村上龍に聞く、震災と希望と電子書籍の未来(後編)電子版「ラブ&ポップ」をGALAPAGOSでリリースしたその理由(2/3 ページ)

» 2011年07月27日 10時00分 公開
[まつもとあつし,ITmedia]

なぜGALAPAGOSだったのか?

―― なるほど。ただプラットフォームという意味では今回、iPad、iPhone、Androidに加えて、GALAPAGOSにも展開されたわけですね。

村上龍  基本的には船山君(G2010代表の船山浩平氏)にそういった戦略は考えてもらっていますが、その過程でGALAPAGOSも見せてもらって、じゃあ、これでいこうと。

―― 実際に実機でデモを作られて、それを見て、これならいけると。

村上龍 はい。

―― 国産のプラットフォームでもあるGALAPAGOSに対する印象はいかがでしたか?

村上龍 「シャープ」ですからね。いやそれはもう、「シャープ」ってだけで。僕らの世代ではまだ、やはり確固としたイメージがありますから。

村上龍さん 「ハードにはあまり興味がない」と村上さん。しかし、技術屋としてのプライドといったイメージをシャープには抱いているとも

―― 特にどういうイメージなんですか。

村上龍 いやあの、何ていうのかな。正直、そういった、ソニーとかパナソニックのような大きな企業とは違う位置にシャープはいたわけです。とにかく、シャープ好きというのが、いてですね。僕の仲間にも。

―― わたしの周りではソニー好きというのは聞くんですけど、シャープ好きというのは……。

村上龍 いや、あのね。いるんですよ。ほんとにいるんです。

―― そうですか。へええ。

村上龍 シャープ好きだっていう。いかにもシャープだっていうような、個性のあるいろんな、電機製品を作ってきたところだし。だから、そういったイメージがありまして。

―― 今だと、亀山ブランドっていうイメージがありますけど。昔からその……。

村上龍 ちょっと、変わっているんだけど、技術屋さんのプライドみたいなものが感じ取れますよね。あとこう、これはシャープさんから見れば違うかもしれないけど、あんまりこう、社会に迎合しないというかですねなんかこう、硬派みたいな感じ。

―― 独自色がある。

村上龍 そうです、そうです。

―― ありますよね。ほんとにあの、GALAPAGOSという名前もわたし、聞いたときには、もう本当にびっくりしたので。

村上龍 そうだよね。

―― それまでは、まあ、どちらかというと、やゆする言い方で使われていた言葉を、そのまま商品名に採用するというのは、なかなか。これはもう、本当にお世辞抜きで、ガッツがあるなと思ったんです。

村上龍 びっくりしましたね。

―― 先ほどiPadを最初に見たときの衝撃をお話し頂きましたが、逆にGALAPAGOSに限らず、国内勢にもう少し、こうなった方がいいのにといった要望があったりはしますか?

村上龍 僕はハードにはあんまり興味ないんです。デバイスの特質に合わせてやればいいなと思っているんですよ。だから、もうちょっとこうしてほしいとかいうのは、あまりないです。

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