BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は京都にある古書店「古書善行堂」を紹介する。
今回の本屋探訪記は、京都にある古書店「古書善行堂」(以下は2011年8月の記録だ)。
白河通りと今出川通りの交差点を銀閣寺を背にして真っすぐ行くと左手に青いひさし。ここがその「古書善行堂」である。
まず、時間のない方のために手短にまとめたものを書いておく。
写真にも見えるように店舗前にはワゴンがあり100〜300円の本が入っている。新書と文庫、ハードカバーが一緒くたに並べられていて『悪徳の栄え』や『ヨムヨム』、カミュの『反抗の論理』など値段に対してお得なものが多いように見受けられた。
店内に入ってみるとかぐわしい木の香り。先ほどのワゴンも含め壁を除いた本棚などほぼ全てが木製なのだ。ホームページによると2009年7月オープンらしい。新しい木の香りを嗅ぐと良い気分だ。
BGMはラジオ。壁にはポスターが貼られていたりで結構オシャレだが、本棚に対して在庫が多過ぎるのだろう。整理が間にあっておらず本が山と積まれていて雑然としているのが玉にきず。しかし、それも古本屋らしいといえば古本屋らしい。
店の広さは大体6畳くらい。レイアウトは真ん中に腰くらいの高さの本棚、左手奥にレジ、右手奥は階段で行き止まり。壁はすべて本棚で、真ん中の本棚の上には店主の著書や新刊。前にはどかっと本の山がある。
本棚を見て行こう。
右手の通路には文庫と新書が少し。本棚は壁3つ、中央1つの4つ。手前壁側から講談社学芸文庫、ちくま文庫、安部公房20冊くらい、講談社文芸文庫、中公文庫、平凡社ライブラリー、同時代ライブラリー、福武文庫。
一番奥の壁棚の上段にだけ新書があり、ほかは『虚無への供物』や江戸川乱歩作品が多数、中上健次、日本ミステリーが多いようだ。振り返ると一列だけ岩波文庫が並べられていた。
次に左手の壁棚。手前から個条書きにしよう。
これでレジの手前に至る。レジには白髪の店主がたたずんで作業していた。
このメモを書くのに大体30分くらい店内にいたのだが、日曜日の夕方“だから”なのか、“なのに”なのか、狭い店内にお客さんが2〜3人常にいて、店主はその内の一人と本の話で盛り上がっていたりと良い雰囲気を出していた。
壁棚から振り返ると本の山である。
奥に先ほどの腰くらいの本棚の上にポストカードや夏目漱石『明暗』の箱本や萩原朔太郎の『死刑宣告』など高めの古書。本の山の上や山の間に見える本棚には店主の著書『古本のことしか頭になかった』や『関西赤貧古本堂』『新文学入門』など。このほか、『灘渡る古層の響き』『珈琲とエクレアと詩人』など新刊(店主の著書ではない)がいくつか。
本棚の中は歌舞伎の本や昭和の本。具体的には『歌右衛門伝説』や『昭和大雑誌』、梅原猛の『京都発見』などジャンル分けはされていないでいろいろな本がぎっしり詰まっていた。
これで古書善行堂の紹介は終わりである。せっかく来たということで2冊ほど買って帰った。行ったのが8月末のことなのでもう何を買ったか覚えていないが、良い買い物をした感触だけは覚えている。銀閣寺や哲学の道に行く際にはぜひ寄ってほしい。観光で刺激された文化的脳みそを満足させてくれるはずだ。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。このほか、電子雑誌「トルタル」や本と本屋とつながるWebラジオ「最初のブックエンド」、本を贈る文化をつくる活動「贈本計画」に参加。「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。ネット書店を近日中に開店予定。
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