あこがれを手にする前のフルサイズ一眼入門(前編)――買う理由と買わない理由(2/2 ページ)
かつて憧れの存在だったフルサイズのデジタル一眼は、いまや少し予算を奮発すれば、手が届く価格帯になっている。買うべきか買わざるべきか。フルサイズ機とAPS-Cサイズ機を比較しながら検討してみよう。
デメリットはボディやレンズの大きさと重さ
いっぽうフルサイズ機でネックになるのは、ボディやレンズが大きくて重く、APS-Cサイズ機に比べて携帯性で劣ることだ。ニコン「D600」やキヤノン「EOS 6D」は、それまでのフルサイズ機に比べて小型軽量を実現しているが、それでも、レンズを合わせると持ち運びの負担はそれなりにある。
例えばEOS 6Dのボディは、APS-Cサイズ機EOS 60Dのボディと全く同じ横幅と重量だ。だが、標準ズームを含めたレンズキットの状態で比較すると、EOS 6Dのほうがサイズは一回り大きくなり、重量も約400グラムも重くなってしまう。
「EOS 6D・EF24-70L IS USM レンズキット」の使用時重量は約1355グラム。また「D600 24-85 VR レンズキット」の使用時重量は約1315グラム。これらの約1.3キロの重量を重いと感じるかどうかが、フルサイズ機を買うべきか買わざるべきかの、ひとつの目安になるだろう。
重さを負担に感じるなら、カメラの使用頻度が減ったり、持ち出すのがおっくうになってシャッターチャンスに出会う確率が減る、なんてこともあり得る。どんなにフルサイズが高画質といっても、使う機会が減ってしまうなら、APS-C機から無理に移行する必要はない。自分の体力や撮影スタイル、撮影目的、使用レンズなどをしっかり考えて判断したい。
個人的には、ボディとレンズを合わせて1000グラムを超えるカメラは、仕事以外ではあまり使いたくない。だからフルサイズでスナップを撮る際は、もっぱら軽量な単焦点レンズを活用している。ズームに比べて利便性では劣るが、慣れてしまえば不自由はない。フルサイズならではの高画質とボケ表現を気軽に楽しむには、単焦点レンズとの組み合わせがお勧めだ。
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