電子書店の中の人 11回目――コミックシーモアの中の人あの書店のスタッフに直撃(2/2 ページ)

» 2014年02月21日 12時00分 公開
[西尾泰三,eBook USER]
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もっと身近なコミックシーモアを目指して

―― オリジナルレーベルの中から、おすすめの作品などあればご紹介ください。

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村瀬 私の一押しは、シーモアのコミックランキングで長らく1位を獲得していたこともある「恋するソワレ」の『君のために弾くショパン』という作品です。これはもともと紙で人気の連載作品が、電子書籍に移籍した作品でして、幼いころ遊んだ二人が大学生になって再会を果たす中、ショパンの幽霊が登場したりして二人の恋が進んでいく物語になってます。主人公のピアノに対する愛情や、恋愛の過程が微笑ましいです。ラブコメ好きの方にお勧めしたい作品です。

 もう1つは、「オヤジズム」の『いちばん長い夜をよろしく』という作品です。この作品が、先ほどお話した電子書籍から始まって紙の単行本が発売された作品です。恋愛漫画の主人公になるオヤジといえばカッコ良くて、スマートで、とっても頼れる存在というのが多いと思いますが、こちらは、主人公のオヤジが恋愛ベタの気の優しい男性です。まじめに誠実に恋愛をする心温まる魅力的な作品です。

―― 村瀬さんはキュンキュンする系がお好きなんですね。ちなみに、村瀬さんは電子書籍をどれくらい利用されますか? 紙の本との割合はどんな感じでしょう。

村瀬 プライベートでは、通勤や旅行、帰省など移動のときによく読みます。最近はファッション誌や旅行誌も電子化されているものが増えてきたので、他社サイトの研究もかねて本はほとんど電子書籍で読むようになっていますね。

―― ユーザーの立場として見たときに、電子書籍って、もっとこうあればいいのに、と思うようなことはありますか。

村瀬 電子書籍は、まだまだ誰にとっても身近なサービスにはなりきれていないと感じてます。私は自社はもちろん他社のサービスもWebからアプリまで日常的に使うようにしていますが、どれも使い慣れていない人にとってはハードルが高いですよね。例えば、会員登録をして、サイト上で書籍を買って、アプリをダウンロードして、本棚を開いて本を読む。こうした電子書籍を利用する一連の流れが複雑ですし、しおりをつけるとき、紙の本なら間に何かを挟むだけで良いけど、電子書籍の場合は設定ボタンを押して、しおりを設定して……という流れも面倒と感じる人も少なくないかも分かりません。こうしたところをより簡単に、初めての方でも使いやすいようなものにしていく必要があると思いますね。

 実は今、シーモアの書籍閲覧アプリのリニューアルを準備していて、私はこのリニューアルを担当しています。近々、お披露目できると思いますが、今回のリニューアルでは、お客様が快適に読書できるように極力シンプルに、使い勝手のよい機能を厳選して配置するなどUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上をかなり重視したものとなっています。UXにこだわり今より2、3歩前進したアプリをお見せできると思いますので、どうぞご期待ください。

―― それは楽しみです。アプリのリニューアルのほか、今後取り組んでいく予定の方向性としてはどのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

村瀬 お客様が快適に読書できるように、新たな読み方について検討中です。内容はまだ秘密です(笑)。

 また、シーモアの特徴の1つに、先ほどお話しした蓄積されたレビューの多さがあると思っています。ただ、レビューサイトの機能はまだ改善の余地があると自分では感じていまして、例えばお客様同士がレビューを使って交流を図るような場を設け、ストアにどんどん来ていただく形に持っていきたい、と考えています。

 やはり作品をどのように紹介していくか、コミックシーモアらしく売っていくかが重要になってきます。リアル書店でも、書店員さんがPOPを出したりして独自性を出されていますよね。電子書店も同じで、本好き、マンガ好きが作っているんだなと伝わるような企画や特集を展開していきたいと思います。

―― それでは最後に、エンドユーザーさんに一言お願いします。

村瀬さん

村瀬 コミックシーモアは、ケータイ時代から数えると、スタートして10年目に突入しました。ケータイ時代から電子コミックのパイオニアとして取り組んできて、多くのお客さまに愛されてきたと思っています。現在、お客様がお持ちの端末がスマホやタブレットといったように多様化していますので、お持ちの端末でいつでもどこでもご利用できる形になっています。またコミックやライトノベルといった書籍の種類、読み放題やレンタルといった買い方についてもいろいろ工夫をしています。これからもお客さまに満足いただけるように、サービスを日々進化させていけたらいいな、と思ってますので、今後ともよろしくお願いします。

―― どうもありがとうございました。



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