて解説しました。今回も引き続き、紅葉を撮る際のコツとヒントを紹介しましょう。
まずは時間について。紅葉の見え方は、同じ日でも撮影する時間帯によってガラリと変化します。昼間の明るい日差しのもとで撮影すると、鮮やかでメリハリのある紅葉写真になりますが、フォトジェニックな雰囲気を狙うなら朝または夕方がお勧めです。
下の写真は、朝6時半に撮影した日光・小田代ヶ原の紅葉です。今年は数年ぶりに湿地に湖が生じたので、水面に反射した幻想的な光景が見られます。しかも早朝には濃い霧が立ちこめ、いっそう味わい深い雰囲気になります。この場所に限らず、夜明け前から早朝にかけては、風景がふだんとは違った表情を見せる絶好の撮影時間。絵ハガキ的な写真を撮りたいなら早起きする価値はあるでしょう。
同じ場所から、少し方向を変えて撮影したのが下の写真です。上の写真から約30分経過したため、すでに霧はなくなりましたが、そのかわりに日差しが強くなり、黄色い葉のコントラストが強調されています。刻一刻と移り変わる朝の風景は、眺めているだけでも飽きません。
絞り優先AE(F5.6 1/320秒) 露出補正:-0.7 ISO200 WB:晴天 ピクチャーモード:Vivid カメラ:オリンパス「E-PM1」 レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」
朝だけではなく、夕方でも次々と変化する空の色や光線状態を楽しめます。下の写真は夕方4時半に撮影した大尻沼。昼間よりも色温度が低くなり、紅葉がさらに赤く染まっています。
シンプルな背景で紅葉を強調する
全国各地にある有名な紅葉スポットでは、時期と天候さえよければ、比較的簡単に「決まった構図」の紅葉写真を撮影できます。ただ、そうした場所にはプロアマを問わず大勢のカメラマンが集まっていますので、誰が撮っても同じような写真になり、目新しさはありません。
人とは違った自分だけの紅葉写真を目指すなら、風景を部分的に切り取るクローズアップでの撮影をお勧めします。クローズアップなら、場所の有名無名は関係なく、近所の公園でも工夫次第で絵になる写真を撮ることができます。
そんなクローズアップ撮影でのポイントは、背景の処理です。撮りたいと感じた紅葉を見つけたら、その紅葉自体の見栄えだけでなく、紅葉の背景にも気を配ってアングルとポジションを決めましょう。影によって真っ暗になった背景や、青空のように単色の背景を選ぶと、紅葉そのものの色と形がいっそう際立ちます。
絞り優先AE(F5.6 1/800秒) 露出補正:±0 ISO100 WB:晴天 フィルムモード:スタンダード カメラ:パナソニック「DMC-GH1」 レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7」
ボカすことで、背景をシンプルにする手もあります。ボケを生み出すには、ズームレンズのテレ側や望遠ズームなど、できるだけ長めのレンズを使用した上で、絞り値を小さい値にセットすることが基本です。
発想を大きく変えて、紅葉をメインに撮るのではなく、紅葉を背景にして他の被写体を撮るという方法も、オリジナリティのある写真を目指すなら有効かもしれません。東京に住む筆者の場合、これからの季節は都会の建物や人々と絡めた紅葉を撮りたいと考えています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.