インタビュー
» 2015年03月30日 07時00分 公開

ドルオタ漫画家・藍 インタビュー:アイドル×オタクで面白さは加速する――アイドル群像漫画『ミリオンドール』の魅力とは (2/2)

[宮澤諒,eBook USER]
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新たなアイドルが登場?

―― いまは、マリ子とイトリオのバトル展開ですが、今後、第3の勢力が登場したりしますか?

 ラーフェスが終わって、いまはツーマンライブ編をやっているんですけど、このあと話が大きく転換して新しい章が始まります。そこでは新しいアイドルも登場しつつ、もっといろいろな展開をお届けできるように考えているので、楽しみにしていただきたいです。

―― 作品を描く上で気を付けていることはありますか?

 どうしてもアイドルものというくくりで見られてしまうので、既存の作品と似たような展開にならないように気を付けています。

 あと、オタク側のキャラクター描写には気を付けています。先程言ったように、ただのサクセスストーリーにしたくないというのと、実際のアイドルたちに還元していきたいという二軸が根幹にあるので、実際にアイドルシーンを支えているオタクの人たちをステレオタイプに描いてしまうのは違うかなと考えています。

―― 描いているときに熱の入るシーンはありますか?

 ずっと描きたいと思っていたシーンを描いているときは、熱くなりますね。特にいま描いている数話はぜひ読んでほしいところですので、今後の更新を楽しみにしていただけると。

 いままで描いた中でしたら、最初の1話〜3話は何回も描き直したということもあって、特に思い入れのある回になってます。あと、ラーフェスのライブシーンは、自分が作家をしている中でいい経験をできたな、と手ごたえを感じたシーンになっています。

―― 読者に注目してほしいシーンを挙げるとすると、やはりライブシーンですか?

 そうですね。あ、でも予想外な回が人気だったりするんですよ。私としては、ライブシーンは、「ここを落としたらもう終わりだ!」っていうぐらい死ぬ気で描いているんですけど、意外と「すう子会」が人気だったりするみたいなんです(笑)。すう子会も意欲的に描いているのでうれしいんですけど、できればもっとライブに注目してほしいなあとは思います(笑)。

濃いメンバーが集まる「すう子会」。イトリオのファンサイトを作るなど、大きな力を持っている

―― 作品を作る上で影響を受けた作家はいますか?

 すごくたくさんいます。少女漫画家の人が多いんですけど、作品の雰囲気や、緻密(ちみつ)な髪の描写という点では、昔『ぶ〜け』(集英社)で連載されていた内田善美さんがすごく好きです。岩館真理子さんの味のある色っぽい作風ですとか、あとは90年代のアニメ作品が好きですね。「スレイヤーズ」ですとか、「ナデシコ」だとか、あかほりさとるさんのアニメだったり、幾原邦彦さんの「少女革命ウテナ」も好きです。作品の絵柄でも影響を受けてる部分があると思います。

―― Webコミックとして作品を連載されているわけですが、藍さん自身は電子書籍を読んだりしますか?

 「LINE マンガ」とか、「ニコニコ静画(電子書籍)」「Kindle」とかで買っています。引っ越しするときには本って重いので、電子書籍はありがたいと思いますね。あと、技法書をダウンロードしたときに、たまに検索できるようなものがあるんですけど、便利だなと感じますね。

 あと、山下和美さんが好きなんですけど、作品によっては既に廃刊になっているものもあるんです。でも、電子書籍だと売ってたりするので、手に持っていたいけど、書店で売ってないような本を最近電子書籍で買うことが多くなっています。数年前に比べて格段に便利になっているなって感じますね。

―― 無料漫画は読みますか?

 「GANMA!」はもちろん、「comico」「マンガボックス」など同業他社さんのアプリはスマートフォンに入れてチェックしています。

支える人がいてこそ、アーティストは輝く

―― 無料で読める漫画だとファンが応援したいと思っても、なかなか難しいと思います。作中ではリュウサンがグッズを大量購入して応援していますが、連載作家としてその辺りはどう感じますか?

 通り過ぎる人が多いなあって感じますね。電子書籍が誕生する前といまとでは、作家と読者のあり方も変わってきてると思います。

 昔はお金を払ってくれる人=読者だったと思うんです。でもいまは、無料で読める作品が多くて、「読んだことはあるけどお金を払うほどじゃない」っていう人がすごく多いんですよね。

 私の作品は、読者にオタクが多いので、すぐに買い支えるという発想になることがあって、ありがたいですし、今時だなと感じています。「応援したいんですけど、どうしたらいいんですか?」みたいに質問してくださる方もいたりして。

 作家と読者の関係が変わってきている中で、作家がお金を使ってくれる人たちと、通り過ぎるだけの人たちとに、どのようにして価値を提供していくのか、そういったことをもっと考えていく必要があると思います。

事務所の都合でメジャーになる夢が断たれそうなマリ子を救うべく、グッズをすべて買うリュウサン。大量購入したCDは布教用に配るなど、グッズをむげに扱わないのもリュウサンの良さ

―― ミリオンドールの場合、単行本の発売はまだですが、Tシャツを販売されてますよね。

 そうですね、作品に登場したのと同じデザインのものを販売しています(販売サイトはこちら)。アイドルの人たちも着てくださっているみたいで、とてもうれしいですね。

―― ミリオンドールを通して伝えたいメッセージなどありますか。

 コンテンツに愛を捧げて消費しているオタクと言われる人たち、もちろんアイドルオタに関わらず、アニメもそうですし、腐女子と呼ばれている人もそうですけど、そういった消費をする側の人たちがもっと注目されて、もっとポジティブに捉えられてほしいという思いがあります。

 アーティストになりたい人たちって多いと思うんですけど、それはファンの人たちが支えてこそだなって思いますし、自分が作家をさせてもらっていても同じことを感じます。なので、そういう消費する人たちとともにアーティストは成立しているんだということを、姿勢として伝えていけたらいいなと思っています。

―― 最後に、アニメ化を待っているファンに一言お願いします。

 制作委員会の人たちが本当にがんばってアニメ化に向けて動いてくれています。そんな中で私個人でできることはきっと限られてはいると思うんですけど、でもアニメ化することで新しくミリオンドールという作品を知ってくれる人たちがいると思うので、そういう人たちも巻き込んでアニメオタも声オタもアイドルオタも、ジャンル関係なく楽しめるような大きなプロジェクトになればいいなと思います。7月の放送を楽しみにしていてください!



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