ハイクラスコンデジ総チェック(1)――カメラ本来の性能で勝負するハイクラス製品をピックアップする(2/2 ページ)
普及型コンデジほど小さく軽く安くを追求せず、ミラーやマウントなどデザインを制約する機構上の問題もないが、カメラ本来の性能を追求した――そんなハイクラスのコンパクトデジカメが面白い。まずは代表的な機種をピックアップした。
リコー「GR DIGITAL IV」
スナップ用のハイクラスコンパクトとして忘れてはならないのが「GR DIGITAL IV」(略称:GRD4)。ハイクラスコンデジでは一番の老舗シリーズで、2005年に初代が登場して7年目。1年半くらいのペースでリニューアルしている。
とにかく変わらないところが魅力。
ボディの基本デザインは銀塩フィルム時代のGRシリーズをベースにした当初のコンセプトを継承。今となってはちょっと大きめに感じるが、実に渋くてがっしりしたボディで、適度な大きさ故にグリップ感や操作性もいい。。
28ミリ相当の単焦点というレンズも先代のGRD IIIからF1.9と明るくなったくらいで初代から変わらず。有効画素数も初代の800万画素から1000万画素に増えたくらいで、ほとんど変わってないといって過言じゃない。このデジタルの世界でこの変わらなさは特筆に値する。
だが中身は年々進化している。当初に比べて画質も安定し、高感度特性も上がり、撮影機能も増え、ディスプレイもいちはやく92万画素の高精細なものを採用し、GRD4ではとうとう手ブレ補正機構や左右の傾き+前後のアオリの2軸の電子水準器がついた。単焦点のスナップカメラ故に、アクセサリシューにつける光学ファインダも役に立つ。
キヤノン「PowerShot S100」
今回、COOLPIX P310と並んでコンパクトなのが「PowerShot S100」。
たとえば、X10やGRDはこういう人にこう使って欲しいというのがはっきりしたカメラであり、該当しない人はたぶん見向きもしないだろう。その点、Powershot S100は実にお勧めしやすい、いろんな人に向いたカメラに仕上がっている。さすがキヤノンだといえる。
レンズは24-120ミリ相当と広角からほどほどの望遠までと絶妙のレンジだし、広角端はF2.0の明るさを確保。望遠側がF5.9と暗いのは残念だが、レンズのコンパクトさを考えるといたしかたあるまい。
撮像素子は非常に評価が高かった前モデル(S95)が採用していたCCDから、新開発の1/1.7型の1200万画素CMOSセンサーに変更。前モデルより高感度時の特性が良くなってるし連写も効くようになった。これは注目すべき点だ。前モデルで評価が高かった鏡胴周りのファンクションダイヤルももちろん健在。
何より、この撮影性能を維持しながら、コンデジと呼ぶにふさわしいサイズ・重さにおさまっていて持ち歩きも容易なのが素晴らしい。その上GPSまで搭載しているのである。ボディが小さい分、細かい操作にはやや窮屈ではあるけれども、手軽に使えて画質もよく1台持ってると大変役にたつカメラであるといえよう。
ニコン「COOLPIX P310」
ニコンからはCOOLPIX P310をエントリー。今回唯一の1/2.3型裏面照射型CMOSセンサーで、センサーサイズや性能は他のハイエンドモデルに一歩譲る(というか、普及型コンデジと同じだし)が、そこ以外は十分にハイクラスコンデジ仕様。
同社は1/1.7型のセンサーを搭載したゴツいハイクラスコンパクト「COOLPIX P7100」も出しているけれども、P310の方が新しいし、他の4台とのバランスを考えると、スナップ向けのP310の方がいい感じにおさまると判断したのだ。
撮像素子こそ普及型コンデジと同じだが、レンズは24-100ミリ相当で、ワイド端でF1.8と破格の明るさを確保。テレ端もなんとかF4.9に抑えており、十分にハイエンド仕様だ。
とくにマニュアル系機能が充実。電子ダイヤルとホイールの2つのダイヤルを装備して快適な操作を実現しているし、撮影機能も豊富だ。CMOSセンサーの高速連写を生かした連写機能やHDRも備えているし、デジタルエフェクトをかけた撮影も用意されている。
ボディはシンプルな箱形をベースにして、レンズ部が少し飛び出している。大きさはS100と同じくらいで非常にコンパクト。ワンランク上のスナップ用コンパクトが欲しいなら選択肢に入れたいモデルだ。
モデル:津川智香子(オスカープロモーション)
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