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速さの次元が違う、超高速ミラーレス ニコン「Nikon 1 V3」徹底解剖(1/6 ページ)

小さくて軽い「Nikon 1」シリーズがまた一つ階段を上った。次元が違う速さを身につけたV3を徹底解剖する。際だった個性を持つ、魅力的な1台だ。

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 「Nikon 1 V3」は面白い。思った以上に面白い。

 Nikon 1 VのシリーズとしてはV1、V2と来て3代目になるんだけど、V1ともV2とも違うフルモデルチェンジを果たし、テイストを少し変え、自らの特徴を前面に押し出した面白いカメラになったのだ。

 Nikon 1ってそもそも面白いシリーズなのだけど、いまひとつ理解されてないというか、その良さを自らがうまく表現できないというか、そんなもどかしさがあったわけだが、今回の3代目モデルで世間の見る目が少し変わってくるかもと思う。

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「Nikon 1 V3」にキットレンズ「1NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM」を装着。コンパクトながら本格派の風格といったところ

 そもそもNikon 1の面白さって何なのかというと、小さくて速いことである。その速さときたら、他社のカメラに比べてちょっと、というどころじゃない。次元が違う速さである。従来のNikon 1も速かったが、今度のは次元が違うのだ。

2つの速さを持つ「Nikon 1 V3」

 Nikon 1 V3(以下、V3と略します)の速さは「力と技の風車が回る」ってくらいである。まずはAFが速い。Nikon 1はミラーレス機のなかでは早くから像面位相差AFへ取り組んで高速AFを実現していたのだが、さらに磨きがかかった。

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Nikon 1 V3の電源オフ時と撮影時。キット設定されている「1NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM」は新型の電動ズームレンズで、カメラの電源を入れるとレンズが自動的にせり出てくる

 像面位相差センサーの測距点は105点と前モデルより増え(V2は73点)、明るい場所では位相差AFセンサーのみ働くので瞬時でピントが合う。暗いときや周辺部ではコントラストAFを使う。明るい場所ではとてつもなくAFが速いと思っていい。

 位相差AFがコントラスト検出AFに比べて威力を発揮するのはコンティニュアスAF時。常時フォーカスを合わせながら撮ってくれるのだ。だからAF-Cにしておけばシャッターを切った瞬間にさっと撮れる。これは気持ちいい。

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正面から。マウントの左にある○はダイヤル。主に絞り値を変更するのに使う

 タッチパネルを搭載しており、タッチシャッターが使える。それだけなら珍しくないが、従来のカメラとは次元が違う。V3のタッチシャッターはAFが超高速なので、画面をタッチした瞬間に撮れるのだ。このレスポンスは、はじめてタッチシャッターが実用になったと思わせるほど。タッチパネルはもっと早く採用すべきだったと思う。

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背面から。モニタの右にはFn1、円形の十字キー+ホイール、Fキーとなっている。背面ダイヤルの横にFn2と書いてあるが、これはダイヤルをクリックするボタンのこと。ダイヤルのカスタマイズを自由にできればなおよかった。

 続いては連写が速い。

 V3は通常の連写モード(秒5コマ)と高速連写モードの2つを持っている。高速連写にした場合、秒20コマまでAF追従の連写、1枚目にAF固定するのなら秒60コマという超高速の連写ができる。

 AF追従で秒20コマってのがすごい(前モデルは秒15コマだった)。

 ちなみにこんな感じである。特急ロマンスカーがこちらに迫ってくるところである。AFの追従性能が分かりやすいよう、秒10コマのモードで撮っているが、20コマでも問題なく追従してくれる。

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望遠ズーム「1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6」を使い、こっちに迫ってくる電車をAF-Cで連写してみた。200ミリ相当の望遠で、シャッタースピード優先で1/1000秒で撮っている。 なお、この作例はサムネイルだけです。すみません。最前列に座ってる乗客の顔がばっちり写ってしまったので

 お見事である。フォーカスモードはAF-Cのマルチフォーカス。つまりどこにピントを合わせるかはカメラ任せにし、わたしはただシャッターを押し続けただけだ。なお上の写真を数えてもらうと分かるように、最大記録コマ数は最大40コマ。バッファは40コマ分まで用意されているので、秒10コマだと4秒分、秒60コマだと0.6秒分撮れる。

photophoto 高速連写は秒10コマから60コマまで選べる。秒20コマまではAF追従連写対象だ(写真=左)、マルチAF時はシャッターの半押しでこのようにAFポイントが表示される。ただちょっと大雑把かなとは思う。これだけたくさん枠が出ると、実際にピントが合うのはどこなのか気になっちゃう(写真=右)

 バッファ上の画像はバックグラウンドで保存しながら随時開放してくれるので、すばやく次の撮影に移れるのがよい。バッファ残量は撮影時にシャッターを半押しにすると、画面右下に表示される。

 もうちょっと厳しい条件でAF-C連写をしてみた。向こうからこちらへ歩いてくる猫。メインの被写体が電車に比べると小さいし、等速で向かってくるわけでもない。マルチAFのAF-Cモードで、どこにフォーカスを合わせるかはカメラ任せで。

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50ミリ相当の単焦点レンズ「1 NIKKOR 18.5mm f/1.8」で、こちらに近づいてくる猫を連写した中から6枚抜粋。ちゃんと追従しているのが分かる。ただ等倍で見ると、遠くにいるカットで顔ではなく、胴にピントが合っているのがちょっと残念

 完璧ではないけど、今までのどのミラーレス一眼より素晴らしいデキといえよう。

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