美点を継承しイマドキの機能もプラス― 人に勧めたくなるカメラ「PowerShot S110」(2/4 ページ)
見た目こそ派手とは言えないものの、小型軽量でどんなときでも確実にワンランク上のきれいな写真が撮れ、操作系は感覚的で、しかもWi-Fi搭載で撮った後も楽しめるという、実にバランスに優れた、よくできたカメラが「PowerShot S110」なのだ。
サクサクタッチパネルが使いやすい
このシリーズの特徴は、2009年の「S90」から導入されたレンズ周りの「コントローラーリング」。右手でしっかりグリップして、左手でリングをカチカチいわせながら回すのが楽しい。操作が楽しいデジカメってなかなかないわけで、これは素晴らしい。リング部の「綾目ローレット」処理も指触りがいい。
コントローラーリングで何を操作するかは自由に変えられるので、これをズーミングにすることもISO感度にすることも露出補正にすることもできる。「RING FUNC.」ボタンを押せば即座にリングへ割り当てる機能を変更することも可能。背面にはホイールもついているので、実は「電子ダイヤルが2つある」カメラなのである。コンパクトなのにハイエンド機なみの操作性だ。
充実した操作性をシリーズ既存製品から継承しつつ、S110では静電容量式のタッチパネルを新搭載した。タッチパネルを搭載しつつも、ボタンやダイヤルの数は従来から変更されていないので、タッチパネルをタッチ操作の方が便利なシーンでのみ使える。
一番便利なのはAFである。被写体を構図のどこにおいても、「これを撮りたい」と指でタッチすればそこにピントが合い、AUTOモードではタッチした被写体を自動追尾してくれる。
AFポイントを十字キーで移動させる方式だと、枠を動かすのにどうしても時間がかかるが、タッチ操作なら一瞬である。その上、目で見て「これを撮りたい」とダイレクトに指定できるので感覚的にも使いやすい。待望の機能だ。人が大勢いるときも、顔を検出した中から「この人」と指で指示できるのもいい。
グリップしたまま右手親指を伸ばして、あるいはカメラを下から支えたまま左手の親指を伸ばしてタッチするのがおすすめ。タッチシャッターをオンにしておけば、触っただけでAFを動かし、シャッターを切ってくれる。
よいのは「触ったらシャッター」ではなく、「指を離したらシャッター」であること。つまり「これを撮りたい」と思ったら指でそこを触り、タイミングを見計らって指を離すとそこで撮影される。感覚的には「シャッターの半押し&レリーズ」をタッチパネルだけでできちゃう感じだ。これは慣れると実にいい。
例えば、斜め下から撮るとかハイアングルで腕を伸ばして撮るとか、普通じゃない角度で撮りたい、でもそれだとシャッターボタンが押しにくい、ってときにタッチシャッターで補える。タッチシャッターというと「画面を触ったら撮れる機能でしょ」と思われがちだが「指を離したときに撮れる」というだけで使い勝手がぐんと広がるのである。
タッチパネルには、さらに活躍の機会がある。画面右の黒いエリアをタッチすることでコントローラーリングの項目を変更できる「タッチアンドセレクト」機能だ。
撮影モードが「絞り優先(Av)」でコントローラーリングを絞り値にセットしていた場合、リングを回すと絞り値が変わる。しかし、右手親指で画面へタッチするとISO感度と露出補正のアイコンが現れ、親指をタッチしたまま上下にスライドさせてどちらかを選んで左手でリングを回すと、ISO感度あるいは露出補正をリングで変更できる。
つまりカメラを構えて被写体を見たまま、コントローラーリングだけでセッティングを変えられるわけである。コンパクトなボディながら構えた状態から指を伸ばすだけで必要な機能をさっとコントロールできる。マニュアル系の撮影をしたいとき、この使い勝手はとてもありがたい。
撮影モードはコントローラーリングと同じく、綾目ローレットで仕上げられたのモードダイヤルで変更するのだが、フルオートや各種マニュアル系モード(プログラムや絞り優先など)に加えて、シーンモード、クリエイティブフィルターモード、ムービーダイジェスト機能がある。
フルオートは「こだわりオート」で58シーンを自動判別してその場に応じた撮影をしてくれる。人物を撮るときは人の顔が最適の色と明るさになるよう自動的に調整してくれる。人じゃなくても動く被写体を見つけたらそれを「主役」と判断してピントを合わせてくれるので、ペットも撮りやすい。とにかくさっと撮りたいときはオートのままでOK。そのヒット率は非常に高い。
シーンモードはポートレートや風景といった一般的なもののみならず、美肌モードや、オートシャッター(笑顔で自動的にシャッターが切れる、ウインクするとセルフタイマーがはじまる自動セルフタイマーなど)、ハイスピード連写(秒10枚の連写機能)、手持ち夜景(複数枚連写して合成することできれいな夜景を撮影する)と幅広い撮影機能が入っている。
クリエイティブフィルターモードはデジタルフィルターをかけた写真を撮れるモードで、3枚連写して合成してダイナミックレンジが広い写真を撮るHDR(三脚推奨)、ノスタルジック(どのくらい古ぼけさせるかをリングで指定できる)、ジオラマ風、ソフトフォーカス、極彩色などデジタルならではの写真を撮れる。
面白いのがムービーダイジェスト。このモードでは普通のプログラムモードと同等の状態で写真を撮るのだが(残念ながらこのモードではタッチAFは使えない)、撮影と同時にその直前の動画を最長4秒まで記録し、1日分をひとつの動画として別途記録してくれる。
簡単にいえば「その日の撮影のメイキングムービーを自動的に撮ってくれる」機能なのだ。これが面白い。全部をムービーダイジェストにしなくても、その日の要所要所でムービーダイジェストモードで撮れば、その日の撮影日記が動画で残るのだ。
こればかりはやってみないと分からないと思うけれど、とても楽しめる。写真好きの人はひとつのシーンで何カットも撮ると思うけど、そのうちの1カットをムービーダイジェストで撮っておくクセをつけると、自動的に「撮影散歩のメイキングムービー」ができているわけで、子供と公園にいったときなんかはその日の「ダイジェストムービー」が自動的に記録される。もっと知られ、使われてもいい機能だと思う。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia デジカメプラス編集部/掲載内容有効期限:2012年11月25日
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