ニコン「D600」第2回――DXレンズをフルサイズ機で使うのだ:長期試用リポート
D7000やD90などを使っていて、D600を買い増し(買い換え)すると、問題になるのはレンズである。何しろ、センサーサイズが違う。ただ、ニコンのフルサイズ機はDXレンズも使えるのだ。
DXレンズをフルサイズ機で使うのだ
さてニコン「D600」の長期試用リポート、第2回である(長期試用リポート:ニコン「D600」第1回――D7000ユーザーがD600でフルサイズに挑戦)。
わたしのようにD7000にD600を買い増し(あるいは買い換え)となると、問題になるのはレンズである。何しろ、D7000はAPS-Cサイズで、D600はフルサイズ。センサーサイズが違う。後々のことまで考えてフルサイズ用レンズでAPS-Cサイズのカメラを使っていた人はいいけれども……さすがにそこまで考えてる人は少ないよね。
ニコンの場合、APS-CサイズをDXフォーマット、フルサイズをFXフォーマットと呼んでおり、DXレンズも単焦点から高倍率ズームまで種類は豊富だ。
わたしはDXレンズがいまほど豊富じゃないころ、FXレンズをメインに使っていたもののDXレンズが揃い出すと、その方がコンパクトで軽いのもあって(何しろカメラのレンズはセンサーサイズ……つまりイメージサークル次第でボディの大きさが全然違う)、しばらくはDXフォーマットで行こうと、古いFXレンズをDXレンズに買い換えてしまった。で、D600を手にしたときにはFXフォーマットのレンズは手元にはほとんど残ってなかった。今ごろ言っても後の祭りですな。
だからD600を買ったはいいものの、手元のFXレンズは50mF1.8と、旧型の85mmF1.8、シグマのマクロレンズや古い望遠ズーム、そして70-300mmという望遠ズームレンズしかなかった。これではちょっとしょんぼりである。かといって、新たにFXレンズを一気に揃えるだけのお金はない。
でもうれしいことに、ニコンのフルサイズ機はDXレンズも使えるのだ。DX/FX自動切り替え機能を使うと、ちょうどAPS-Cサイズのエリアをクロップしてそこだけ記録してくれるのである。よしこれでなんとかならないかな、と使ってみた。
慣れるとなかなか具合がいい。視野率が思い切り広くなるから周りも見えるし。ただ、2400万画素のD600だが、DXモードで中央のAPS-Cサイズだけにすると1000万画素相当になる。半分は捨てちゃうわけで、とてももったいない。DX用の18-200mm(「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR」)をD600に装着し、クロップモードで撮ってみるとこんな感じ。1030万画素のAPS-Cカメラになっちゃう。
これはちょっと悲しい。
で、ふと思った。試しに、このままFXモードで撮ってみたらどうなるか。DX/FXの自動切り替えをオフにし、FnキーにDX/FXの切り替えを割り当てていつでもさっと変えられるようカスタマイズして、18-200mmの18mm側でFXモードで撮ってみた
かなり面白いことになりました。レンズのイメージサークルより広い範囲が写るので円形に写らない範囲ができてる。写ってる範囲でも周辺部の画質劣化が激しい。レンズの品質保証範囲外の隅っこを無理矢理使っているからだろう。周辺部の画質劣化を許せるなら、ギリギリまで手動で切り取って、1200万画素相当くらいはいけそう。
次はテレ端側。
テレ端だと周辺部の劣化にさえ目をつぶれば、もうちょっと使えそうだ。ズームレンズの場合、焦点距離によってイメージサークルが違うのだ。面白いので単焦点レンズでもやってみた。35mmF1.8というDXレンズをD600につけて撮ってみたのである。
けっこうギリギリまで大丈夫でした。四隅の画質劣化をごまかせばそれなりに使えそう。単焦点の方がちょっと余裕のある設計になっているようだ。
もう1本、ズームレンズを試してみた。D7000利用時のメインレンズだった「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」だ。これはなかなか写りもいいので気に入ってる。今度は風景で。上下に妙な波形が映り込んでるのは、フードをつけたままだったから。
18-200に比べると余裕があって、ワイド端でも1400万画素相当に切り取れば用途によっては使えそう(繰り返しますが、四隅の画質劣化に目をつぶれば、です)。
なお、面白がってFX/DX切り替えを手動にしてると、ときどきDX→FXに戻し忘れて妙に画角の狭い写真を撮っちゃったりするので要注意ではあります。
でも最終的にはFXレンズの方がよいに決まってる
とまあ、APS-Cサイズ用レンズを揃えちゃった人がフルサイズ機を買っても、フルサイズ用レンズが揃うまではなんとかAPS-Cサイズ用レンズでごまかせますよ、という話でした(注:ただし、これはニコンの場合。キヤノンだと、APS-C専用のEF-SレンズをEOS 6Dなどのフルサイズ機で使うことはできないので注意)。
でも、2400万画素のうち1030万画素相当しか使えないし、無理に使うと周辺部の劣化が激しい(当たり前です)わけで、できればちゃんとFXレンズを使いたい。それで本来の写りを楽しみたいもの。
で、最後になったけど、D600のキットレンズ「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」を借りたので使ってみたのだ。ボディだけしか買ってないので、キットレンズすら手元になかったのである。
レンズの大きさもほどよいし、軽いし、標準ズームとして使いやすい焦点距離のレンジだし、テレ端もF4.5におさえてるし、何よりズーム全域で38センチまで寄れるのがいい。
で、赤とんぼを見つけたのでギリギリまで寄ってみた。
これからフルサイズ機をはじめる人へのレンズキット用レンズとしてはすごくいいですな。
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