一口に「紙の本」といっても、長い歴史の中でそのスタイルを変えてきました。江戸時代の貸本中心の読書スタイルから、購買する形へ。同じ出版するにしても、今と比べて昔は出版部数が多かったですから、初版で数万部なんてことが珍しくなかったといいますよね。今は初版数千部の本なんてざらです。出版に至らない企画もたくさんあります。こういう本を電子で出版するという形も、これからどんどん増えていくでしょう。出版社を介さず、著者と書店が直接やり取りをするケースも多くなるはずです。
だから僕は電子か紙か、どちらが優れているとか、どちらかがダメだと論じる気はありません。電子書籍がいいのは、本を手に入れ、読むための手段を増やしたことです。
この時代、本を読む習慣をつけるって難しいと思うんです。Facebookやtwitterに比べると本を読むってストレスですよね。自分が好きな話題ばかりが続くわけでもないし、ある程度まとまった時間をかけないと読み切れない。それでも、まだ本を読むことでしか手に入らない情報や経験があります。
何となく本を読みたいなって瞬間は誰にでもあると思います。いつでも気軽に読める電子書籍は、結果的に読書人口を広げていくんじゃないでしょうか。
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