ヴィレヴァンで電子書籍の取り扱い開始――日本を「あっ!」と言わせたい(1/2 ページ)

書籍・雑貨を販売するヴィレッジヴァンガードが電子書店「いつでも書店」を運営するベストクリエイトと提携し、書籍コーナーで電子書籍の取り扱いを開始した。同社の新たな挑戦とは――。

» 2013年08月22日 14時25分 公開
[渡辺まりか,ITmedia]
小栗充裕氏(中央)

 書店でありながら、一風変わった雑貨も販売しているヴィレッジヴァンガード(以下「ヴィレヴァン」)。店舗によっては、サブカルチャーの殿堂のような佇まいを見せている。

 この同社が8月から、携帯端末向け電子書店「いつでも書店」を展開するベストクリエイトと提携し、書籍コーナーで電子書籍を購入できる仕組みを取り入れた。

 リアル書店でありながら、電子書籍の取り扱いを開始した背景、また今後の取り組みについて、同社新規事業開発室の小栗充裕氏に聞いた。

「遊べる本屋」に新しい側面を追加

店舗へと下る階段にも、おなじみ「いつでも高校」の番長が電書取り扱い開始をアピールしている。

―― ヴィレヴァンさんといえば、書店なのに取り扱っている雑貨が一癖も二癖もあるためか、「書籍も売っている雑貨屋さん」というイメージがあります。

小栗充裕氏(以下小栗) 「カルチャーの発信をしよう」という創業者(現会長・菊地敬一氏)の意向が大きいからでしょうか。書籍自体の配置も、出版社別ではなく、カテゴリ別、生活空間別にコーナーを設け、関連する雑貨も並べたりして、何かを知るというよりは面白い空間、遊べる本屋を目指しているため、このようなスタイルになっていると思います。

―― 店舗ごとにカラーが異なっているのも、魅力ですよね。

小栗 仕入れやレイアウトなどは、現場に権限委譲しているので、各店舗の店長やスタッフが仕入れる書籍や雑貨などを独自に決定しています。店舗ごとにスタッフの趣味が色濃く出ていますね。でも、店舗ごとだけではなく、時間帯によっても、カラーを変えているんですよ。

―― 時間帯ごとにですか。

小栗 はい、午前中は主婦の方が多くお越しになりますし、夕方以降は学生さんが立ち寄ってくださるので、それぞれの時間帯別に店内の飾り付けやBGMを変えたりしています。

―― そうすると、今までの書店とは異なり、配置して終わり、という「受け」の状態ではなく、「攻め」の店舗を目指しているのですね。

小栗 そうですね。例えば、きれいに整頓しておいた書籍のある1冊だけがちょこっと飛び出していたりすると、「この書籍を手に取ったお客様がいらっしゃるのだな。この関連のものをもっと充実させよう」とかある場所に長くとどまっているお客様がいらっしゃれば、やはり同じように考え、もっとその商品を売れるように露出を増やしたりします。

―― そのような中で、今回の電子書籍の取り扱い開始ですが、これは、電子書籍の方が「売れる」と直感されたからなのでしょうか? 紙の書籍についてはどう感じていらっしゃいますか。

小栗 電子書籍については、導入期を過ぎて、現在は成長期に移行している、と言われています。でも、ライトユーザーの獲得には至っていないように感じています。それはコンテンツのオリジナル性がまだあまり見られないからではないかと。そういう点から言えば、まだ導入期なのではないでしょうか。また、紙の書籍については、インターネットやスマートフォン、SNSの普及によって、エンドユーザーの情報収集法が多様化しているため、右肩下がりなのは否めないと感じています。

―― なるほど。そこで、「いつでも書店」との提携につながるわけですね。

小栗 はい。わたしたちが今まで全く扱ったことのないデジタルコンテンツを販売するに当たって、「いつでも書店」はスマートフォンやタブレット端末で楽しめる、コミックに特化した電子書店なので、普段、スマートフォンを利用しているお客様にも違和感なくサービスを使っていただけるのではないかと思いました。それで、その運営会社のベストクリエイトと提携するに至ったわけです。

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