表で分かる電子書店――しかし真に見るべきは「サービス」

「表で分かる電子書籍ストア比較」をお届けして1年以上が経過した。現在の電子書店は何か変化したのだろうか。幾つか主要な電子書店のラインアップと対応プラットフォームを比較してみた

» 2012年09月12日 16時00分 公開
[ITmedia]

 eBook USERが「表で分かる電子書籍ストア比較」をお届けしたのは2011年6月のこと。もうかなり前のことのように思える。

 2012年9月現在、電子書籍市場で最後の巨人と目されるAmazon.comはまだ日本市場への本格参入を正式発表していないが、それでもこの間、電子書籍市場はさまざまなニュースで溢れており、1年前の情報は賞味期限が切れつつある。果たして現在の電子書店はどれくらい変化したのだろうか。

 そこで、前回の記事内容を踏襲し、eBook USERで定点観測している電子書店(GALAPAGOS STORE、Reader Store、koboイーブックストア)、および後述する電子書店ガイド特集で取り上げた電子書店、そしてそのほか主要な電子書店のラインアップをまとめてみたのが以下の表だ。

書店名 タイトル数 冊数 データ取得日 備考
BOOK☆WALKER 7680 9月11日時点 本棚は除外
BookLive! 6万8299 9万6008 9月11日時点 うち楽譜1万7234件
BooksV 42万8482 9月11日時点 うち雑誌記事33万7046件
Digital e-hon 8万9983 9月11日時点 うち医学文献8万7038件
eBookJapan 6万3216 9月11日時点
GALAPAGOS STORE 7万6871 9月7日時点
honto 5万6965 20万1858 8月5日時点 ケータイ小説&コミックが多い
Koboイーブックストア 5万6442 9月11日時点 日本語のみ・楽譜1万3000件
LISMO Book Store 8万3035 9月11日時点 うち写真集-グラビア-その他 1万6491件
Reader Store 6万2785 9月7日時点
Yahoo!ブックストア 4万5064 9月11日時点
紀伊國屋書店BookWebPlus 5万3490 9月11日時点 ジャンル別カウント
セブンネットショッピング 6万1253 9月11日時点
ニコニコ静画(電子書籍) 2280 9月11日時点 ジャンル別カウント
電子文庫パブリ 2万3958 9月11日時点
主要な電子書店のラインアップ

 1年前と比べると、どの電子書店もラインアップは大きく増えた。とはいえ、リアルの書店で並ぶような本がそのまま電子書店にも並んでいるかといえば、実際にはまだそうした状況にない。出版社から出ている本は、新刊であれば紙と電子の同時刊行なども珍しくなくなってきたが、過去の作品などは契約の関係などで電子化されていないものの方が圧倒的に多い。この4月に設立された「出版デジタル機構」、あるいは経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)などの動きにより出版社が持つ書籍の電子化が今後加速すると期待されているが、それらが形になってくるのはもうしばらく先の話だ。

 こうした中、最近の傾向としては、出版社のコンテンツに固執せず、楽譜や個人出版のコンテンツをラインアップに加えると電子書店が増えてきている。本好きからすると、出版社が刊行する書籍が電子書店にラインアップされることを期待したいところだが、上述のような課題もあり、そうした状況を横目に、広い意味でのコンテンツマーケットとして整備が進んでいる印象を受ける。

 しかし、その一方で、利用環境はかなり整備されてきた。現在、主要な電子書店の対応デバイスは、専用端末を除けば、PC(主にWindows)、iOS、Androidに対応するのが標準的で、利用のハードルは下がりつつある。

ストア名 Windows Mac OS X iOS Android Windows Phone 専用端末 備考
BOOK☆WALKER 2012年内にPC対応予定
BookLive! 専用端末を2012年秋にリリース予定
BooksV PDFコンテンツはマルチプラットフォームで閲覧可
Digital e-hon
eBookJapan
GALAPAGOS STORE
honto
Koboイーブックストア kobo Touch
LISMO Book Store biblio Leaf SP02 auのスマートフォンから利用可能
Reader Store Reader Sony Tablet(Xperia Tablet)、Xperiaスマートフォン向けにアプリを用意
Yahoo!ブックストア ブラウザをビューワとして利用可能
紀伊國屋書店BookWebPlus Reader、UT-PB1 Mac OS対応を予定
セブンネットショッピング
電子文庫パブリ
主要電子書店の対応プラットフォーム

 こうした状況をみると、ラインアップや対応デバイスが注目された時期は過ぎ去りつつあるといえる。今後は、例えば「読みたい電子書籍を簡単に探せるか」だったり、「複数の決済方法と分かりやすい決済プロセス」、または「ポイントサービス」「便利に読むためのツール」など総合的な「サービス」を考慮して電子書店を見るべきだといえそうだ。

 eBook USERでは9月から、これらのサービス面まで含め、各電子書店をレビューする「電子書店完全ガイド」を特集として掲載開始している。これらも参考にしながら、自分に合った電子書店を見つけてほしい。

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