第185回 水着と焦点距離と潮風の関係:今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)
さあ、夏と言えば恒例の水着撮影! なのだが、今年はなんと風が強くて遊泳禁止……。晴れているのに泳げず、風で砂が痛いほど飛んでくるという状況の中、モデルさんにはがんばってもらった。
広角はその画角を生かして
では海で撮ってみよう。今回は広角編・標準編・望遠編の3本で。
広角は広い範囲が写るから広角なわけで、背景を広く撮れる、広い範囲をぎゅっと凝縮するので遠近が強く出る、という特徴がある。ついでに、背景はぼけにくいのでグラビアみたいなカッコいいポートレートには難しいが、近距離で親しみのある写真を撮るのに向いてるし、背景を一緒にいれることで撮影時の雰囲気も一緒に写せる。
さっと縦位置で撮ってみた。背景が広く入っていてあまりボケてないのが分かるかと思う。
広角で撮るときは顔の位置に注意。周辺部になるほど遠近が極端に出るので、こんな風に顔を長辺の端の方におくと、おでこが広くなる。
縦位置で撮るときは頭の上に少し余裕を設けるのがよし。
さらに広角は遠近が強く出る。少し上から撮ると身体は下半身に向かって細くなっていくし、下から撮ると顔が小さくなる。だから撮影時のカメラの高さは大事だ。
例えば岩場で撮ってみた。
これだと岩場感に乏しいし、せっかくの広角なのに立体感に欠けるし、後ろにコンクリートの塊などが写ってる。
もっと広角にしてぐぐっと視線を下げて海面ギリギリから撮り直してみた。波がこないようにと祈りつつ。
そうすると水面や岩に遠近感が強く出るし、写真に立体感も出るし、ついでに水面に肌色がちょっと映ってアクセントになってるし、背景も青空ですっきり。
個人的には広角のポートレートはぐぐっと寄ってこそ面白いと思う。
上から撮ると身体がぐっと小さくなる。
ちなみに夏は太陽の位置が高くてちょっとでも見上げるとまぶしい。まぶしいときはまぶしそうな顔になる。そこはもう逆光で撮る、あるいは少し下から撮る(下から撮れば目線は下を向くからまぶしくないし)。
そしてぐぐっと寄る。広角で寄るとすごく近くで撮ることになるけど、それがいい。顔も小さく写るし。
広角で撮るときは正面よりも上下左右少しバランスを崩して一工夫するといい。
標準から中望遠で撮る
標準から中望遠は一番使いやすいレンジ。
ほどよい距離感で撮れるし、遠近も強く出ないし、自然な感じになるので扱いやすい。さらに少し望遠にするとスタイルもきれいに出るし背景も整理される。
ちょいと撮り比べてみよう。
ちょっとした焦点距離の違いでこれだけ変わる。スタイルも顔の微妙な形も雰囲気も変わる。それが面白い。
もしふわっとしたポートレートを撮るのがメインなら中望遠の単焦点1本(85ミリ相当のとか)でいいかもしれないというくらい。
このようにきれいに撮るなら中望遠なのだ。
ぐぐっと寄って撮ると、背景がほどよくぼけてポートレートっぽくなるというもの。背景を海にしてすっきり撮りたいときもよし。
逆光でちょっと顔が暗いと思ったらストロボを焚くという手もある。顔がほどよく明るく、背景の海もきれいに出るし、目に白い光の点(キャッチライトという)も入る。何より目元が明るく写るのがいい。
光の当たり方がわざとらしくなるんだけど、むしろわざとらしさを楽しむべし。
ほどよい距離感を楽しめるのもこのレンジの良さ。広角だと近すぎるし、望遠だと遠すぎる。遊びながら撮るには標準から中望遠がちょうどよい。
非常に教科書的なきれいにまとまったポートレートを撮れるのだ。
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