本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。連載6回目はシャッツキステのツンデレメイドが登場。「デレ」の部分が垣間見られるかも……?
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。そこには書架を守る司書がいます。
ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです……。ひそかに好感度を上げて、年に一度行われる本の展覧会にミソノさんとご一緒できるよう、お気に入りの一冊を持って、今日も書架にメイドがやってきました。
ミソノさん、美味しいお茶を淹れたのだけど、ご一緒にどうかしら。
わー、レイラさん、ありがとうございます。午後の昼下がりにお茶の時間って、何だか優雅ですねぇ。
今日はいつもの紅茶じゃなくて、緑茶にしたんですよ。
そういえば、この前読んだ本に、『優雅とは、最も効率的な運動の仕方と定義できる』みたいなことが書いてあって、すごく印象に残りましたねぇ。
まぁ、何というタイトルの本ですか?
新渡戸稲造の『武士道』です。わたくしが読んだのは山本博文さんが現代語に訳し、解説してくださっている『現代語訳 武士道』の方でしたので、すごく読みやすかったですよ。
武士道! 何というか、意外なチョイスですね!
そうですか? 新渡戸稲造が、なぜこの本を著したかのいきさつを知れば、今のわたくしたちこそ読む価値を見いだせる本だということが分かりますよ。
ミソノさんはこの武士道という本は、誰のために、どのような状況で書かれたものかご存じですか?
いいえ。でも、やはり武士道というからには、これから立派な武士になろうとする若いお侍さんのために書かれたものなのではないのですか?
ところが、違うんです。これは米国に留学した著者が、『日本人は、宗教なしに道徳をどう学ぶのか』というベルギーの法学者の問いかけをきっかけに日本人の倫理・道徳観や精神のありかたを説明した『日本人が外国人に向けて書いたはじめての日本人文化論』といわれているんです。
出版元は米国で、もちろん英語で書かれています。
えぇっ、そうだったのですか?
わたくしもそれを知って、読んでみたいと思ったのです。
わたしたちは日本文化に多く触れ、それを知っているつもりでいます。が、その根底となる武士の精神について、よく知っているとはいえないように思うのです。
それどころか時代小説や漫画、ゲームなどの娯楽性の高い作品に影響され、ある意味では当時の外国人のように間違った認識を気づかずに持ってしまっているのではないでしょうか?
ふむふむ……。
武士道の本質は、義、礼、信、名誉などの美徳とされていて、それを著者が1つずつ丁寧に分かりやすく説明しているので、本当に楽しく読み進めることができたんです。
わたくしの個人的なオススメポイントは、文中に何度か出てくる著者の『わたしはこれこれについてここで詳しく説明することもできる。でもそれは今回書きたい内容から外れるのであえてここではしない』という言い方です。すっごくかわいいと思いませんか?
……かわいい?
このちょっとしたプライドが見え隠れしつつも本質を見失わずに論を進めて行く稲造さんは、すっごくかわいいと思います!
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:12% レイラ:14% サヤ:5%
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