「EOS Kiss X6i」第2回――ライブビューで4つのAFモードを比較する:長期試用リポート
EOS Kiss X6iを光学ファインダーで「一眼レフ」として使うには申し分ないデキだが、ライブビューではどうか。STMレンズを組み合わせた状態で4つのAFを試してみた。
さて、「EOS Kiss X6i」の長期試用リポート、第2回である(第1回はこちら)。
Kiss X6iを使ってみて思ったのは、光学ファインダーを使って「一眼レフ」として使うにはまったくもって申し分ないデキで、もちろん「EOS 60D」や「EOS 7D」のようなミドルクラスカメラに比べると操作性などで違いはあるけれども、エントリー向けとしては、AFも速いし、連写も前モデルよりちょっと速くなったしで何の問題も無い。まあそこは優秀である。
でもライブビューで撮ってみると、「あれ? AFが意外と遅くないか?」と感じたのである。デジタル一眼レフのコントラスト検出AFと思えば動きもスムーズだし遅くもないのだが、ライブビュー時のAFが高速化されたのは新製品のウリのひとつでもあるわけで、期待したいところではないか。レンズには新型の「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」を組み合わせて、いろいろ試してみた。
AFモードでけっこう違うAF速度
Kiss X6iのライブビューはAFモードを4つ持っている。
ひとつめはフルオートに相当する顔検出AF。顔があれば検出し、なければライブ多点AFとして働き、任意の被写体をタップすると、被写体追尾AFとして動作する。
フルオートでライブビューでうちの寝てる猫を撮ってみたらいきなりストロボがポップアップして、偶然口をでかく開いた瞬間にシャッターが切れちゃったわけで、まったくもってこのシーンを狙ったわけじゃないのであった。偶然でもいいタイミングだったのでよし。犬歯の間に並んでる小さな6本の前歯が可愛い
ふたつめはライブ多点AFで、どこに測拠点を合わせるかはカメラが自動的に判断する。みっつめは一点AF。中央あるいは液晶画面のタップした場所にピントを合わせる。
よっつめがクイックAFで、シャッター半押しでミラーダウンし、位相差センサーを使ってピントを合わせてからミラーアップという昔ながらの方式。
で、AFが一番速いのは圧倒的にクイックAFなんだけど、ミラーのアップダウンにかかる時間がけっこうバカにならない。
AFロックして撮るのなら速くてよいが、一気押しでAF+撮影を一度にやっちゃうのなら、一点AFでそれをやったときと結果はあまり変わらず、速さ的なメリットはない。AFロッカー(いやこんな言葉はありませんが)向け。三脚にカメラをつけて見やすい向きにモニタを開いて、AFロックして、あとはタイミングを見計らって撮るとかそういうときにはいいんじゃないかと。
面白いのは、ライブ多点AFと一点AF時の差。両者でAF速度がかなり違うのだ。ライブ多点AFはカメラ側がAFポイントを探すためか、ちょっと遅い。待たされる感がある。一点AFはスッと合う。大ざっぱにいって、倍くらい違う。条件にもよるが、コンティニアスAFをオフにして同じ被写体でAFにかかる時間を比べてみたら、ライブ多点AFの方が一点AFより0.5秒ほど時間がかかった。一点AFにしておくと、その半分。ミラーレス一眼に比べると遅いけど、ストレスは溜まらない。普通に使える感覚だ。
ちなみに、一点AF時は中央付近は撮像素子上の位相差センサーが働くのでより高速なはずだが、中央付近と周辺部で顕著な差は感じられなかった。まあこれは焦点距離や被写体との距離などで違ってくるはずで、Kiss X6iの場合、撮像素子上の位相差センサーで大まかに合わせてコントラスト検出で微調整するので、それが関係しているのかもしれない。
じゃあライブビュー専用機であるミラーレス一眼と比べるとどうか。まあミラーレス一眼でも機種によってAF速度に差はあるわけだが、本職ライブビュー機にはまだ負けるかなあ。Kiss X6iは本職が一眼レフであり、本体もマウントもライブビュー前提で設計されたカメラと比べるのはそもそも酷なんだろうけど。
感心したのは被写体追尾AF。これはけっこう優秀だった。迫ってくる電車くらいならすごくきれいに追従してくれる。
思ったより使えそう。
よって、ライブビューで撮るなら、一点AFモードでタッチAF、あるいは被写体追従AFがおすすめかと思う。特に望遠時や絞りを開いているときなど被写界深度が浅いときにカメラ任せにするのはちと怖いからね。
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