仮面優等生とクールなクラスメイトが、お互いのひみつを知った時……? 近づきたいのに近づけない、もどかしい恋心を描いた作品『箱庭テレパシー』を紹介します。
好きなひとには ひみつがありました
季節は冬。人恋しくなり、誰かの温もりが欲しくなる、恋がしたくなる季節。
そんな今の季節、恋する女の子にオススメの作品、雪森 さくらさん作、『箱庭テレパシー』(ポラリスCOMICS)をご紹介します。
高校1年生の五十嵐 ましろ(いがらし ましろ)は、クラスメートからも教師からも信頼の厚い、真面目な学級委員長の女の子。けれど、その正体は、仮面優等生。幼いころ、両親の共働きに構ってもらえず、周りの大人たちに気に入られるために身に付けた外面の良さ、ぶっちゃけるとほめられるのが大好きなましろは、今日も皆からほめられたい一心で、優等生を演じています。
そんなましろですが、優等生といえど、恋愛に関しては普通の女子高生と同じ。彼女にもまた好きな人がいました。有村 四季(ありむら しき)。クールでイケメンだけれど、常に一人で行動し、他人を寄せ付けない、人嫌いな男の子。彼は、ましろが恋焦がれる、その人でした。
外面仮面なわたしにとって
有村くんの人にこびないとこも 一人で平気なとこも
むしろかっこいいと思うし 好きな部分だったりする
仮面優等生なましろにとって、あこがれの存在である有村。彼に少しでも近づこうと積極的に話し掛けるましろですが、現実はなかなか厳しいもの。相手にされず、切ない日々を過ごしていたある日、ましろは両親の急な海外転勤により、下宿生活をスタートさせることになります。
学校での優等生モードとは違い、自宅では仮面を脱いでなまぐさモードになるましろ。引っ越し先の箱庭荘でも、ジャージでゴロゴロしながらくつろいでいたところ、思いがけず出会ってしまったのは、なんと想い人である有村。だらけた自分の本当の姿を見せてしまい、焦って弁解しようとするましろに対して、有村は、
こっちのアンタが本当だって知ってたから驚いてない
ただ一つだけ 俺にこれ以上近寄んないで
と冷たい言葉で引き離します。どうして自分の本当の姿を知られていたのかと疑問に思いながらも、完全に嫌われてしまったと落ち込むましろ。しかし、彼女はその後、有村がましろを遠ざけようとしていた本当の理由を知ることになるのでした。
好きなひとのひみつは 彼をひとりにしました
有村の抱えていた秘密。それを知ってもなお、有村が気になってしまうましろ。
触れたい なんて 気持ちは捨てなくちゃ――……
恋する女の子にとって、その相手に触れたいというのは当然の気持ち。好きな人にはどんどんスキンシップして仲良くなりたいものです。ましろは悩みながらも、好きな気持ちが抑えられず、有村の迷惑にならないように行動を始めます。けれど、その先に知ったのは、傷つくことに慣れてしまった彼の姿でした
――ああ わたし なんて浅はかなんでこの人が人嫌いなんて
ひとりでいたいなんて思えたの
一途に有村を想い続けるましろ。そんな彼女のまっすぐな気持ちに、やがて少しずつ変化を見せていく有村。それでも交わることのない2人の想い。2人の前に立ちふさがるものは、やはり彼の抱えた秘密でした。
ましろのしている恋は、本当に切ないものだけれど、それでもめげずに、どこまでもまっすぐで一生懸命な彼女の姿は、とても好感の持てる主人公として、気づくとこちらが応援してしまうほど。
近づきたいのに近づけない、もどかしい恋心。恋する女の子、恋がしたい女の子にオススメな作品です。
(評:ラノコミどっとこむ編集部/やまだ)
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