秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。
一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメやマンガのパロディや、コスプレの写真集などさまざまなジャンルがありますが、こちらの連載では、私設図書館「シャッツキステ」の司書メイド・ミソノが、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心にご紹介します。作家の「好き」が形になった同人誌、その魅力を体感してください。
タイトル:『マトリョーシカ・ノート3(改訂版)』
著者:道上克
サークル名:道上克
形態:A5 210ページ 表紙カラー・本文カラー
Facebook:道上克のマトリョーシカコレクション
同人誌入手先:まんだらけ中野店4Fマニア館
同人誌即売会で目にとまったブース。立ち止まるとサークルの方が熱心にマトリョーシカのことを話してくださいました。著者の方は、博物館や文化財センターにお勤めの経歴を持ち、今はマトリョーシカのコレクターさんなのだそう。そんな方が作られた同人誌は、一体どのようなものなのかしら、そう思って手に取った本は……お、重い!
本は全ページがカラーで、めくってもめくってもマトリョーシカの写真! ページ数は200ページを超えています! しかも、掲載されているマトリョーシカは、何と600体以上と言うではないですか。手にずしっと重みを感じます。マトリョーシカってこれぐらいの重さなのかしら……。
でもマトリョーシカって、「ちょっとかわいい雑貨ねー」くらいのイメージで、あんまり詳しくないんですよね。と、ページを開くと、まずはマトリョーシカの制作時期を基本にしたという分類表がありました。おお! マトリョーシカって最初はお土産品じゃなくて、おもちゃとしてのスタートだったんですね(日本の入れ子人形を参考にしたという説もあるみたいです)。あ、このほっかむりスタイルは馴染(なじ)みがある気がします。そうか! 描かれたスカーフや持ち物が、制作時期や制作場所を特定する手がかりになるんですねー。体にお花が描かれているものが多いことも、読み進めて行くうちに初めて知ったことでした。
こんなにいっぺんに、たくさんのマトリョーシカを見たことがあったかしら! と感嘆しながら本をめくっていくうちに、ふと気付くのです。「あ、このお顔、かわいいかも」「こんなに瞳がきらきらなのもあるのね!?」「ちょっともう、この素朴ながらも『ドヤ』っとした顔……ぐっとくるわ……」……私、さっきから無意識にマトリョーシカのお顔チェックをしているわ……。あああ! 「マトリョーシカって愛らしいのねー」という気持ちが芽生えてしまってきている! たくさんの写真、そしてそれに添えられた丁寧な解説がどんどん押し寄せてきて、マトリョーシカに「ノックアウト!」される一冊です。
『当落発表』
つい一週間ほど前、世界最大の同人誌即売会と言われるコミックマーケットの当落発表がありました。夏のコミックマーケットは3日間にもわたって開催されるのに、参加希望者が多いためスペースは抽選で決まるのです。“当落発表”なのになぜか「当たった」「当選した」ではなく、「受かった!」と言ってしまうのは、「コミケに出たいです!」という願いが通じたように思うからかもしれませんね。落選……落選の時は、そのまんま「落ちた」ですね……。
夏コミに受かった人はこの夏に向かってスタートを切っていらっしゃるころでしょう。落ちた方は冬コミに向かってのスタートだと思えば、余裕の本作りができますね……!
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