電子書籍というと、どうしても「どの端末がいいかな?」とハードウェアありきで考えがちですが、筆者は「どの端末を選ぶか?」より「どのストアを選ぶか?」の方が重要だと考えています。読みたい電子書籍を探したり、購入したり、読むためのツールを提供したり、保管したりといった、総合的な「サービス」を提供しているのが電子書店だからです。
この特集では、それぞれのサービスをじっくりと時間を掛けて使い込んだ筆者とeBook USER編集部が、国内の主要な電子書店を徹底解説します。「本当によいストアはどこなのか?」を知るガイドにしてください。この内容は定期的にアップデートし、サービスとしての電子書店の成長をつぶさにお届けします。
本特集では、以下の5つの要素に基づき電子書店をレビューしていきます。
各項目について、3点を平均とし、いい所があれば加点、悪い所があれば減点という形で評点を付けます。記事の最後に、これらの評点結果をチャートグラフにしたものを用意していますので、そちらも参考にしてください。
第10回目は、「eBookJapan」をレビューします。株式会社イーブックイニシアティブジャパンの運営する電子書店です。出版社に勤めていた現会長が2000年5月に独立・創業したベンチャー企業で、昨年10月には東証マザーズへ上場(証券コード:3658)を果たしています。「SAVE TREES!」を合言葉に、12年間ずっと電子書籍1本でやってきた会社です。
eBookJapanは、コミックを中心としたラインアップをebiという独自の画像形式フォーマットで配信してきましたが、つい先日.bookやXMDFといった他のファイル形式にも対応、「総合書店」として展開するようになりました。マルチデバイスに対応しており、「トランクルーム」というインターネット上にファイルを保管できるサービスをいち早く開始した電子書店でもあります。
eBookJapanのWebサイトを開くと、上部に総ラインアップ数が表示されています。2012年12月14日時点で7万1130件が配信中です。
次に、ジャンル別の数字をチェックしましょう。以下の数字はPC Webでトップページに表示されているものですが、これとは別にPCでは閲覧できないタイトルが約3000ほどあるそうです。ダイナマイツについては後述します。
ジャンル | 作品別 |
---|---|
少年・青年マンガ | 33668 |
少女・女性コミック | 21767 |
ハーレクイン | 4735 |
総合図書 | 4831 |
ダイナマイツ | 4785 |
もう少し細かいジャンル分類でチェックしてみます。[成人向け作品の閲覧]設定を[閲覧する]にした状態で、各ジャンルの[もっと見る]ボタンからタイトル別と作品別の点数を調べました。複数ジャンル登録されている作品が若干あり、合計すると約7万3000件になります。
ジャンル | タイトル別 | 作品別 |
---|---|---|
青年マンガ | 4335 | 21251 |
少年マンガ | 2336 | 14944 |
少女コミック | 3587 | 10615 |
女性コミック | 1664 | 4018 |
ティーンズラブコミック | 1556 | 2408 |
レディースコミック | 316 | 587 |
ティーンズラブ小説 | 65 | 78 |
ボーイズラブコミック | 2546 | 3734 |
ボーイズラブ小説 | 587 | 686 |
ハーレクインコミック | 1865 | 1974 |
ハーレクイン小説 | 2751 | 2761 |
文芸書 | 1508 | 2278 |
ノンフィクション | 218 | 273 |
ビジネス | 65 | 77 |
カルチャー | 889 | 1244 |
学術 | 596 | 979 |
写真集 | 236 | 323 |
ライトノベル | 27 | 48 |
ダイナマイツコミック | 1840 | 2716 |
ダイナマイツ写真集 | 814 | 1942 |
官能小説 | 123 | 127 |
コミックの点数に関しては、これまでレビューをしてきた電子書店の中では頭1つ抜き出ています(☆+0.5)。作品別点数だけで言えばhontoの方が多いですが、hontoはいわゆる「ケータイ小説・コミック」と同じ形態で配信されているものも多く、タイトル数はそれほど多くありません。eBookJapanでも同様の形態で配信している作品はありますが、その数は少ないです。つい最近まで集英社コミックの取り扱いがなかったのがネックでしたが、11月6日から配信を開始して死角がなくなりました。
一方、リフロー形式への対応は最近始まったばかりということもあり、一般的な書籍や雑誌の取り扱いはまだ少ないです(☆-1.5)。同社のプレスリリースによれば、近日中に約3万冊分を順次配信とのことなので、今はまだ「コミック専門店」ですが、「これから総合書店になる」ための1歩を踏み出した段階ということになるでしょう。
評点:☆2.0
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.