紙の本は、購入してしまえば「どの書店で買ったか?」が大きな違いになることはありません。しかし、電子書籍は「どの書店で買ったか?」で、その後の体験が大きく異なります。それは、音楽・映像・ゲームなどの配信サービスと同じように、電子書店がただ単に読み物をパッケージとして販売しているだけではなく、購入後の読書環境や保管に至るまでの総合的な「サービス」を提供しているからです。
国内でサービスを展開している電子書店はいくつもあり、群雄割拠の様相を呈しています。まだ「どこを利用すればいいのだろう?」と悩んでいる方も多いでしょう。どの電子書店もユーザーの満足度向上のためサービス内容を進化させ続けており、2012年の特集「電子書店完全ガイド」の内容も古いものになりつつあります。
そこで今回、「電子書店完全ガイド2013」と銘打ち、特に進化の著しい電子書店を中心に改めてレビューし直すことにしました。これまで通り以下の5つの要素に基づき、前回のレビューとの違いを中心に徹底解説していきます。
各項目について、3点を平均とし、いい所があれば加点、悪い所があれば減点として評点します。記事の最後で、評点結果をチャートグラフにしたものを用意しています。前回の評点と比較できる形で表示していますので、そちらも参考にしてください。
なお、どの電子書店も以前と比べてサービスレベルが向上しているため、前回は加点した項目でも今回は通常レベルのサービスとみなして加点しない場合もあります。全体のレベル向上により、相対的に評点が前回より下がる場合もあることをあらかじめご了承ください。
2013年版の第3回目は、9月にストアをリニューアルしたばかりの「BOOK☆WALKER」をレビューします。前回のレビュー(2012年11月22日)はこちらです。
BOOK☆WALKERのサイトを初めて訪問すると、右上に総ラインアップ数が表示されています。2013年9月18日時点で5万907点が配信中です。他の総合電子書店のラインアップが10万点を超えてきているのに比べると、相対的に見劣りする数字(☆-1.0)ですが、前回の調査時点(2012年10月30日)では9551点だったことを思うと、1年弱で5倍以上と急激にラインアップを増やしているのも事実です。
また、配信出版社数は152社と表示(前回の調査から124社増)されています。2010年12月のオープン当初はKADOKAWAグループ10社のコンテンツだけを配信していましたが、いまはKADOKAWAグループ以外のコンテンツが約70%を占めている状態です。
次に、カテゴリ別の数字をチェックしましょう。先日のリニューアル前後からジャンル分類は大きく様変わりしており、1つの作品に複数のジャンルが登録されています。しかし、サイトマップからダウンロードできる全商品csvデータには1作品1カテゴリの分類が記載されているので、そちらを集計して前回と比較しました。
カテゴリ | 2012年10月30日時点 | 2013年9月17日時点 | 増加数 |
---|---|---|---|
ライトノベル | 2688 | 5927 | 3239 |
コミック | 3765 | 27169 | 23404 |
文芸 | 1384 | 8860 | 7476 |
新書 | 396 | 1381 | 985 |
実用書 | 711 | 3886 | 3175 |
画集 | 21 | 44 | 23 |
ゲーム/攻略本 | 227 | 428 | 201 |
ケータイ小説 | 359 | 499 | 140 |
写真集 | 1435 | 1435 | |
コミックの点数が飛び抜けて多く、前回比ではコミックと文芸の伸びが著しいことが分かります。ライトノベルより文芸の方が点数が多くなっているのも特筆すべき点でしょう。KADOKAWAグループ以外のレーベルでは、少年マガジンKC、ハーレクインコミックス、少年チャンピオン・コミックス、モーニングKC、講談社文庫、ヤングマガジンKCなどの点数が多いです。
総合電子書店として考えると、電子雑誌の取り扱いがまだ少ない(☆-0.5)のも気になるところです。「艦これ」特集で売り切れ続出が話題になった「コンプティーク」も、KADOKAWAグループからの刊行にも関わらずまだ電子化されていないのが残念に思います。
ただ、サブカルチャーの専門店として捉えれば、非常に魅力的なのは間違いありません。文芸のラインアップがもう少し増えてくると、今回のリニューアルでフロアを分けたことが大きな意味を持つようになるでしょう。
評点:☆1.5
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